THE BEATLES
LET IT BE ... NAKED
ミニ検証 ザ・ビートルズ
レット・イット・ビー..ネイキッドを
聴いてみました


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現在2003年11月23日でございます。
ビートルズの最新作が出たんで聴いております。今回はCCCD問題とあわせて話題沸騰。
探検隊も掲示板で暴走していた手前、それじゃ聴いてご報告しよう、ということになりま
した。CCCDなんて、たとえビートルズでも絶対買わない、といってましたが、心をあ
らめました。このサイト、買ってみなけりゃはじまらない、ってサイトでしたわ。

上 
EU   LP 07243 595438 0 2
下左から
EU   CD 07243 595713 2 4(UK国内向け?)
EU CCCD 07243 595714 2 3
US   CD CDP 7243 595713 2 4
JP CCCD TOCP-67300/01

今回はもはや一般化したインターネット通販を利用して色んなとこから買ってみました。
ワールド・リリースは11月17日でしたが、ここにあげたブツの入手経過は以下の通り。

11/13  JP CCCD 2137円 2割引購入
11/18  US   CD 1680円 AMAZON通販 (発送 11/17)
11/19  EU   CD 1850円 TOWER通販 (発送 11/18)
11/20  EU CCCD 1699円 HMV通販 (発送 11/19)

ってさみだれ式にやってきました。みなさんはいかがでしたか?(これは別に通販サイ
トの価格やスピードを比較してるわけじゃありません・・というかこれじゃ比較になり
ませんわね)。
で、聞き比べを11/22に予定していたのですが、肝心のアナログ盤が入荷延期。ええ〜、
アナログがないと紙製のジャケットがないんで、タイヘン困っちゃうんですけど(最近
この検証は紙ジャケとあまり関係なくなってきちゃってますが)。
HMVに予約していたのに、発送予定が12/16とかいうメールがきました。それじゃま
にあわないよ。.....ま、いいか、やっちゃおう(わりといい加減)。

で、2003年11月22日に聞き比べをやってみようと準備をしていたところ、隊員から
ケータイに連絡が!
「オーイ、レコファンに入ってるぞ〜」
この情報が2人から連続して入ってきました!やった〜、即ゲットだー。

てなことでアナログ盤も無事間に合いました。
11/22  EU   LP 2980円 レコファン
いやー、持つべきものは優秀な(レコ屋毎日まわってる)隊員ですなぁ(といっても
その2人は今回不参加なんだけど・・・)。
日本盤のアナログも12/10に出る予定なんですが、今回はもうあきらめます。
出た後に、もし誰か買ったら追加するかもしれません。
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これって、どーゆうアルバム? 
さて、ネイキッドですが、実になんというかよくわからない、いろんな捉え方ができる アルバムなわけで、なんでこれを今頃出したのかイマイチ釈然としません。 新作なのか、復刻なのか、来るべきDVDのサントラ?、それとも単なるやり直し? 頭をまっさらにして、先入観なしに聴こうとしても、曲がはじまっちゃうともはやそん な白紙で聴けるわけがない!だって知ってる曲の知ってる演奏ばっかりなんだもん。 さすがビートルズだけあって、音楽雑誌各誌が特集。レココレ、ストレンジ・デイズ、 CDJ、日経エンタ、DIG、宝島別冊、サウンド&レコーディングなどが本屋で百花 繚乱状態。様々な方が色々な立ち位置でこの作品に対して意見をのべています。音源比 較、関連レア盤、制作状況、インタビュー、時代背景なんかもバッチリ。 この上、われわれごときが書くことなんてな〜んにもありません。本を読みましょう! (って終わっちゃだめか)。 雑誌を読んでて不思議かつ面白かったのは今回のプロデュース/エンジニアを行った アラン・ラウズ、ポール・ヒックス、ガイ・マッセーのインタビュー。 ストレンジとサンレコは同じインタビューを元にしたようですが翻訳/編集によって感じ が変わっていて興味深いです。 でも共通してるのは、曲選択、テイク選択、曲順など、ホントに全権委任状態で自由にや ってるんだなーってこと。ポールやヨーコはできたのをきいてOKを出してる。 リミックスを使ったリマスタリング作業ともいってます(そうすっと復刻か?)、でも違 うテイクをあえて選んだりしてるしなー。 これがこの間のZEPのライヴプロジェクトのようなものなら非常にスッキリしてます。 なんの疑問符もありません。文句なく「やったー、ZEPの新譜だ〜」っと諸手をあげて 万々歳。しかもペイジが「あーもうスタジオをいったり来たりでスンゲー忙しかったよ」 なんていってるんだから、素直に熱くなっちゃいます。 ポールやリンゴが「実にいい仕事をしてくれた」なんていってるようじゃ、オイオイ、お 前らの新作じゃないのか?と思います。どのテイクにするとか、曲順どうするとか、人ま かせでいいの?・・・やはり「イエローサブマリン」の流れの復刻作業でしょうか。 映像が間に合わなかったサントラ?そもそも、もともとのスペクター版も新作なのかサン トラなのか判然としなかったわけですけど。 =================================================================================================================== CD/CCCD4種の比較
聴けば聴くほど???となっている状態ですが、まぁともかくそれぞれのCDをながめて みましょう。 左上がEUCD、右上がCCCD、どちらもEMI UDENとMATRIXに刻印してあるオ ランダ製造です。 ”NEW LET IT BE...”の印象的なステッカーはプラケに直接貼ってあります。 CCCDの赤丸部分がCCCDステッカー。”詳細は裏を見てね”って書いてあるだけ。 左下がUS盤CD。ステッカーはシュリンクの上から貼ってありました。 右下が日本盤CCCD。CCCDしか出ませんでした。CCCDとキャンペーンのステッ カーがシュリンクの上から貼ってありました。 ”このCDはパソコンでは再生やコピーができません” この”CD”?再生できない?などなどこれだけでもツッコミどころ満載なんですけど、も うやめておきましょう。さんざんいったし。 日本盤だけ分厚いケースに入ってます(日本版ブックレットついてるからですね)。 でも歌詞/対訳などは従来通りなんで、これはもう掃いて捨てるほど持ってるよー、NEW LET IT BE..なんだったら内容に即した(実際に歌ってる)歌詞がよかったのにと思いました。 ”歌詞は作者によって正式に認められたものを採用しております”とことわり書きがあるの ですが、テイクを選択しなおして新たなスタンダードを作ったのではないのか?とフト疑問 に思ったりして。もちろんこの場合の焦点は「ロング・アンド・ワインディング・ロード」 の歌詞が変わっているとこですけど。 ま、あんまり細かいこといってもしょうがないですね。 裏面、EU盤はAPPLEロゴ+Parlophoneロゴ、US盤はAPPLE+CAPITOLロゴ、日本版はAPPLE +EMIロゴになってます。このへんのロゴがならんでると、やっぱりなんかうれしい(笑)。 でも背表紙はEU盤もParlophoneじゃなくてEMIロゴです。 左からEU、EUCCCD、US、JPCCCDとならんでます。 盤面。右上のUS盤以外は内径まできっちりと印刷されています。印刷はEU盤が写真の濃淡 などいい感じです。日本盤もけっこういいです。 下はどちらもCCCDで左がEU、右がJPです。赤線が引いてある部分がCCCDのロゴ。 CDロゴは上記4種どの盤にも一切ありません。これは一体ドーユー規格のソフトなんでしょ うね。 そういえば国内盤は広告にもCDとかCCCDとか何も書いてありませんでした。 ”ボーナスCDつき”もしくは”ボーナス・ディスク”つき、ってだけです。 (もちろんボーナス・ディスクもCCCDなわけですけど)。 これは国内盤のチラシですけど、これもCDともCCCDとも書いてありません。 なんなんだ?予約票ついてるけど、予約したら何がくるんだ?DVDか? (なんてのはヘリクツ)。 CCCDを推進しているのなら堂々とCCCDロゴを表示しとけばいいのじゃないか なとも思うんですけど・・。 またこのチラシ類を見てもわかるように、日本盤の発売日もけっこうドタバタして ました。 まず9/18に告知解禁。この時は11/17世界同時発売。 10/21に、11/11日本先行発売に変更。 さらに10/23に11/14の日本先行発売に変更されたわけです。 輸入盤対策だったのでしょうか。 日本盤がCCCDだったことも関係あるのでしょうか。 日本盤裏面の記載事項。買ってからじっと読むと、なんでこんなもん買っちまったんだ、と 自分がイヤになってきます。無責任商品を買ってながめる消費者の気持ち。 帯の裏にはもっと詳細に書かれていて、クラクラします。 EU盤CCCDの裏面に記載されているDETAILS。詳細、っていうわりには簡素。 日本盤CCCDとかなり違います。なにしろあの唾棄すべき免責事項がどこにも書いてあ りまへん。 "Playback problems may be encountered on some equipment"(赤線部分) ってだけ。日本盤の”・・交換・返品・返金には応じかねます。”とか”・・如何なる損害に ついても補償いたしません。”などという消費者の神経をさかなでするような言葉は一切ない のです。しかしこれだけでも欧州の方は怒っているわけで、「問題が生じる機械があるかも、 ってオレのはどーなんだよー、こんなもん危なくて買えるか!」っていってるわけです。 日本はさらに、問題が起こっても補償しないっていってるのに買ったんだから、買ったあなた が悪いのよ、状態です。 もう一つの違いはEU盤は対応機器にMACがあること。 ってことでMACにブチ込んでみたら、見事に再生されちゃいました(OSのヴァージョンは 制限されてますけどね)。 日本製は”再生できません”と書いてあり、中にはさらに”再生を試みないでください”って 徹底して書いてあります。itunesで再生できた、って報告もあるのでドライヴによっては再生 するかもしれないのですが、そこまで書いてあるんですから今回は試してません。 再生されないはずなんです(笑)。 CDSのヴァージョンが違うのかもしれませんけど、なんで日本はEU製と同じ方式を採用し ないんでしょ?なにか規制とか契約とかでうまくいかないんでしょうか。 =================================================================================================================== で、音質だ!
ではそれぞれの音質はどうなんでしょ。とにかく内容は楽しめます。これが楽しくないわけが ない。だけど内容とか感想とか音源とかはそれこそ雑誌にもっと詳しい人が詳しく書いてあり ます。われわれの意見よりそっちを読んだ方がいいでしょう。 まちがっても「ゲット・バック」が タッタカ・タッタカ・タッタカ・タッタカ・タッタカ・タッタカ・ジャン!・ジャン! じゃないぞー。タンダラ・タンダラ・チャン・チャンじゃねえかー。などといってはいけませ ん。元祖ガレージバンドがその凄さを改めて新世代に問うているわけですから。 実際、音は「1」と比べると骨太で、ヴォーカルははっきり前に出ています。逆にいうと低音 がブーミーでヴォーカルがでかいんですけど。 また驚くほどノイズはなく、クリアです。しかし探検隊は過去の検証を見ても「クリアだから ドーシタ」って人が多いんでこの点はあまり関係ありません。 で、US盤はガッチリした音。硬質です。低音部分は特に今風で固いです。悪くいえばデジタ ルっぽくてギスギスしてる。良くいえばパワフルです。 EU(UK)はUSに比べるとやわらかく、レンジもふわっと広がっていて見晴らしがいいで す。各楽器の解像度も米盤ほどギュウギュウという感じには聞こえません。逆にいえばUS盤 よりおとなしい。上品。 聴き比べでは、 「やっぱこれが正解かなー」 「聴きやすい」 という意見も出て、EU盤支持が圧倒的でした。しかしこんなに違っていいの?って意見もあ りました。米盤もMATRIXに MASTARED BY EMI MFG. と刻まれてるんですから、マスター(ってどのマスターだ?)はいっしょのはず。でもやっぱ り音質が違うんですね。結局、検証が終わってからずっと聴いてるのはEU盤CD。 こっから先は問題のCCCDです。CCCD問題で重要なのは音質云々ではなく、商品のあり 方、発売元の責任に関してのところだと思うのですが、まぁとりあえず聴いてみましょう。 結局のところCDの規格ではない新しくでてきた規格?のソフトのわけで、その実力を試して みるのが今回の主旨。もちろん不正コピー問題というのはやっぱあるわけで、対処の仕方がこ の方法でいいのかどうか、という疑問は残るわけです。現在の、著作権を重視する流れと、情 報のデジタル化が進む流れ、このまったく相反するものが根底にあるので解決は簡単ではない と思いますが。 さて聴き比べですが、機器への影響に関しては悪い噂もよくきくので、今回ほとんどの人が自 分のとこのプレイヤーで実験するのを避けました。で、生け贄となったのはY隊員のミニコン ポ用プレイヤー、DENON UCD-F07ってヤツ(ちなみに持ち主は当日不在。許してくれ)。 一応何かあってそこで終わっちゃうといけないんで、デジタル・ビデオ・カメラで撮影しなが ら再生!(なにやってんだホントに)。 EU盤CDをかけている状態から JP盤CCCD(未使用)にかけかえてみました。 ディスク情報のロードに少し時間がかかりましたが、きちんと再生されました(といっても1秒 ほどの差なので問題ない範囲です)。 うーむ。なんかギスギスして奥行きがないんだけどUS盤みたいに前にでてこなくて高音はのび ないという・・・US盤とEU盤の悪いとこどりな感じ。ヴォーカルはおとなしいEU盤よりガ チっと出てきますけど平面的。 「でもこれはCCCDのせいじゃなくて、もともと日本盤だからなんじゃ?」 という意見もありました。 今までの英国製CDと日本製CDでも似たような違いはあったんで、そうかもしれません。 前に一度「イマジン」のリミックス/リマスターで比べたことがあるんですけど、その時の UK SWINDON製と日本製の差に比べればそんなに差はないです。 「イマジン」のSWINDON盤はたいへんみずみずしかったのですが、今回の「ネイキッド」 のUDEN盤はそこまでではありません。もちろん、もともとの音がかなりドライな音づくり というのもあるでしょう。 ということで次にEU盤CCCDをかけてみます。これも問題なくかかりました。 「あ、こっちの方がいいね!」 どういいか、というと、その直前にかけていた日本製CCCDよりいいということです。より EU盤CDに近い(って、そりゃ当たり前だろーが)。 日本で買ったヤツが何人いるかわかりませんが(世界でも少なかったりして)、EU盤CCCD を買っておいてよかった。比較にならないとこでした。 ということでEU盤のCDとCCCDを比べて聴いてみることにしました。 パッと聴いた感じはほとんど違いはありません。これくらいだったら比べないとわからない程度 なので家庭で普通に聴いている分にはCCCDの音質に関しては大きな問題ではないのかもしれ ません。 もちろん再生機器が違うともっと違うのかもしれませんが、今回はそれほど差は感じませんでし た。このDENONと、ついでにBOSEのウェストボローでも聴いてみました。 CCCDの方は、音の余韻がのびない、つまってる、ヴォーカルとバック(例えば「アクロス・・ 」のアコギのとことか)が分離せず、混然としています。「アイヴ・ガッタ・フィーリング」など で音場がせまくなったように感じる。また「ロング・アンド・ワインディング・ロード」のヴォー カルにのってるノイズはCDではほとんど気にならないのですが、CCCDだと耳につくように感 じます。 日本製CCCDとEU製CCCDの共通点は、なんかザワザワ感があるところです。落ち着かない というか、それぞれの楽器がある場所にピタっとおさまらない。ピンぼけだったり焦点があったり というのが繰り返されている感じです。もしかして長時間耐久テストなんかをすると、CCCDと CDでかなり違いがあるかもしれません(耐久、っていうか人体実験なんですけどね)。 EU盤CDとCCCDはほぼ同じと書きましたが、CCCDのあとにCDを聴くと、なにかCDプ レイヤーが1ランク上の機種になったかのように感じるという意見もありました。音が伸び、ヌケ がよくなり、スカッとするということですが、これはさっきのフォーカスと関係あるかもしれませ ん。 ヘッドフォンで聴いて感じたことは、CCCDはかける度に少しずつ違う、ってとこです。ある部 分が1回目はCDより高音に張りがある(伸びないけど)、で、もう1回同じとこを聴くと今度は つまってる・・・。といった具合です。 この4種ならオススメはEU製CDということになります。 JP製CCCDならEU製CCCDの方がいいのですが、オススメしません。 US製CDはお好みでどうぞ、ってとこでしょうか。 EU製のアナログ盤です。ボーナスディスクは7インチに収録されて付いてます。 音の傾向はもちろんEU製CDに近いです。ヴォーカルがCDよりも分離して宙 空に浮き、奥行きもあるため、声なんかはすごくいいです。ただ元々おとなしい EU盤CDがさらにおとなしくなった、ともいえるのでUS盤CDなんかと比べ るともっとガッツが欲しくなることも確かです。 裏返してみました。盤はシングルも重量盤です。ジャケは幅広背表紙=WIDE SPINE(笑) です。ポールは気に入ってるかも? ジャケとブックレットの見開き内側。やっぱでかいと迫力あります。 収録時間の35分強はほんとにアナログ向きなんで、何度もかけて聴いちゃいま した。いろいろ文句もいいましたが、LPできくとやはり落ち着きます。もし元 々このアルバムがホワイトアルバムの次に出ていたら、「ハード・デイズ・ナイト」 なみに好きなアルバムになっていたかもしれません。 (ジャケのデザインはもう少しなんとか・・・) まぁDVDがいっしょに出なかったんでどうもスッキリしなかったのですが、「イ エロー・サブマリン ソングトラック」のようにちょっと中途半端な位置にあるビ ートルズのアルバムを復刻させたもの。その第2弾、と感じています。映像がいっ しょに出ていたらもっと意図がわかりやすかったかもしれません。テイク選択で特 徴的な「ロング・アンド・・」と「ドント・レット・ミー・ダウン」がどちらも映 画で使用されたテイクなので余計その感は強いです。 ではバトン・タッチ! (ところでこのCCCD、コレクションとしても持っていたくないんだけどな・・ どうしよう)。 =================================================================================================================== 今までのレット・イット・ビー
はい、現在2003年11月24日。 ネイキッドを楽しんでるとこ。上の方ではアナログよりCDの方がいいかもとか いってるけど、こっからはアナログオンリー。CCCD?部下にでもあげちゃい なさいよー。 ではまず、ゲット・バック/ドント・レット・ミー・ダウンの英シングル、 UK APPLE R5777 わ〜、でかい。最近ネット環境がよくなったからか、探検隊も画像を最小限に する努力を怠ってるぞ。 さてこのシングルだが、間違ってもネイキッドと聴き比べてはいけない(オイ!)。 ネイキッドのうたう生々しさはオーヴァーダブなどの加工がない、ということ なんで意味が違うといえば違うのだが、エコーがかかってようがなんだろうが 音質的に圧倒的に生々しいのはこっち。あらためて聴いてこれだけ違うという のもけっこう驚きだった。フレッシュさで100万光年彼方にいる。 B面の「ドント・レット・ミー・ダウン」も同様だが、ネイキッドは映像で使 用されたルーフトップ・ライブのテイクなんであんまり比較にならない。 確かに演奏的にはこっちのネイキッドの方がガレージっぽい。荒削りでラフ、 つうかあってない(笑)。でもどんなミスも間違いもそのまま、って精神の GET BACK魂からいったこれでいいじゃん、って感じ。 エラくかっこいいよ(ズレが・・)。 「レット・イット・ビー/ユー・ノウ・マイ・ネーム」 左が悪名高き日本盤 アップル/東芝 AR-2461 右が英盤 R5833 英盤の音は「ゲットバック」と同様。ブラスが入ってようがエコーが昔っぽ かろうがズーンとくるのはこっち。背筋にビリビリきます。英シングルもこ っからステレオ。 日本盤はジャケにSTEREOって書いてあるけどなんと音はMONO。でもステ レオミックスを強引にMONOにして収録したにせMONO。てのは有名な んですけど、久しぶりに聴いてみたら音そのものはそんなに悪くない。ネイ キッドよりは生々しい。でも、なんかグシャーとしてるしピアノがゆれてた り、ヘンといえばヘン(モノにする過程でなんかあったんでしょうかね)。 「アクロス・ザ・ユニバース」の鳥の羽音入りヴァージョンが入った NO ONE'S GONNA CHANGE OUR WORLD 英REGAL STARLINE SRS5013 コーティングされたパンダ・ジャケがいかす。 同じテイクから色んなヴァージョンが出ちゃったこの名曲だが、音質的に最 もナマなのはこの盤か?アコギもすごけりゃジョンのヴォーカルも最高。変 調されてるのも当時のジョンらしくてグッドだし、鳥の羽音もリアルだ。 もちろん今回はダビング排除、変調なしで収録。 ネイキッドの精神でいえば、この形での収録ってのも納得。 最後にエコーがかかってるけど、最新リヴァーブで21世紀っぽい。 さてここまでがグリン・ジョーンズ/ジョージ・マーティン系(?)。 こっから先はスペクター版。 まずは米盤と日本盤。 上が米 APPLE/abkco AR34001 見開き、赤リンゴレーベル。 下が日 APPLE/東芝 AP-9009 日本盤の方はボックスに入ってたヤツで黒盤。赤盤もある。米のような見開 きタイプも発売され(AP-80189)、そちらにも赤盤がある。 今回の聴き比べで、衝撃度が最大だったのはこの日本盤。いっしょにきいて た人がのけぞってしまった。 「な、なんじゃ〜、こりゃ------」 わー、こんなすごいと思わなかった。とおいー、なんて遠いんだ。出だしの 「トゥ・オブ・アス」はなんかの間違いじゃないの?ってくらいボソボソ。 米盤のcounter-feitを間違ってかけちゃったかと思いました。B面の何曲か はそれほどでもないけど、なんでしょ、たまたま盤がヘンなプレスだったの か?これならネイキッドの方が異常にナマナマしい、確かに。 「これがみんなこんなだったら、30年以上これを聴き続けたオレの友人は」 あわれな・・、じゃなかった。そのお友達、きっとネイキッドを最大限楽し めますよ!(なぐさめになってない・・・)。 米盤は米盤らしいポンっと前に出る音でやわらかく、悪くない。 裏ジャケは日米とも英の最初と同じ赤りんご。アラン・クラインのabkco のクレジットが入ってますね。 で赤りんごレーベル。12月号のレココレによるとこれはセカンド・レーベル です(トホホ)。黄色い部分の作曲クレジット、P.D.の後にメンバー4人の名 前が入ってるのが最初のレーベルとのことだ。そうだよなー、これ、マトの末 尾が16とかだもんなぁ。 でも同じレココレで言及されていたBell Soundのクレジットは入ってました。ち なみにこれは西海岸プレスの盤。 んでこんなのも彫ってあります。Phil+Ronnieだぁ?こりゃあれか、スペクター夫 妻か?誰が彫ったかしらんがビートルズのアルバムを教室の黒板みたいにあつかう な!これじゃまるで「あいあい傘ラク書き」じゃないかー(って実は深い意味が隠 されてたりして)。 ほんで英BOXのPXS1(PCS7096) 実はこのアルバム、ず〜っとあんまり好きなアルバムじゃなかった。ビートルズの オリジナル・アルバムの中でもほとんど聴かないというか、つまらないと思ってい た。でも、この英盤を聴いた時はびっくりしました。なんかもう、アコギがそれま で聴いてきた日本再発LPとかと全然違う。ジャキーン!って鳴るのである。もう ジャキジャキ(笑)。ピアノの美しさ、ドラムのスネアのスピード感など、あーわ たしが間違っておりました。やっぱりくさってもビートルズはすごいですぅ、とひ れ伏してしまったのである(大ゲサ)。「アイブ・ガッタ・フィーリング」がいい 曲だということも英盤を聴いてはじめて身にしみた。どんな状態でも一度4人が演 奏すれば、最高級のバンドだったんだ。そう思うにはこの英盤が一番。 MATRIXの末尾は2U/2U。大体これみたい。ちなみに参考になるかどうかわからな いが10時方向の数字はA面がなし、B面が2を斜線で消して1。 裏側。ジャケ裏のリンゴが赤い。とにかくコーティングをほどこしたBOXが美しい。 なにやらこのBOXの表と裏を使ったシングルジャケの見本盤?も存在するようだ(そ うすっと裏側は真っ黒ってこと)。 コレクターさん的には箱の中のトレイの状態が肝心(本が重いのでこわれやすい)。 これをネイキッドと比較すると、逆説的にどーしてスペクターがああしたか、せざ るを得なかったのか色々バカな推測が考えられて面白い。 大体スペクターファンからしてみれば、いかに落ち目とはいえフィル・スペクター がやって音が悪いわけがない。しかも、スペクターに頼んでおいて、テープわたし ておいて、何もするな、っていうのは愚の骨頂で、スペクターらしさがどこかにあ ってこそ、頼んだかいがあろうというものだろー、っと思うはずですわな。それに あの陰鬱な映画に使うのだ(昔名画座で見たきりなのでこうゆう印象)。映画を盛 り立てなきゃーって、ハリウッドばりに大ゲサにしなきゃーってアラン・クライン から要求があったかどうかはわかりませんが、ウォール・オブ・サウンドとはいか ないまでも何曲か一般受けしそうな曲はマントヴァーニがはだしで逃げ出すくらい 甘くすると思う。 だって、スペクターに頼んだんだからさ、それをのぞんだんじゃないの? ネイキッドのLPと英盤を交互にきいているとそう感じる瞬間もあって面白い。ス ペクター版がヘルプのサントラ盤みたいに半分スペクターのオケヴァージョンのみ で出て、同時にネイキッドも出てたら、どんなによかったかとしばし妄想。 問題の「ロング・アンド・・」もオケがかぶさっていようが合唱団がいようが、ポ ールの声が生々しいのは英盤の方。でもなんで、テイクをわざわざ変えたんだろう? アンソロジーですでにオーバーダブなしは発表されてるし、そっちを入れればよか ったんじゃないだろうか?映像に使われているテイクなので、音を洗いなおさなけ ればならず、その副産物として出てきたのだろうか?それもあるかもしれないけど このネイキッド版に採用されたのが最終の第19テイクというのが気になる。 マーク・ルイソンの「レコーディング・セッション(SHINKO MUSIC刊)」を確認 してみるとスペクターは1969年1月31日の18テイクを使ったと書いてある。レコ コレ12月号によるとスペクターが使ったのは1月26日のテイクであり、グリン・ジ ョーンズがポールに使いたいと申し出たテイクとのこと。これはまぁ最新研究の26 日説をとろう(アンソロジーが出た時にそういう話になったんだっけ)。 そうすっとグリンが幻の「GET BACK」を作る時に、従来のテイクを選択し、その流 れでスペクターも使ったということになる。 なんで最終テイクを使わなかったの?26日のはリハテイクなんでしょ? まぁどっちが演奏としていいか、っていうのはわれわれには判断できないのだが、で も最終テイクなんだから、やはりネイキッド版がOKテイクだったのでは? ベースがヘン?いや、これくらいのミスはGET BACKのコンセプトの範囲内だと思うの だが・・。スペクターはともかく、グリンにとっては、特に。 で、今回のネイキッド収録の最終テイクを聴いてみると、どうもノイズっぽい。という かヴォーカルにかかっていたノイズをかなり除去したような気がしてならない。 例えば開始から30秒くらいの"It always leads me here"の"always"のとこなんて消しき れなかったノイズの残骸が・・・。こっからまったくの推測の与太話になってしまうの だが、ネイキッドをアナログ盤で聴くとアナログの魔力かどうか、いくつかヴォーカル が細くなっているところが耳についてくる。切断された四肢の幻みたいな、そぎ落とさ れたノイズの幻影を感じてしまう(笑)。 もう完全な妄想領域に突入してしまうが、その場合、演奏はよくて、これを入れたかっ たんだけど、ノイズがひどくてレコードには入れられなかった可能性が出てくる。グリ ンが最終テイクじゃなくあえてリハテイクを選んだのは、演奏じゃなくて録音上の不備 の問題? これはノイズっぽいからネイキッドがダメといってるのではない。ノイズはもう許容範 囲まで除去されている。これがスゴイ、という話。もし、最終テイクが本来のOKテイ クだったのに今までノイズのせいでリリースできなかった。それが現在のデジタル・テ クノロジーのせいでリリース可能なクォリティまで編集できた、ということだったらま さに大喝采ものだと思う。それでこそ2003年にリリースした意義が・・というか技術 の進歩バンザイ!生きててよかった状態なんだが・・・。 などと幻想を抱かせてしまうのもネイキッドのいいところ。他にもいろいろ考えさせて くれそうだ。 レココレのトリヴィアのせいで不幸のズンドコ。どーせオイラの英箱本は3版すよ、へ ぇへぇ。という第3版扱いになってしまったゲット・バック・ブック。赤線の部分のク レジットがないのが初版だそう。へぇー。 でもこの本はとても美しい、素晴らしいオマケです。今さらもう1冊買い直すことなん てとてもできそうにないんで、もう一生第3版でいいっす・・・。 =================================================================================================================== オマケ 探検隊トリヴィア?
なにも対抗してるわけではないのだが、なんかゲットバックブック3版事件のせいで 終わりにくくなってしまったので、オマケをつけとこうっと。 上記の本ではないが、毎年毎年初版が更新されて悲鳴が後を絶たないビートルズのオ リジナル問題。最近の話題?はサージェント・ペパーズの初版ジャケ。 果たしてトリヴィアになるか? 2〜3年くらいまでの説は裏ジャケ右下に”Patents pending"のクレジットがあるのが 初版。2版からは削除という説。ビートルズでは「オールディーズ」までこのクレジ ットはついてるし、ちょっと前の1967年5月に出たジミヘンの1stにも入ってる。 だから最初はこのクレジットがあったというもの。 でも、もう一つサージェントには背表紙の幅が広い(Wide spine)というタイプのもの があり、 下が幅広、上が通常の背表紙。 幅広タイプの方には”Patents pending"のクレジットがない。じゃあこれが2版かな、 と思っていたのだが、ポールが当時のぞんだのはこの幅広タイプで、初回が幅広という 説もある。 じゃ、”Patents pending"は最初なくて、後からつけたされたのかというと、このクレ ジットを上から赤くぬりつぶし、その上からコーティングしたジャケも存在するので ある。上からコーティングしてあるのだからジャケの製造過程で修正が入ったものだ ろう。したがって”Patents pending"のある方がやっぱ先か? てな感じでいきづまっていたところ、”Patents pending"のジャケの中にはヘンなもの があるという。 内ジャケの折り返し部分(赤丸のとこ)にヘンなクレジットが入っている。 なんて書いてあるかというと、"fourth proof"と書いてある。 プルーフというくらいだから承認用で、もしかして4回目の色校だか念校だかが、あわ てて印刷までまわちゃったもの?? コッチ側にはヘンな数字が書いてある。 実はジャケの色味の具合もプルーフだけあってよさげに感じる。この"fourth proof"ジャ ケ、幅広背表紙版にも存在する。 ということは???? ”Patents pending"も幅広背表紙も最初からあって、どちらにしろ "fourth proof"ジャケがサージェントの初版ジャケではないかと・・・ 0.5ヘェくらいかなー、まぁまたいつひっくりかえるかわからんしな。 とゆーことでオマケでした(トリヴィアになってないぞー)。 <おしまい> ===================================================================================================================
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