○もしも、日本の経済状況を人間の尺度に合わせるとすれば、それは通貨を全て1円玉で流通させれば良いのではないだろうか。もちろん紙幣もカードもクレジットもキャッシュレスも無し、である。

○鋳貨の中で、円の最低単位「1」円というものがアルミニウムで出来ていることにはやはり意味があるのかも知れない。アルミニウムの買価が1グラム約2円で、それだけで倍の価値。造幣費などもそれに加わる。1万円札の原価は30円弱。

○紙幣は、燃えてしまえば一巻の終わりで、火事の際に、耐火金庫に入れておかなければ、灰になってしまう。もし10割燃えてしまっても、海苔の様に完全な灰で識別可能であれば、換金しても良いのではないか。

○当然アルミニウムは、紙よりも燃えにくい。基本の1円玉は1グラムのアルミで、直径2cmある。1円玉 500枚を常に持ち歩いていると、いざ何かの時に 500グラムまでのものが天秤無しで量ることができるし、物差し無しで長さが測れる。これは便利。

○銀行に預金はできるが、利子はつかない。入金も出金も全て1円玉、である。月給もボーナスも全て現金払い。手取り30万円の人は、30万枚の1円玉300kgを受け取らなければならない。

○冬のボーナスに100万円貰う人は、100万枚の1円玉1トン分を貰う。ある意味これは価値がある。レンタカー屋で、軽トラックを借りてこなければいけないボーナス100万円の奥さんはツラい。

○定期を忘れて電車に乗る時は一大事。150円の切符を1枚買うため、自動券売機に1円玉を 150枚入れなければならぬ。千円のカードを買おうとした日にゃ、即腱鞘炎か。いづれにしても「急ぐ」こと自体が意味を為さなくなり、スローライフの実現につながる。

○大きな買い物をする際には相当慎重になる。人々は千円以上持ち歩きたくなくなり、各種振り込め詐欺、ひったくりは無くなる。物の価値の本質、百円ショップの高額度や、価格構造までもが見える。

○デフレもインフレも起こりようがなく、高額所得すること自体が面倒くさくなる。世の中の新しい価値観が産まれるのではないか。

○かつては日本でも米(玄米)の多寡が経済力を示した。今後アルミ本位制になっても悪くはなかろう。

○以前にも書いたが、銀行で1万円札の1円玉(10kg)への両替は出来るのであろうか。小拙の勘では恐らく出来ない。予約がいるのではないか。

○やはり紙幣の登場が、経済のパイを広げ過ぎ、犯罪を誘導し、人間の尺度を超える経済システムを生み出してしまったのではないか。

○消費税導入時に大量の1円貨を製造したという。日本経済の全てを1円玉で回すためにはどの程度のアルミが要るのであろうか。

2005年7月3日号掲載
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