●イヌ(犬)は身近にあるので、普通の動物園にはいない。田舎へ行くと「ワンワンセンター」という、様々な犬と遊べる施設がある。犬の専門誌も『ワン』という。春団治(初代)の「旦那の御馳走(初廻り)」には「チンコロ」という犬が出る。かつては愛玩用に狆やスピッツ系の犬が多かった。「ラッシー」のような利口なコリー犬もあった。日本ではあまり犬を食さないが、そんなに不味い肉でもないようだ。チャウチャウ料理も今はないのか。名犬は「リンチンチン」で、やはり狆だ。岩合さんに教えて戴いたのだが、和犬の秋田犬、土佐犬、柴犬などは正式には「あきたいぬ」、「とさいぬ」、「しばいぬ」と読むそうだ。しかし甲斐犬だけは「かいいぬ」とは呼ばず、「かいけん」と呼ぶ。

●ロバ(驢馬)のパン屋は確か京都の発祥で、今でも車で売りにくる。ロバのパン屋のロバは実は小型の馬だったそうだが、ロバも馬の親戚みたいなものなので、顔が愛くるしければ良い。王様の耳はロバの耳で、宰相の耳は芳一か。

●ハト(鳩)が益鳥だとしたら何故公園で「ハトにエサを与えないで下さい」と大書してあるのだろう。ひょっとしてハトには害鳥に該当する部分があるのかも知れない。大阪・守口市立土居小学校の校歌には「ぽっぽろぽう鳩が鳴く」という歌詞がある。タイ料理か何かでハトのス−プがあって、かなり旨いということだ。煙草のピースの鳩は公募作品で米国人の、ハイライトは和田誠デザイン。鳩レースには興味があるのだが、いつどこで開催されているのだろう。

●ニガムシ(苦虫)は必ず噛み潰される。果して蓼よりも苦いのか。しかし何故他人はああも苦々しい顔つきなのであろうか。苦虫が常に口中に居るが如し。

●ホトトギス(杜鵑)は「てっぺんかけたか」と鳴くそうだが、鳴かされたり、鳴くまで待たれたりと大変。カッコウの仲間で、コヤツも閑古鳥系か。大阪ド−ムには居ないだろうな。

●ヘビ(蛇)の世界では青大将が若大将に勝って、田中邦衛が加山雄三に勝つ。建て替え前の拙宅では、青大将が住んでいて、数年に一度遭遇した。長い皮を残していたこともあった。テレビで小泉武夫先生が、永良部海蛇を旨そうに食っていた。ジャの道はヘビか。

●トラ(虎)を飼っている人はそう居ないが、拙宅の隣市には居た。そういう風情でご近所付き合いは可能なんだろうか。真珠湾攻撃の暗号は「トラ・トラ・トラ」であった。そして小拙は今日も大虎。虎の威を借る狐も狐であればまだ許す。テンコ−女史は虎の飼い主。

●チ−タ(cheetah)は、最近フジテレビのポスターになっていた。整形やら化粧やらスタイリストの汗やらで最初は誰か判らなかった。若い奴の前で「チータも化けたなあ」とやったら、この人チータなんですか、と。九州オゴジョも今は昔。オコジョ(蝦夷鼬)というイタチ似の小動物がある。

●リス(栗鼠)は尻取り遊びには何故か頻繁に出る様におもう。ニューヨーク郊外の住宅では、庭土に穴を開けたり、実を奪ったりの害獣扱いであった。扱いレベルはモグラ並か。

●ヌー(gnu)には、地味な印象がある。動物番組等でも「食べられて当たり前」級で、ピラニアの餌の金魚の様な扱いを受ける。色合いと大群行動がそういう印象をもたらすのか。広辞苑によると尾の白いオジロヌ−と尾の黒いオグロヌ−があるそうだ。

●ルリカケス(瑠璃懸巣)は南の島の天然記念物で、大阪には居ない。瑠璃色は石の色から出ていて、紫色系の紺色。私家版なのに全てが広辞苑情報。「る」は難しい。

●オオカミ(狼)は動物園で見ると、足の長さに驚く。熊もそうだ。確か白土三平の『カムイ外伝』に「一匹狼」の成り立ちや性質のきちんとした説明が成されていて感心した覚えがある。しかし送り狼にしても「赤頭巾」にしても、名悪役ブリが目立つ。キャラクターでは「ゴルゴ13」か。母性本能が強いのか、カマラとアマラは立派に育った。

●ワシ(鷲)は舞い降りる。酔った儂は舞い踊る。鷲は鷹の大きい奴のことらしい。鷹匠は居ても鷲匠は居ない。アメリカの国鳥が白頭鷲で日本は雉だって。そりゃ負けるわ。

●カメ(亀)は万年生きるとされるのであるが、春団治(初代)の「厄払い」には、縦書きにした「亀は万年」を「カメは一カ年」と読み違う場面がある。和歌山・田辺市の南方熊楠邸には、熊楠が飼っていた蓑亀がつい最近まで生きていた。熊楠は淡水藻の研究家でもあり、悪戯で藻を移植し、浦島太郎を乗せる亀に似せた。

●ヨタカ(夜鷹)は夜に徘徊し、フラフラしている男を捕まえて、骨を抜く。そうした男女が夜な夜な食べていたのが「夜鷹そば」。落語「時うどん」では初日二人で、翌日アホが一人で行く。江戸の「時そば」になると、初日から一人で、アホは横で聞いていて翌日出掛ける。一杯十六文というのは同じ。

●タヌキ(狸)は狐と共に物語の名脇役であった。しかし、都会などではイタチばかりで、動物園で見る。八畳敷は雄の話だが、信楽に行くと雌狸も居る。落語「豆狸(まめだ)」は名作のホマレ高いが、三田純市氏の創作。面白哀しいが、好きな話である。神戸の大丸前のお好み焼き屋の前で狸を見たが、まさかと思い「狸によく似た猫を見た」と云うと、そいつは「猫似の狸」なんだと。

●レオポン(Leopon)は、ヒョウの雄とライオンの雌が合体して生まれた。長年阪神パークに居たが、流石にもう聞かない。

●ゾウ(象)の時間はゆっくり流れる。サイズは時間概念の枠組みを決める。ピーター=ビアードの「The End of the Game」では、リアルな描写の中に幻想が加わって、今でも象の方がヒトより高尚であることが判る。まどみちおの「ぞうさん」はあまりにも有名。

●ツチノコ(槌の子)はABCラジオ「おはようパーソナリティ・中村鋭一です」でブームになった。様々な情報が寄せられたが、その後どこへいったのであろうか。当時のラジオ番組で「シュトメトオガメラ」という呪文があったが、あれは何語なんだろう。

●ネコ役は女役。レズビアンの世界ではそう云うそうだ。猫=>三味線=>芸妓という語源。ではタチは何なんであろうか。

●ナマズ(鯰)をナマスにすると、「ナマズのナマスざます」と云うことになる。生のナマコは「ナマナマコをナナコ下さい」と云うことになる。ナマコのナメコ和えは「ナマコのナメコ和えを舐めた」と云うことになる。「鯰絵」とは鯰を描いたものであったか。

●ラクダ(駱駝)の第一印象は「アラビアのロレンス」で、確かピーター=オトゥールがノシノシと行軍するというシーンであった。ロレンスは馬だったか。コブが一つのラクダは乗りにくい。落語「らくだ」は、主人公のらくだが最初から死んで居ないという珍しい話。飲んだ屑屋の豹変ブリが面白オソロシイ。

●ムツゴロウは、有明海の代表選手で畑正憲の愛称。蒲焼にすると中々美味なんだそう。珍名「陸奥五郎」氏は実在するか。

●ウ(鵜)匠の本資格は国家公務員級で、天皇と同じく男系の男子が地位継承する。京都などで行われる鵜飼は、長良川から鵜を借りて行う借鵜の鵜飼。ともすると鵜は国有財産か。岐阜だけの鵜飼シンジケート。

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