KING CRIMSON
IN THE WAKE OF POSEIDON/ LIZARD/ISLANDS
キング・クリムゾン比較検証 第2弾 +試聴会の様子

第1弾はこちら


クリムゾンの比較検証第2弾は
「ポイドンのめざめ」、「リザード」、「アイランド」という
じみーなラインアップです。

すべてディスク・ユニオン特典装着の紙ジャケ

とりあえずは3月19日に、西新宿DANA-JAPANさんの寺垣式試聴室をお借り
して開催した試聴会の様子から報告していきたいと思います。
参加された方もされてない方も楽しめるよう、探検隊各人の内心の動きなども赤裸々
に交えつつ.....。

3/19日 午前11:00試聴会開始
参加人数 最終的には14〜5名くらい?

最初に寺垣先生による寺垣式の説明からはじまりました。
オルゴールなどを使った面白い実験をまじえつつ、変換器に徹した寺垣式の理論が
説明されていきます。
しかし、先生、いつもと違ってなかなか音を出そうとしません。
アレ?なんでだ?と思っていたところ、アンプを急遽修理に出したので音が万全で
ないと断ってから、いつもの試聴盤、「鬼太鼓座」をかけてくれました。
(アレ、アレレレ〜。顔を見合わせる探検隊の面々、なんか違うぞ〜。後から聞い
たところ、隊員Wのみあらかじめわかっていたようで、矢でも鉄砲でも持ってこい
と腕組みをしています)。
その後ストコフスキーなども試聴。
ど、どうしたんだ〜。
なんか音がかぼそい上にいつもの高音がサーっと伸びていく感じもないし、解像度
も低い。低域も出ていない、と思ったら後方の低音用スピーカにつながっていなか
った(これも代用のLUXMANのアンプが接続できなかったのだ)。

これらのレコードは、いつもならみなさん驚くところだが、なんかうーんって感じ
(いや、これはね、これはちょっと違いますよ、と思う探検隊の面々、しかし..)

先生の話自体はとても面白く、無事終了したのだが、探検隊はわらわらとオーディ
オシステムを取り囲み、コソコソいいつつとりあえずゴールドパーロフォンをかけ
てみたりして
 *注 ビートルズの1stアルバムの英初版のこと。レーベルの文字色が金のため
   こう称されている。
ウッヒャー音はきれいに鳴ってるけど、こりゃ日本盤みたいな音になっちゃって.
どうしよ?

なんて思ってても時間はどんどん過ぎていくため、とりあえず今回のクリムゾン
の紙ジャケがHDCD対応ということで、Koikeさんからお借りしたHDCD対応DA
コンバータを接続。

一番上がHDCD DAC。下に見えるのが急遽代用にかり出されたLUXMANのアンプ

DACはあったまるまでちょっと時間がかかるということで、当日予定していたプ
ログラムに沿って(プログラム作ったのだ、めずらしいじゃん、やるじゃん、
な〜んて思ってたのだがやはりなしくずしになりました〜)。
ポセイドンのピンク"i"から試聴。ここで愕然とするピンク"i"の持ち主、隊員Y。
しかし隊員Sは委細かまわず紙ジャケCDと聴き比べる。

<ポセイドンのめざめ>
UKLP, ILPS 9127, PINK"i" ,A-side Matrix:A//1, Long version of"in the wake of..."
UKLP, ILPS 9127, Pink Rim
JPCD('88 No Remaster),JP紙ジャケ,EU紙ジャケ
やっぱりCDは音がギシギシしててアナログの方がゆとりがあるとの意見もあ
ったが、おおむねCDの方が評価が高そう....。
この時隊員Yは心の中で叫んでいたという。
(違うんだよ〜ピンク"i"はこんな音じゃないんだよ〜!)
でも「いや〜おかしいなぁ〜」といったきり顔は苦笑した状態で硬直。

なにしろアナログの時はヴォリュームつまみが最大、CDでは12時の方向でよう
やく試聴レベル。いかに代用アンプとはいえ、これはおかしい。だってLUXMANだ
って普通に考えればけっこう高い機械なのに〜。
その後は最大でもなんでも別にしょうがないので2時の方向にあわせて試聴を続
ける。

寺垣式プレーヤー。プレーヤー自体は問題ないのだが...

でも確かに今回のリマスターCDはけっこうよさそうである。
ちなみにHDCDモードと通常モードとの違いははアンプとスピーカーの問題でイマ
イチ聴き比べられず。

「ポセイドン〜」に関しては舞さんにお持ちいただいた島ラベルなども聴いてみ
るが聴き比べられる状態ではない探検隊...。
ちなみに”ポセイドンのめざめ”のショート、ロングの違いに関してはピンク"i"
はロング・ヴァージョンのみしか用意できなかった。島ラベルは当然ショートで
この間でマスターは確実に変わっているのだが...。
両方お持ちのはみるさんの印象では島ラベルはやはりちょっと落ちるとのこと。

<リザード>
UKLP, ILPS 9141, Pink Rim ,Matrix:2U
UKLP, ILPS 9141, Pink Rim ,Matrix:2U,Miss Pressed Label
LP,Half speed master
JPCD(No Remaster),JP紙ジャケ,EU紙ジャケ
ついで「リザード」。はみるさんに持ってきてもらった貴重なレーベルミスプリの
島ラベルやハーフスピードマスターなども聴いてみるが、これも聴き比べられる状
態ではない探検隊...。それどころか動転していて貴重な「リザード」の写真をとり
わすれる隊員S。情けないぞ〜。

<アイランド>
UKLP, ILPS 9175, Pink Rim ,Matrix:1U
USLP, SD7212, 1841 Broadway Address
USLP, SD7212, Rockefeller Plaza Address
JPCD(No Remaster),JP紙ジャケ,EU紙ジャケ
で、「アイランド」。舞さんにUS盤を持ってきてもらった。これと隊員Yがこの
日のためにアメリカから取り寄せたUS盤アイランドの未開封品。
未開封品はその場で開封。脱兎のごとくレーベルのアドレス及びマトリクスを確認
する舞さんと隊員S。持ち主の隊員Yは、いったいこの2人は...と思いつつしばし
傍観。
結局レーベルは1st(Broadway Address)、マトリクスは2で限りなくUSオリジナ
ルに近いことを知って喜ぶ隊員Y。しかし、UKオリジナルとの聴き比べは聴き比
べられる状態ではなく...(もういい?)。なんとなくUKの方がよさそうな感じ
(それでいいのか!比較検証!)。

リハ部分などもチェック。何故かリハの入ってないものは今回はなし。日本ワーナー
盤LPやデフィニティヴ・エディションがあったら...ま、あっても別に聴き比べら
れないんですけど。
”レターズ”を聴きたいというリクエストもいただいたが、CDで聴きたいとのこと
(トホホ..)。その日の状態であれば当然すぎるリクエストでありました。


当日試聴したモノたち。なんかクリムゾンよりビートルズの方が
多いように見えますが、きっと気のせいです

<はみるさんのCD>
LPの音がちゃんと出ないなら、とはみるさんが持ってきたCDを試聴。
これはオリジナルLPをはみるさんがお持ちの寺垣式プレーヤーで再生、24bitで取り込ん
でCDRに焼いたもの(以下はみるCD)。
これには一同ビックリ。中には「はみるさんのCDが一番音がいい」という人も...。
はみるさんは今回の「宮殿」のリマスターには不満ということで、はみるCDの「スキツ
ォイド・マン」との比較や、寺垣式で再生したパープル、サバス、イエス、ムーディ・ブ
ルースなどを聴く。今回の試聴会で最も充実したひととき。
はみるCDに対する質問が集中。

<ビートルズ>
さてオリジナルVSモービルの企画をたてたビートルズだが、上記のような状態のため不完
全燃焼。真っ白な灰になるまでやりたいと思っていた探検隊の面々はフラストレーション
たまりっぱなし。
ゴールドパーロフォンを再度かけるが日本盤以下の感じ。
ゴールドってこういう音なのか、という感想にこの時隊員Sはこう思ったようだ。
(ちがう、ゴールドの音はもっとわれんばかりのパンキッシュな音で、もっとコーラスも
リアルなんだよ〜)
だが、実際の音が違うなので説得力皆無のため、急に無口になる。


「ウィズ・ザ・ビートルズ」はUK1stプレスMono、シルバーStereo、モービルを聴き比べ
るがモービルの広大な音場感、これがあの「ウィズ」のステレオか?と思うほどのバラン
スのよさにオリジナルはボロ負け。ただしモービルの音もこんなものではないとのこと。

「ラバーソウル」もマトリクス1(ラウドミックス)は針飛びで聴けず、モービルの不戦
勝。
これは代えたばかりのカートリッジが調整できていず、うまくかからなかったのだが、は
からずも当時のEMIの工場の判断が正しかったことが証明された?
(このラウドミックスは当時、英のプレス工場がマスターのカッティングレベルが高すぎ
るとの理由で差し戻したものです。従って通常のUKmonoより音はでかいです。ただし現在
の普通のプレイヤーで聴いた場合、今回のような針飛びが起こることはありません)。

聴いててもしょうがないんで(オイオイ)、はみるさん、舞さん、S隊員はならんでマト
リクス比較にいそしむ。周囲の人にはかなり異様に写っていたようだ。
(この人たちいったい....。レコードのレーベルの周りばっかナメるように見てるわ!)
ちなみに女性の方も3名ほど参加しておりました....。

ビートルズ・オリジナル・モノ側は再戦を心に誓う。この頃から試聴会では「リベンジ」、
「次のリベンジ」では、といった言葉がとびかいはじめるのであった...。

また「ストロベリー・フイールズ」のオリジナルUKシングルがあったので、
「シングルで聴くと前半と後半のつなぎがよくわかるという話を聞いたので、試聴したい」
とのリクエストがあり、S隊員はイソイソとシングルをかけた上に、ごていねいに「ほら
ここです」と指示までだす。
が、「よくわかりませんでした」といわれてしまう...。
(そうですよねぇ、この音じゃわかりませんよねぇトホホ....)と内心思いつつ、ジョン
のヴォーカルの声質が変わるんですなどと必至の説明を続けるS隊員であったがまったく
説得力なし。
(この曲はテンポもキーも違う二つの演奏を途中でつなげたことで有名。開始1分ぐらい
のところ、2回目の「レッミー・テイキユア・ダウン(カザイム)」と「ゴーイング・トゥ」
の間でつないだとのこと)

その後舞さんに持ってきてもらったツェッペリンの「II」のモービルとUKオリジナルを
試聴。モービルでは「胸いっぱいの愛を」の中間部、プラントの「アアッ..アアッ...アア
ッ..」が低位を変えつつ昇っていくそうなのだが、今回は再現できず。
舞さんもこんなはずじゃない!と思ったそうである。

フーの「マイ・ジェネレーション」のUKオリジナル/Virgin再発/フェイク/今回の再発?
も聴き比べるが、結局よくききわけられず。もう1回やることを誓う。

ということで18:00くらいになり、解散。

探検隊と舞さんチームは打ち上げでジミヘン対決を誓ってわかれる。

フラストレーションのたまった探検隊のメンバーには家にかえってLPを聴き直したものも
いたようだ。

探検隊は反省会で再度試聴会の開催を誓う。
みなさん、どうぞこりずにまた聴きにきてください。
それから無理なスケジュールで開催をお願いしてしまったDANA-JAPANさん、本当に申し訳あ
りませんでした。この場を借りておわびいたします。

キング・クリムゾン比較検証 第2弾
ということで気持ちを新たに各タイトルを比較していきます。
掲示板によせられた情報もまとめてのせていきます。
clemさん、KOIKEさん、はみるさん、舞さんに感謝します。

<音質>
音質は今回はかなり評判がよかった。リマスターは99年9月の6〜10日に行われたようでスタッフ
などは「宮殿」といっしょだが、今回の3枚は、いずれもHDCDエンコーディングされている。
「宮殿」のリマスターにあたってパシフィックマイクロ製のADコンバータを使用したとの話が
レココレにのっていた。パシフィックマイクロはHDCDの製造元であるため、もうどうせなら
HDCDにしちゃえってことだろう。
JP盤には記載がないが、EU盤はバーコードシールの下にHDCDのロゴがついている。
ただしどちらもHDCD対応である。
今後このシリーズがHDCDで続くなら、「宮殿」のみ非対応というまた中途半端なリマスター
になってしまうのだが。

また前回に引き続き、
JP盤はすべてゴールドCD(HDCD対応のGOLDCDなのでもっとアピールしてもいいと思うが)
輸入盤はすべて通常のCDでレーベルの色はピンク(「ポセイドン」はそれでいいのですが、後はねぇ)

<ポセイドンのめざめ>

上 LP
UK ISLAND ILPS 9127, PINK"i" ,A-side Matrix:A//1, Long version of"in the wake of...",Textured Gatefold Cover'70/5
CD 手前左から
CD(JP) VIRGIN VJD28002,'88
PaperSleeve(JP) DGM/PONY CANYON PCCY-01422 Gold CD Textured Gatefold Cover(00/3),WITH DISK UNION OBI
PaperSleeve(EU) DGM/VIRGIN CDVKCX2 Gatefold Cover(00/3)

ジャケはUK盤はピンク"i"、島ラベルともよこにシワが入るテクスチャーカバー。
JP盤の紙ジャケはたてにシワの入るタイプで、これはJPワーナー盤のLPを再現したものだ。
紙ジャケの商品構成は「宮殿」といっしょで、JP/EUとも両サイドがオープンになっているタイ
プ。JP盤は手前にCD、裏側のスリットにブックレットが入っていたが、EU盤は裏側にCDが
黒い紙袋に入れられて入っていて、ブックレットはジャケの間にはさみこんであった。
表側のスリットには何も入っていない(これじゃ両サイドオープンにした意味がないじゃん!)
だったら閉じろよ!(ちなみに今回の3タイトルともすべて同様。ただしEU盤の中にはブックレ
ットを表側スリットにセットしたものもあるかもしれない)。

ジャケの内側とブックレット。

<タイトル曲"ポセイドンのめざめ"のショートとロング>
タイトル曲には8分24秒と7分54秒の2種のヴァージョンがある。
ピンク"i"のA面マトリクスがA//1のもの(1stプレス)のみロング・ヴァージョン
のようだ。
その他のLP/CD(ピンク"i"でマトリクスが+ A2のもの、島ラベル、88年のCD、
ディフィニティブ、紙ジャケを確認済)より30秒弱長い。

うーん、でもそうするとピンク"i"の途中でマスターが変わったということになります。
これはビックリ。
clemさんはこの2種類のピンク"i"をお持ちであるとのことで、
長いPinkは
A面マトリクス ILPS 9127 A//1 1 3 2(末尾の番号は色々あるようだ)
B面マトリクス ILPS 9127 B//1 1 2 2
短いPinkは
A面マトリクス ILPS + 9127 + A2
B面マトリクス ILPS + 9127 + B2
であり、この2種類のピンク"i"はラベルは一緒だが、マトリクス番号の字体、音溝
の切り方が全く違うとのこと。

また長い方の"ポセイドンのめざめ"はどちらも右チャンネルがひずんでいるとの報告もあった。
こちらでは確認できなかったが、このへんにマスターが差し変わった理由があるかもしれません。

<リザード>

上 LP
UK ISLAND ILPS 9141, PINK RIM PALM TREE Label,Matrix:2U, Coated Gatefold COVER,'70/12
CD 手前左から
CD(FRA) VIRGIN/EG EGCD4
PaperSleeve(JP) DGM/PONY CANYON PCCY-01423 Gold CD Use GOld Colour Cover(00/3),WITH DISK UNION OBI
PaperSleeve(EU) DGM/VIRGIN CDVKCX3 Gatefold COVER(00/3)

内ジャケとブックレット。構成は他のタイトルといっしょ。

紙ジャケはJP盤のみ特色(ゴールド)を使用。コーティングはしていない。
EU盤は金色の部分が黄土色みたいになっている。
オリジナルUK盤はコーティング仕様のジャケで、背表紙が逆さまに印刷されている。
この「リザード」のジャケは英国人にとってはたいへん天地がわかりづらいものらしく?
今回も逆さ。

背表紙のタイトルだが上がEU盤、下がJP盤。左の方が天になっているため、EU盤は表記が
逆である。だからこれがオリジナルでいいのか?JP盤は日本LP初版をもとにしたのでこれ
でいいのだろうか?うーんだとしたらここだけはすごい再現度である。

また中には背表紙は正確だが、レーベルでA面の曲順が入れ替わっているものがある。
曲が1.3.2.4の順になっており、
曲名もサーカス、ハッピー・ファミリー、インドア・ゲームの順。
所有者のはみるさんから写真を提供いただきました。



島ラベルのリザード。

<幻のピンク"i"リザード>
またリザードのオリジナルは島ラベルであることが通説だが、何故か英Record Collector誌
のプライス・ガイドにはピンク"i"のリザードが初版であると記載されている。
今回みなさんに島ラベルのリザードを確認してもらったが、マトリクスは2Uのものしかみ
つからなかった。
(アイランド盤のマトリクスナンバー、レーベルの周囲の音溝部分に記載されてい
るマスターナンバーはこの頃から品番に続けて1Uや2Uと表記される場合が多い。
もちろん1Uがファーストプレスといわれている)。

そうするとやはり1Uはピンク"i"レーベルなのだろうか?発売が70/12月というアイランドの
レーベル切り替えの最中に発売されたものだけに、1Uのピンク"i"が少数存在する可能性もあ
る。今回はみつけられなかったが、幻レコードなのだろうか?
うーんリザードって謎の多いアルバムだなぁ。
(フランス盤、ニュージーランド盤の「リザード」にはピンク"i"レーベルのものがあるそうです)

<アイランド>

上左から LP
UK ISLAND ILPS 9175, PINK RIM PALM TREE Label,Matrix:1U, Fripp Back COVER with Gatefold insert,'71
US Atlantic SD7212, Green&Red 1841 Broadway Label,Gatefold COVER
CD 手前左から
CD(JP) VIRGIN VJD28020,'88
PaperSleeve(JP) DGM/PONY CANYON PCCY-01424 Gold CD Gatefold Cover(00/3),WITH DISK UNION OBI&insert
PaperSleeve(EU) DGM/VIRGIN CDVKCX4 Gatefold COVER(00/3)

紙ジャケはJP盤のみノンコート紙使用だが、形態はどちらも見開き(ゲートフォールド)。
UKオリジナルはシングル・ジャケットで折り返しがあり、白い見開きのインサート
(内側引き出しのレコード袋もかねている)がついていた。
折り返しの部分
日本ワーナー盤(初版のみ確認)もこの折り返しがあり、英国好きにはたまらない仕様
であっただけに再現されなかったのは残念だ。

UK盤と紙ジャケ

<US盤ジャケ>
US盤ジャケはUKのインサート部分のみを使用した見開きジャケ。
当初ディスク・ユニオンの特典はこのUS盤ジャケになる予定であった。

左が1841 Broadwayの住所が入ったUS1stレーベルのジャケ、
右が舞さん所有のRockefeller Plazaの住所が入ったUS2ndレーベルのジャケ。
色味がじゃっかん違う。

内側とレコード袋

レーベルはどちらもこの色。

1841 Broadwayの住所はレーベルのこの部分に入っている。

<見開き問題>
今回の紙ジャケの見開き「アイランド」はロスト・オリジナル(ほんとはこうなる予定
だった)ということで許せる範囲では?という好意的な意見もあった。
しかし、この見開きのアイランドのジャケには諸説があるのだ。

・UK盤は当初見開きの予定であったが、予算が足りなかったのでシングル+インサート
 になった。
 上記英Record Collector誌のプライスガイドにも初版はGatefoldであると書いてあるが
 どうもこれは間違いのように思える(インサートと混同しているようだ)。

・US盤は当初UK盤と同じ仕様になる予定であったが、予算が足りなかったため、
 インナーだけを使った見開きジャケにした。

・日本盤の初版LPはUK盤と同じ仕様だが、予算が足りなかったという話は今まで聴い
 たことがない。ちなみにワーナーなので米アトランティック系列であり、US盤と同じ
 仕様になっちゃってた方が納得できる。

ということで、UK盤の"予算不足シングル説"はどうも信憑性がない。
そもそもあのインサートは当時ぶちぎれ状態であったピート・シンフィールドが怨念をこ
めて作ったものであり、今回の紙ジャケのような形になる可能性は低いと思う。
ジャケの単価を考えても"US予算が足りなかった&ジャケがアメリカ人には暗すぎる説"
を個人的にはとりたい(何がなんだかわけがわからん、という人がいたらスイマセン。
別に大したことではないので気にしないでください)。


UK盤のインサート及びその他のジャケの内側。赤丸の部分は上がUKアイランドロゴ、
下がUSアトランティックロゴ。左下はブックレット。

UK盤及びディスクユニオン特典のインサートは内側から盤を取り出す。
ユニオン特典の方は色味がじゃっかん黄色っぽい(日本版てこうだったかも)。

さてこのシンフィールド制作のインサートだが、USではジャケにしてしまったので不都
合が生じている。

まず表側を揃えてならべる。上がUK、下がUS、中央がユニオン特典。背の部分のバンド
名、タイトルはこの時点ではそろっている。

横に開いてひっくりかえすと、UKとユニオン特典は天地がひっくりかえるようになってい
る。USはそのままだ(いや、だからなんだってことはないんですが、ユニオン特典はよ
くできてるな、ってことで)。

<フォーメンテラ・レディはどこまで?>
このアルバムの1曲目と2曲目はつながっているのだが、昔から曲時間表記がまちまちで
いったいどこで曲が変わるのか物議をかもしていた。

上から時計回りでCD(JP)、UK、US、ユニオン特典、紙ジャケ。

CD(JP)は10:16/7:33(1曲目/2曲目)
UKは9:55/7:20(ユニオン特典も同じ)
USは5:45/9:30
紙ジャケは時間表記をしていない(JP/EUとも)。

トータルタイムも少しずつ違うのだが、入ってる音はいっしょである。
結局紙ジャケのトラックタイムを確認したところ、10:18/7:29で二つ前のCDに近い。
現状でのフリップの考えということか。それにしても変なところで区切ってるなぁ。

<リハーサル>
アナログ盤のB面ラストに入っていたリハーサル風景は前回のディフィニティヴ・エディ
ション・リマスターではカットされていたのだが、今回めでたく復活。
フリップは前回はエンジニアのミスであるとのたまわっていた(自分が監修したくせに)。
ちなみに検証1でいっていた最後の言葉は”ワン”ではなく”スリー”でした。

今回比較したものにはすべて収録されているが、日本ワーナー初版、及び上記ディフィニ
ティヴ盤には入っていない。その他の日本盤LPは未確認。
日本盤でなんで削られたのかは謎である。たぶん間違ってマスターに入ったんだと思った
んでしょうが....。

なおこのリハーサルがくっついたアルバム最後の曲は、
ジャケの曲時間表示では通常9:14だが、CD(JP)のみリハとあわせて11:54と記されている
(へんなとこで律儀ね)。

<ディスクユニオンの特典>

ディスクユニオンのオリジナル特典は今回さらにヒートアップした。
・「ポセイドン〜」「リザード」はロックエイジ帯付き
・「アイランド」は初版ワーナー帯にさらにインナー・スリーヴ・レプリカつき。しかし
 せっかくユニオンの特典がここまでやってももとが見開きではあまり意味がないのだ。

また「宮殿」の検証で四角の下のリボンがちょっとちがうなどと細いことをいっていたの
だが、今回は完璧に再現されている。脱帽。

黄色で囲んであるのがその部分。今回は完璧。

ユニオンさん、次は「太陽と戦慄」と「レッド」のオリジナル仕様シングルスリーブだ!
(無謀?)

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