初めての旅らしい旅はいつだったか。待て。どこからが「旅」というカッコ付きの扱いに変わったのか。定かではない。しかし、「仕事」という言葉を添えれば明らかに意味が変わる。そうだ。旅公演である。ワタシは舞台の監督をしている。仕事柄、旅はつきものである。かといっていつでも行きのかというとそうでもない。長い時もあれば短い時もある。

そうだ。昨年、全県を制覇した時、既に20年近い月日が経っていたのだ。確かに長い時間がかかった。人によっては十数年で達しているかも知れない。そう、人生それぞれである。

この制覇を記念して、極私的(この言葉は変換できなかったので、説明を少し足しておくけれど、詩人の鈴木志郎康という方がよく使っていた。ワタシの造語ではないことをお断りしておく)な記憶をここに綴ろうと思う。

20数年の記憶なので、確か不確かはもちろん、曖昧・間違い・勘違い・思い込み・偏見・エコ贔屓・身勝手・捏造・いい気なだ、数々の問題を含むとは思うのだが、寺山修司の言葉ではないが、起こらなかったことすら歴史なのである。思ってしまったのだから仕方がない。そう心に刻まれたのだからそれを消すことはできない。アルタミラの壁画も高松塚彩色画が残ったように、ワタシの心の壁画には様々な風景や言葉が刻まれ、染み込み、芳しい香りや異臭を発し、何処へも消え去らず、幽霊のように浮遊し、いつでも己を主張しようとしているのだ。

さて、次回、どの都道府県から始めようか。これからゆっくり考えてみる。あるいは指ダーツで日本地図をなぞってみるか。自分が一番、楽しみである。

2011年2月20日掲載

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