の街では一番大きいショッピングセンター。昼過ぎにそこの駐車場で待ち合わす段取りであったのだが、オフ会のメンバーと顔を合わすのは初めてだし、もし変な集団(○○系な方々)が来れば絶対に逃げようと思い、遠くの柱の陰から様子を伺う事にした。
しばらくして、それらしき二人組が前方に現れる。一人は長身で細身で色白。短髪で如何にも爽やかな好青年。服装も今風と言うにはやや地味で主張していない。シャツにジーンズにスニーカー。私より年下だと思う。もう一人は華奢な女で、私より2、3歳下と言ったところ。髪は茶色だが、同じく服装が地味で遊びなれた風ではない。一応、並の身なりの二人に安堵した私だったが、自分から声をかけた所で人違いであれば激しく後悔する事になろうと思い躊躇していたのだが、向こうからあっけなく声がかかる。
本名を明かさずにハンドルネームのみで当たり障りの無い自己紹介。ネットでの出会いだから余計な詮索はかえって警戒されるのだ。とは言うものの、周りからすれば如何にも出会い系サイトで知り合いました風な空気を漂わせており、人目を過剰に気にする私とすれば、一刻も早くこの場から逃れたいのだった。
行くあてのないドライブをするという壮大な計画が既に決定されていたので、当然の如く新入りの私はそれに異論を唱える事が出来ず、尚かつ車を誰が出すのかという話になった時に、場の空気というか見えない圧力を感じたので、流れには逆らえないと思いドライバーという人様の命を預かる重大な責務を引き受けざるをえないのであった。
車の少ない山道と青空の下、ハンドルを持つ手に汗を感じながらも安全運転に注力。
道中、言われるがままに某回転寿司店に立ち寄る。入るなり、皿の一々細かい価格設定に閉口。110円、150円、170円、260円、360円、540円、745円と言った具合。世の中には面倒くさい事が大好きな人がいるんだろう。
田舎にありがちな閑散とした観光センターだとか、年寄りで一杯の道の駅だとかに一々立ち寄った我々。
長いドライブを終えて一転、夜は県内唯一の動物園へ。夜間のライトアップを期間限定でやっているので、それを見に行く。現地で更に二人と合流。一人は眼鏡をして地味な服装の同い歳くらいの男。仕事の指示をしないと片隅で携帯をいじってそうだが、言われた事は責任をもってやるタイプだ。きっと。もう一人は肌を露出させた若い今風な女。そして、当たり障りのない自己紹介。
園内は夜だというのに、家族連れの人ごみで田舎とは思えない混雑ぶり。それと、動物が放つ強烈な悪臭にひどく気分が悪いし、広い園内を歩き続けたせいか足が棒なのと持病の腰痛がにわかに主張してくる。少しどこかで休もうと、立ち止まって後ろを振り返ろうとしていた所、いかにもDQNな人妻の押すベビーCARに足を轢かれた私だった。
2008年2月4日号掲載
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