4人でたらふく呑んで喰って 4000円!
という書き込みをインターネットで見つけた筆者は、んなことあるのかよぉ と早速、長年の友人である“廻る寿司評論家”と真偽確認のため出かけることにした。一見掘建て小屋風のその店は、道の曲がり角にひっそりとあった。あらかじめ情報がなければ決してこれが焼き肉屋だとは気づかずに通り過ぎるだろう。勇気をふりしぼって入る。いたるところで、火山の噴火のように真っ白い煙が天井に向かって垂直にもくもくと上がっている。一瞬、戦慄を覚えて後ろを振り返ってしまったが、もはや後の祭りだ。棚の5体の招き猫はいい感じに燻製されてことごとく真っ黒であり、もはや原型を想像するのは難しい状態になっている。
元気の良い兄ちゃんが注文を取りに来て、大振りのカクテキ キムチ盛り合わせ、生キャベツのザル、ピッチャーに満杯のウーロン茶を置いてくれる。メニューを参照しつつ慎重に注文を行う。なにしろ、件のBSE騒動以来、安くて旨い焼肉屋は絶滅して久しい。数日前のミ○タ○○カイの悪夢も蘇る。それは出された肉の味が全て同じで、古い冷凍庫に特有の奇妙な臭いがまとわりついている感じがした。あれは冷凍肉の問題なのか、オージービーフの問題なのか 筆者は未だに結論を出しかねているのだ。ここは安いと言う事にまどわされず、少しだけ頼んで様子を見ることにする。しばし考慮の後、カルビ480円、霜降りロース780円、てっちゃん380円を一人前ずつ注文する。
恐るべき巨大な皿に盛られた大量のモヤシと袋から出したままと思われる四角い塊状態のエノキが添えられた肉が到着。さっそく焼く。火力の調整がままならないせいか、焼くというよりこれは、むしろ燃やしているに等しい状態が続く。しかし、肉の状態は予想外に良い。冷凍されてないのだ。実はここは焼肉屋であると同時に、お肉屋さんでもあった。これは… いける。タレはにんにくが多過ぎる気もし、個人によって好みが分かれると思われるが、驚くべき事にここは旨くて安い店であった。ちなみに筆者はタレをほとんど使用しない派である。
調子に乗って、ごはん170円 特製スープ280円 カルビ、ロースを追加。運ばれてきたごはんとスープはどうみても二人前の分量があり、しかもスープはわかめ・タマゴ・肉の混合型であった。さらに肉の到着は同時にさらなるエノキの襲来をも告げていた。食事そのものに疲労困憊した我々取材班は、しばし鉄板上の炎の競演を楽しんでいたのだが、それを見た店の兄ちゃんが大慌てでやってきて消火活動を敢行してくれた。
この歳になると食事が予想外に体力を消耗するものである事を人々は悟る。車で行ったこともあって呑まなかったのだが、この時点で一人1500円! つまり、あの大振りのキムチ盛り合わせ(おかわり自由!)、生キャベツのザル(おかわり自由!)、ピッチャーに満杯のウーロン茶(おかわり自由!)、大量のモヤシと袋から出したままと思われる四角い塊状態のエノキは本当にサービスだったということになる!! 4人で4000円は子どもを含めた家族という設定ならありだな、というのが二人の出した共通の結論であった。あ〜、死んだ。
焼き肉 味楽 堺市八田北町329
電話番号 0722-79-4143
営業時間 15時〜22時
定休日 火曜日
駐車場 店の前と裏に駐車場あり