特集 DIGITALK2を斬れ!第2回 エヴァンスなど

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隊員W:ビクターHeritage of Jazzも3/31に第2回がでたから、ここらでエヴァンスを中心にデジタルK2版の
    聴き比べをやりましょうか。
隊員S:前回の紙ジャケは20bitK2によるリマスター、今回は20bitK2でもう一度リマスターをしたものを
    デジタルK2技術で製造したものです。
    リマスターしたマスターテープはもちろん存在しますが、デジタルK2によってあたかも存在しなかっ
    たかのような効果が出せると。かつてのダイレクトカッティングに近い効果を得られる筈です。
隊員Y:よくわかんないけどとりあえず聴きくらべよう。

ポートレイト・イン・ジャズ/ビル・エヴァンス

隊員W:左からDCCのゴールドCD版。今回の20bitK2/digitalK2、前回の20bitK2、Xrcd、
    そして後ろは76年の日本製LP。この頃はLPの製造技術もほぼ完成の域でしたな。
    「枯葉」のステレオ版を中心に聴いてみましょうか。
隊員S:この曲って昔から日本版だけモノとステレオがならんで入っててヤダったなぁ。
    そうしろってレコード会社にねじこんだ評論家はいいんだろうけど、研究的に聴くんじゃない
    僕みたいな輩にとってはどうせなら外盤みたいに最後にくっつけて欲しかった。
隊員W:まぁまぁ、ま、今回ではDCC盤のみが外盤の曲順だよね。
    このDCC盤はドラムの音が繊細で粒立ちがいい。
隊員Y:てゆうかドラムが後ろにひっこんでる感じだな。Xrcdなんかと比べると逆につぶれ気味に
    聞こえるけど。
隊員S:全体的にまろやかな音だね、ナローってゆうのかな。丸っこい。繊細は繊細です。
隊員W:次に前回紙ジャケの20bitK2だけど。
隊員S:ピアノの音が他とくらべてスッキリしてる。ステレオの分離は分離しすぎな感じで左右に広
    がりすぎだけど。ベースは他と比べてぼわついて聞こえる。
    全体的に見てもスッキリしてる。
隊員Y:Xrcdも系統は同じだけど、ステレオの分離も含めてまとまってて聞き易いね。
    ピアノの音はこれが一番素直に聞こえるけど。ベースもベースらしいし。
隊員S:ピアノの歪み感もうまくおさえてあって、ベースの中高域もでてるし、全体もスッキリしてる。
隊員W:で、今回の20bitK2/digitalK2だけど、おお、いきなり音量があがりましたね。
隊員S:このシリーズは全タイトルそうだけど、ここまで追い込めるっていうのもdigitalK2の利点な
    のかなぁ。音のスピード感、立ち上がりも一番すごい。
隊員W:ベースは中高域がかなりでて締まった音になってる。ブラシの音は熊手でひっかいてるみたい
    だね。
隊員S:そのかわりピアノの中低域も出て、かなりひずみっぽいよね。
    ていうか歪み感がそのままでてる。音像も中央によってるけど、これもまさかSONIC上で音像を
    いじるようなエフェクターをかけてるわけないから、イコライジングとかで変な低域を切って
    逆相を整理したんでしょうか。
隊員Y:ひとりでワケのわからんことをいって完結するな!ま、とにかくバーンとした音だよね。
    でもピアノって、もともと歪んでんの?
隊員S:この頃の録音はそうなんじゃないかなぁ。もともとこの辺はフォルテだとひずんでるっていうか。
隊員W:今までLP聴いててどうだった?
隊員S:そういえば気になったことはないなぁ。聴いてみますか?
・・・・・・
隊員W:まぁやはりヴェールをかぶった感じだけど、確かに気になりません。
隊員S:良く聴くと歪んではいますが、注意しなきゃなんてことないよね。しかも歪み方も自然で耳障り
    じゃない。
隊員Y:耳障りなのはやはりCDがデジタルなせいかな?
隊員S:LPいい音ですね。グッときます。
隊員W:いい音ですねぇ。
隊員Y:じゃ、結論はLPが一番?
隊員S:いや、それだけは....。その結論だけはやめておきましょう。
隊員W:僕はDCC盤が好きです。音の傾向も他とは全然違うし。
隊員S:でもデジK2もへんに歪み感を隠そうとしないっていうか、マスターのままガーンと各楽器めい
    っぱい出しましたって感じがする。大人の女性とワインを片手にといった感じのムードっぽいエ
    ヴァンスじゃなくて、ピアノ・トリオの白熱のインタープレイをガンガン聴くエヴァンス。
    結局ベースの倍音とかのおいしいとこをしっかりだすと、ピアノのひずみっぽい部分もでちゃう
    んじゃないかな、でも、それはそれでいいという。
隊員W:このアルバムや「サンディ・アット〜」はいいよね。でも「ワルツ・フォー〜」はジャケのアー
    トワークといい曲想といい多くの人がのぞんでいるイメージと変わってきちゃうよね。
隊員Y:「エクスプロレイションズ」はどうなの?

エクスプロレイションズ/ビル・エヴァンス
隊員W:それぞれマスタリングの傾向はいっしょですな。でもこのアルバムは他より一段音量が小さいの
    かな。
隊員S:ダイナミックレンジが広いんだと思います。
隊員Y:このアルバムについてはkoike様から詳細なレポートが来てるのでご紹介します。
    他のアルバムについても言及されてますが、とりあえずそのまま掲載しましょう。

    koike wrote:
		週末にヘリテージオブジャズ第二回分の何枚かを聴いてみたのですが、ビルエ
		ヴァンスもののリマスタリングにはちょっと違和感を感じてしまいました。発
		売当日最初に聴いたワルツフォアデビーでもあれ?と思ったのですが、この時
		は時間がなくて深く追求はできず、今回は、エクスプロイレーションズ(いい
		アルバムですね!)を手持ちのxrcd盤と比較してみました。

		xrcd盤と比べると今回のDigitalK2盤は、3人の位置がセンターに思いっきり寄
		せられていて、まるでモノラル録音のようです。音が重なりあってしまってい
		て、なんだか、3人が狭い録音ブースに押し込まれ、そこから漏れてきた音の
		塊を聞かされているようです。ブルーノート的な音作りとでもいうのでしょう
		か。

		今回のDigitalK2シリーズの音作りは、全般にこのような傾向の音作りがなさ
		れているようで、サキソフォンコロッサスでも、軽やかさよりも力強さが勝っ
		ているというのが第一印象でした(こちらは違和感というほどではないのです
		が)。これって、ブルーノートのRVGリマスタリング盤が評判を呼んでいること
		に影響されちゃった(というか対抗意識を燃やした)せいなんでしょうか?はた
		また、ジャズ(オーディオ?)評論家の寺島靖国さんが、音をセンターに寄せて
		音を前に飛び出させろ、と盛んに吹聴していることに影響されちゃったのでしょ
		うか?

		ビルエヴァンストリオのような演奏は、3人が好きな場所に陣取ってやりたい
		ように演奏しているのだけれど、そこからなぜかとっても緊密なインタープレ
		イが引き出されていて、おお!これぞ黄金のピアノトリオ!と思わせる演出が
		オーディオ的になされていてほしいと思いました。ミュージシャンの自律性と
		演奏の緊密さの絡み合いの妙をうまく演出できるかどうかが、彼らの演奏を楽
		しむ重要な要素なのではないでしょうか。なにも、ビルエヴァンストリオまで
		ブルーノート/RVGの音にしなくても良いのに、というのが私の感想です。いか
		がでしょうか?

		----

		と、ここまで書いてから、もう一度エクスプロイレーションズを聴き比べ直し
		てみたところ、今度は、全く反対の感想を持ちました。

		xrcd盤の音場が広いというのは、要するに初期ステレオ録音で左右スピーカに
		振り分けられているだけなんですね。エヴァンスの右手と左手、モチアンの右
		手と左手が離れすぎていてバラバラで、何か3人のミュージシャンというより
		は、5本の手が演奏しているみたいに聞こえてきました。これが気になり出す
		と演奏に没頭できません。このあとでDigital K2盤の方を聴いてみると、音場
		はほとんどモノラルというくらいに狭まりますが、右手と左手の不揃いさは感
		じられなく、その点では自然に聞こえます。音場を狭めたのは(RVGうんぬんよ
		りも)この不自然さを嫌ってなのかなあ、という気がしてきました。(もともと
		さほど不自然な振り分けを感じさせないワルツフォアデビーではそんなに音場
		が狭められていないんですよね。)

		それから、Digital K2盤の方が、たぶん低音(基音)を強調しているせいでベー
		スがすごく尾を引きます。ねちっこく絡み合う感じが強調されますね。なんか
		Digital K2盤の評価が一気に高まってきました。節操なくてすいません。

		ところで、Digital K2盤では、7曲目(I wish I knew)だけ左右逆になって、エ
		ヴァンスが左、ラファロが右から聞こえます(もともと音場が狭いのでわずか
		にですが)。xrcd盤ではこのようなことはありません。これってリマスタリン
		グのミス?

		今度は、ワルツフォアデビーを、86年の国内盤CD、87年リマスタリングの米
		OJC盤CD、米アナログプロダクションのゴールドCD、xrcd盤、今回のDigital
		K2盤について比べてみました。86/87年盤はどちらも音場が狭く、ナローレン
		ジで、グラスの音とかざわめきとか微少な音が十分に聞こえません。新しい3
		枚からは、そのような微少な音がどんどんきこえてきます。AP盤では、ピアノ
		の音に艶があり(ただし場所によっては輝きすぎて安っぽく聞こえてしまうこ
		ともあるようです)、時として(耳で聞き取れるかどうかわからないくらい微妙
		な音/気配?を感じたような気がして)ぞくっとするような臨場感を感じる瞬間
		があります。ジャケットにはリマスタリングに真空管機器を使ったと書かれて
		いるのですが、これが効を奏したのでしょうか?xrcd盤の音はクリアだけど艶
		がなく乾いていて、緻密なコンクリートの彫刻のようです。ピアノの音には若
		干の歪み感が感じられ、そのせいで焦点がわずかにぼけて音の核が見えない感
		じです(AP盤ではこの歪み感がうまく隠されているように聞こえます)。それか
		らxrcd盤では、1曲目(My Foolish Heart)の中盤と最後などにテープの回転が
		一瞬落ちたようなドロップアウトが聞こえます。最後にDigital K2盤なんです
		が、ピアノの音の歪み感がかなり強調されて聞こえます。また、ブラシの音は
		まるで熊手ほうきで落ち葉を掻き集めている音のようです(とにかく音像がで
		かい!)。音場は若干狭めてあるようですがエクスプロイレーションズのよう
		なことはありません。「エヴァンスを切ってラファロを主役に立てた大胆リマ
		スタリング」という仮説も考えましたが、ベースの弦がずいぶん太く見えて、
		その分ウッドボディーが見えてこず、やっぱり何だか変です。もう一つすごく
		気になったのは、CDをかけはじめた瞬間に何かの強調されたノイズ(ハム?ヒ
		ス?会場のノイズ?)が一瞬耳に飛込んでくることです。最初に聞こえてくる
		音が他のCDと違うのです。会場のノイズのなまなましさを追ったせいなんでしょ
		うか?もしかして「ミュージシャンを切ってガハハのおじさんを主役に立てた
		超大胆リマスタリング」?いずれにしても、(少なくとも今まで聞き慣れてい
		た音と比べると)繊細さが感じられず、かなり不自然なリマスタリングに感じ
		られました。ただし、さらに何回か聴きこんでDigital K2盤の音作りの理由を
		自分なりに納得してしまうようなことがあれば、ころりと評価が変わるかも知
		れません。

		最後にサキソフォンコロッサスについて。今回のリマスタリングでは、音の鮮
		度が高まった結果だと思うのですが、ハイハットシンバルが、カミソリのよう
		に先鋭化されて、何だか近寄っただけで血を見そうな気がしました。このせい
		で、楽器間のバランスが変わり演奏の緊張感が大幅に高まって聞こえます。今
		まで聴いていたのは米DCCのゴールドCD(リマスタリングは95年)だったんです
		が、今度のDigital K2盤を聴いてしまうと、すごく緩んで聞こえます。
		Digital K2盤が、スタジオに響いた音をより正しく再現しているということな
		のでしょうか?サキソフォンコロッサスというと、セントトーマスやモリター
		トの軽快なメロディのイメージが強かったのですが、その点で目から鱗を落し
		てくれるリマスタリングと感じました。

隊員S:「エクスプロレイションズ」いいですよね。僕も一番好きです。
隊員W:私は「サンディ・アット〜」
隊員Y:「ムーン・ビームス」!
隊員W:あっエロジャケおやじだ....。ところで左右が逆になってるってマスタリング時のミス?
隊員S:なんかヴァーヴの時もあったけど、音像をいじったりはしてないと思うから、低音をEQ
    処理した時に逆相成分を整理したらそうなったんじゃないかと....。さっきいったのと同
    じですが...。ミスじゃないと思うよ。
隊員W:koikeさんの意見には同感します。エヴァンスはなんかちょっと違和感があった。でもサキ
    コロはパワフルでよかった。
隊員Y:ところで「ワルツ・フォー〜」は寺垣式で聞いたんでしょう?どうだったの?
隊員S:いやぁ。よかったですよお。異次元ていうか......。
隊員Y:それじゃサッパリわからんだろ。
隊員S:食味しんぼですよ、「食味しんぼ」
隊員W:なにそれ。
隊員S:素材の良さを最大限そのままひきだすっていう。だから寺垣式でなれちゃうとJBLやタン
    ノイなんかも調味料というか、くせが鼻につくようになるんだろうなぁ。
隊員Y:なんかわからんが、もう1回ちゃんと聞いて来いよ。
隊員S:今度こそちゃんと聞いてきます。そのうち「デジタルK2を斬れ!in・寺垣式」をUPします
    から。
隊員Y:結局またLPが一番とかいいださないんだろうなぁ。
隊員S:うーん....、ところでマイルスのING4部作も聞いてみましょうか?
隊員W:ああ、いいよ(あきれて)。

マイルスのING4部作
隊員S:じゃ「ワーキン」から「イット・ネヴァー〜」を聞いてみましょう。ちなみに前回の20bit
    K2と今回デジK2の聴き比べです。
隊員Y:こりゃあ今回の方が全然いいねぇ。
隊員W:マイルスのミュートの輝きと艶がました感があるね。
隊員S:いやぁマイルスはカルテットに限りますな。
隊員W:そんなにないだろカルテットは。これだってトレーンがいるだろ。
隊員S:ほとんどいません。ま、それはともかくこのリマスターも音の傾向は似てますね。
隊員Y:ピアノはひずんでないの?
隊員S:ひずんでるとこはひずみっぽいけどエヴァンスほど気になりませんね。音楽の流れにあって
    るし。ま、ガーランドはスタイル的に気にならないよ。
隊員W:もともとの録音もうまいんじゃないの?
隊員Y:そうだねみずみずしいよ。生気がある。これだれ?
隊員W:ヴァン・ゲルダー
隊員S:これもか。やっぱうまいんですね。
隊員W:うまいんでしょう。ブルーノートほどガッチリしてないけど、ササっと録ってバッチリうまい
    っていう。マラソン・セッションはこの人いなかったらできなかったんじゃないかな。
隊員Y:ロック方面のデジK2も聞いて見ましょう。

ELPファースト
隊員Y:これも前回の20bitK2と今回デジK2の聴き比べ。音量があがりましたねぇ。
隊員S:リマスターの傾向はいっしょですか。どっちかっていうとロックの方がこの傾向はあってるん
    じゃないかな。
隊員W:G.レイクの声につやがあるね。のびてるし。リヴァーブの量が増えたかのように聞こえる。
隊員S:全体に音にスピード感がありますね。
隊員Y:タルカスはどうだった。
隊員S:デジK2を聞いてビックリしてLPを聞き直したんだけど、これは圧倒的にLPを凌駕してま
    すね。デジタルであることがいい方向に作用してる。スピード、パワーがUPしてました。
隊員Y:ま、深みのいらないバンドだからな。
隊員W:またまた好きなくせに。
隊員S:イエスのHDCDに匹敵する凄さです。
隊員W:でもこのファーストだけ紙質がペラペラになってるよね。前回紙ジャケは厚紙だった。
隊員Y:オリジナルのUK盤がきっとペラペラだったんだよ。
隊員S:たぶんコストのせいかなんかで他のシングルジャケと紙質をあわせたんじゃないかと思うんだ
    けど、確かにここまで他の部分の出来がいいと、このペラペラも....
隊員W:オリジナルに忠実なんじゃないかと思っちゃう?ま、そうだよね。ところでジェネシスはなんで
    あんななの?
隊員S:いや、まいりましたね。出来もそうだけどなんで19枚もだしたんだろう?「もうひとつのジェネ
    シス ライヴ後編」の紙ジャケなんてだれが買うんだ?
隊員W:ま、「ラブ・ビーチ」や「イン・コンサート」買ったやつもいるしさ。
隊員Y:「ラブ・ビーチ」のB面はけっこうプログレで泣けるんだぞ。
隊員W:(無視して)次は寺垣式?
隊員S:次の第3回は「in・寺垣式」です。でも参考になるのかな?
隊員W:このHPって、誰かの参考にしようとしてんのか?
隊員S:ま、UPしますんで笑ってやってください。
隊員Y:それでは乞うご期待。みなさんのご意見もぜひおよせくださーい。→こちらへどうぞ

(ひとまず・了)
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