ヲザワのような終始鈍感な猫と、鈍感ではなかったにしてもすっかり老いて反応の鈍くなった老猫との暮らしが長かったので、何にでもぴんぴんと反応するコバケンには驚かされることが多い。
たとえばコバケンは眠っていても、冷蔵庫で氷が出来るガラガラという音がすると、はっと目を覚まして耳をそばだてるし(ヲザワは何事もなかったようにぐっすりと眠っている。)、二匹が寝ている部屋をのぞきに行ったりすると、だいたいコバケンだけが目を覚ましてこちらを見ている。最初はまだ心を許していないということなのかと思ったのだが、単純にヲザワよりも物音に対する反応がいいということのようだ。
夫が帰宅してドアの鍵を開ける音もいち早く聞きつけて玄関に飛んでいくし、目覚まし時計やキッチンタイマーのアラームが鳴ると人間が動くのも承知しているようで、止めに行くとだいたいコバケンが先回りして待っている。夫の帰宅はその後の猫缶タイムと直結している(夫は帰宅するとまず二匹に猫缶を与えるのが日課だ)から反応がいいのは当然だとしても、目覚ましやアラームのような生活音にまで猫が反応するとは思わなかった。猫の学習能力はこんなところにも及ぶのかと、見ていて興味深い。
でも気がかりなこともある。以前はチャイムが鳴ると玄関に走っていっていたのが、最近はソファの下へと逃げ込んでしまうようになった。来客の少ない我が家の生活に慣れ、着々と人見知り猫への道を歩んでいる気がする。ヲザワは人が来ると全く姿を見せなくなるので、コバケンに接待猫をやらせようともくろんでいたのだが、社交性の乏しい飼い主の元で接待猫を育てるのは無理というものかもしれない。
2010年10月18日掲載 ▲