●今に始まったことではないが、甘くないケーキや減塩された食品が売れる。ビールか発泡酒か知らないが「プリン体」をカットしたものもある。
●甘さを抑えたケーキは、美味しいかどうかはともかく、本気の本場の元祖のケーキの聖地で作られるものから比べると、それはもうケーキではない、と思う。聖地のケーキも日本の不甘ケーキもどちらも知らないので、確証はないのではある、が。
●小拙から云わせたら、ケーキっちゅうものは、甘くてナンボ、というか甘いものがケーキというものなんだと思う。おフランスに行ってみて鱈腹食べた後に出てくるチーズとその後に出てくる「gateau」の種類の多さと濃い甘さに負けた。当然であるが、この分野(量と濃度)に於いては、イヤミが遊学したおフランスの勝ちである。
●中途半端に健康や美容や長寿を考えてケーキの甘さまで抑えてしまう。いや別にそういう商法が一方にあっても良いと思うし、フランスにもそういうケーキはあるのかも知れない。
●問題は、例えば小拙が納豆らしい納豆や、味噌臭い味噌、塩まみれの醤油、酸っぱい梅干し、を食いたい場合だ。本気の本場のケーキが食いたいと思うご婦人が居るかも知れない。そういう場合にどうしても今は「千両みかん」になってしまう所が問題であると思う。
●「千両みかん」では、真夏にみかん問屋に一個だけ残っていたみかんを、番頭の一言で無料が千両になってしまう。旬ではないのだから時節的に貴重なのであった。
●小拙が食いたいのは納豆、味噌、醤油、梅干し、とあまり季節には関係なく入手できるものだと思う。しかしその辺のスーパーでは臭いの少ない納豆、塩の少ない味噌・醤油・梅干しが並ぶ。小拙は既に金曜日の読者でも無いので、流通優先の添加物、防腐剤、着色料などの問題は気にならない。死なない基準に合ったものを出されている以上、身体の方をそれに合わす。小拙の場合。
●ただ、納豆臭い納豆、塩たっぷりの味噌、醤油、梅干しを買うとすれば自作するか健康食品屋へ行かなければいけない。それが面倒臭い。
●メーカーは別に客の健康や長寿のことなど気にして不甘や減塩にしている訳ではない様に思う。臭いや味を薄めて売れば同じ分量の原料でも製品が割増して製造できる。それを一旦やると、これまでの製品などアホらしくて作っていられないだけなのではないか。
●中途半端に健康や美容や長寿に全く無縁のイブニング親父(=小拙)は、健康食品屋に行って割高の醤油や味噌を買う程の可処分所得も無く、泣く泣くスーパーで売っているものの中で一番臭い納豆、塩の多い味噌、醤油、梅干しを買う。
●素人考えであるが、加工食品本来のレシピで作られたものは塩分などの関係で、減塩のものよりも賞味期間が長くなるのではないだろうか。減塩をするから食品添加物が増えるのではないだろうか。
●塩と砂糖は悪くない。むしろ摂取しないとイケナイものなんだと思う。それの過剰摂取が諸病の原因となるからといって、食文化を歪めてしまって良いものであろうか。食品メーカーのこうした戦略が、食文化が破壊する一因を作っているのではないか。
●塩や砂糖の過剰摂取が諸病の原因となるのであれば、ホースで車内に引き込むと死ねる排気ガスや、大量に食べると死ねる煙草などは、絶対に慎むべきである。気化して薄めているから良いという問題であろうか。
●酒にも脂肪が含まれているから肥りますよ、と小拙に忠告して呉れた男がいる。最近少し体重が増えたので、気にしているのだそうだ。ビールからプリン体がカットされたので通風になりにくくなって喜んでいるのかも知れない。
●大体、消費者の方も大した裏付けがあって取捨選択している訳ではない。雑誌かテレビの情報であろう。最近はネットか。砂糖も塩も酒も不要だと思う奴は摂取しなければ良い。今のままだと摂取したい人に迷惑がかかるし、中途半端な不甘や減塩や諸成分のカットは食文化を退化させる。
●別に痩せて戴いてもほんの少し綺麗になってもらっても大勢に影響のないご婦人に限って痩せたがったり綺麗になりたがったりするものである。ナイものねだりのアルものイラズ、である。
●となると社会は女が動かしている、ということなのか。女の機嫌を取ることが社会の規範となって、常識となってスタンダードとなってゆくのか。男女差別かも知れないけど、小拙はそんなの嫌である。
●社会は女が動かしている、というか、社会は女が動かしてきたし、これからも動かしてゆくのであろう。つくづく嫌である。