●自転車には鍵が付いている。たまにスポーツ車などにはあらかじめ付いていないものなどもあるが、鎖式の鍵を巻いて走る。鍵がひとつでは用心が悪いのか、鍵を追加で付属させる人もいる。
●自転車のサドルが凶器の様に天を向く式のものがある。万一鍵のかけ忘れ等があったとしても乗り去られ難い様にした仕様である。サドルやベルだけを盗まれる事も多いという。大阪だけの現象かも知れぬ、が。
●自転車というものの機能の中には本来鍵は不要な筈だ。鍵を掛けるということは、それを怠ると盗まれるということを前提としている。現金や有価証券、貴金属類等を入れることが多い金庫は、中のものを盗まれない様にすることを最高の使命として存在する。
●窃盗や万引きは、自転車に鍵を取り付けることが至極当たり前の社会的常識になるまでの頻度で発生している。自転車一台、本一冊がどういう種類のどういう軽重度の窃盗罪となるのかは知らない。刑罰もわからないし前科が付くのかどうかも不明である。
●一億円を拾った大貫さんは、律儀に届け出た。落とし主が出ても一割の一千万円は入る勘定だ。最終的に全額(税引額)彼のものになった訳であるが、果してそれで彼は幸福に死んでゆけたのであろうか。大きなお世話、か。
●そんな善意の人が居る事も事実であるし、鍵がかかっていようがサドルを天に向けようが、それでも盗られる時は盗られる。拾っても盗っても宝くじに当たっても真の本当の幸福ではない様に思う。宝くじには大半の人には当たらない様になっているのであるが、3億円当たった人間は万引きを止めるであろう。宝くじにはその程度の効用はある様に思う。
●鍵の掛けられていない自転車が、誰も見ていない状況下で自分の前に置かれてあっても少なくとも小拙は盗らない。自分が盗まないのでガードも甘くなるのか、過去何度か自転車を盗まれた。小拙は日本国民で自転車を盗まれたことが無い人に会ったことがない。
●恐らく盗んだ輩は乗り捨てるのであろう。そのまま帰宅すると家人に怪しまれるし、足がつく。自転車に乗っている不審人物に職務質問をした場合、件の盗難車である場合が多いという。大阪だけの現象、か。
●本屋での万引きも後を絶たないという。消費税導入時か何かの時にバーコードをシール化して裏表紙に貼っていたことがあった様に思う。それ式にPOSを通過していない商品は持ち去れない様にできないものか。全国の書店で雇う私服警備員のコストを考えると、新しい仕組みを考えざるを得ない。
●飲酒運転発覚時の罰金等の刑罰が極端に重度となり、以来飲酒運転違反の件数は減っている筈である。罰金の総額は変動していないのかも知れない、が。罰金が高くなると違反が減る。刑が重くなると犯罪抑制になる。
●万引き、窃盗は差別や殺人と同様、無くすことは出来ない。世間から無くすことは出来ないということは自分の中にも盗み、差別し、殺す、という感情が必ずあるということになると思う。自分の中にも全ての他人の中にも。
●感情があるということと、行為に移すことは違う。小説では殺人、殺戮、暴行、奪略、戦争や犯罪が絡まないものの方が少ないといえる。恋愛ものでも心を盗み、男女を差別し、地位を殺さなければドラマにならない、といえる。
●窃盗を犯す輩は、そういう観点から云うと窃盗は自身が主役となれるステージであり、ゲームであるのかも知れない。普通では許されない事であることなど先刻承知であり、確信犯である。
●一方で廃棄されたのか、持ち主不明の自転車が山の様に保管されている。駅前などで自転車の駐輪が禁止されているなどの地区で、業者がトラックで奪い去ってゆく。持ち主は持ち主である証明を持って取りにいくと3000円搾取されて返してもらう。
●自治体か第三セクターか何か知らないが、やり口が少し卑怯ではないか。駐車場は駅前に設置しておいて、駐輪場は大抵不便な場所にある。尤もそういう状態で駐めて置く場合に盗まれることも多いのではある、が。
●件の保管場には自転車が山の様に置かれてあって、一定期間を過ぎると、特定の業者の手に渡り、再生自転車として再販売されたり、国外へ運ばれたりする。そういう何万台かの迷子自転車を使用して、窃盗者向けに貸し出してはどうか。
●窃盗、万引きがこれだけ日常化してくると、書店などは予算から万引き損害額や私服警備員の人件費をあらかじめ引いて計上しておかなければならない。そんな経営の運営は虚し過ぎる。
●自転車や本だから許される訳でもないし、盗む側の人間は生活の全てに嘘を付かなければいけなくなる。盗まれた持ち主が困るのは当然であるが、将来本当に困ることになるのは盗んだ本人であることだけは断言しておく。