銀幕ナビゲーション-喜多匡希

銀ナビ リニューアル
『さよなら。いつかわかること』

戦争シーンのない第一級反戦映画  あとで読む

さよなら。いつかわかること
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 突然ですが、今回から『銀幕ナビゲーション〜新作映画おすすめレビュー〜』はリニューアルをします。前回で連載50回目を迎えたということもあり、リニューアルには丁度良い機会かなあと。

 これまでは、おすすめの1作を採り上げ、長文でもって御紹介してきましたが、今回からは短めの文章で複数作品をドドドーンと御紹介することにしましょう。御紹介する作品は、今まで通り全て鑑賞済みですので御安心を。公開スケジュールは、東京と関西を中心に掲載していますが、公式HPのリンクも併せて掲載しておきますので、詳しくはそちらを御参照下さいね。

 尚、今回から、この当コラムは週刊となります。インタビューや特集企画などは従来通り、その時々でお送り致しますので、そちらもお楽しみに。

 新生『銀ナビ』、どうぞ宜しくお願い致します。

 さて、今回、イチオシとしたいのは『さよなら。いつかわかること』。

 イラクにアメリカ軍軍曹として派遣されていた妻の突然の訃報に愕然とする男。まず、彼は夫としてその死に圧倒される。事の大きさに太刀打ちできず、半ば放心状態となってしまうのだ。そこに、学校から2人の娘が帰って来る。ここで、彼は父の顔に変わらなければならない。父として、妻の死を娘たちに伝えなければならない。なのに、出来ない。

「食事に行こう!」

「遊園地に行こう! 前から行きたがってたろ? 学校? 休めばいいじゃないか!」

 そんな父の変化を長女は敏感に感じ取り、次女はただひたすらに喜びを爆発させる。男は、夫として、父として、二重の苦しみと戦いながら、他州にある遊園地へと車を走らせる。

 全編を貫くのは愛。とても純粋な愛。そこから生まれる苦しみ。それはとてつもなく深い苦しみ。愛するがゆえの嘘が、見る者の心を、その奥底から揺さぶる。

 製作を兼任する主演のジョン・キューザックが素晴らしい!! 決して大仰ではなく、真摯に演技と取組んだその心意気に最大級の拍手を贈りたい。戦争シーンを一切見せずに描ききった一級の反戦映画である。

 クリント・イーストウッドが、初めて自己の監督・出演作以外に音楽を提供しているのも話題。

さよなら。いつかわかること http://www.sayonara-itsuka.com/

4/26〜 東京:シネスイッチ銀座、シネマスクエアとうきゅう、渋谷シネ・アミューズ
4/26〜 大阪:梅田ガーデンシネマ、兵庫:シネカノン神戸
5/10〜 名古屋:伏見ミリオン座
6/ 7〜 京都:京都シネマ
ほか、全国順次公開予定

2008年4月7日号掲載 このエントリーをはてなブックマーク

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