フリーター、ニートという言葉ができた。娘のシュウカツですら、どれほど費用がかかったか! お金がなければシュウカツも転職もできない現実。貯金がなければ、次が決まるまで転職したくても不安でできないだろう。20〜30代の貯蓄率グラフをTVで見たが、昔とは違って今の人たちは貯金が大事とわかっているように思えた。年金もあてにならなくなるのか? それは寂しいことなのか……
昔はまず人事へ電話をかけて大学名を言うと、「残念ですが、あなたの大学は採っていませんので……」などと言われて終わるか、「あまり採ってないけれど会いましょう」と言われて会いに行き、資料をもらったりしたものだ。電話で予約をとれたら、あとは面接を2回ほどすれば内定が出た。今のように6次選考(もっとあるところもあり)なんてとても考えられない。面接の回数も、なぜ多くなったのか? ESの応募が1万も集まるような会社は、いっそのこと2次ぐらいまでは抽選にしてはどうか。国立の小学校が受験で抽選を実施していると聞くと、それもありかなと考えてしまう。あるいは、初めから特定の大学でしか応募不可能、人数が足りない場合のみ他大学もOK、というふうにするなど。ネットで簡単に応募できる今、ある意味で線引きも必要かなと感じた。
今後はどうなるのだろう。ある学者いわく「ネットの普及で誰もがいつでも活動可能になった。深夜でも1日中でも、いつでも可能だからこそ余計にやる気をなくしてしまう」。数の選択が増え、応募は楽になったが先へは簡単に進めない現実がある。大学の偏差値、学部格差も昔と変わっていない気がした。ESを200枚出しても進めるのが3つだとしたら、やる気をなくしてもしかたがないかなと思う。未来の学生たちは、どのようなシュウカツをしなければ仕事を得られなくなるのだろう?
ネットがなければ成り立たないシュウカツの現実に疑問を持つ企業があることも、資料から多少感じられた。かといって、PCなしでは人事の人数からいっても無理だろう。PCをうまく活用しつつも、PC漬けにならないようなシュウカツは可能なのか?
決まった会社にどんな気持ちで勤務するか、できるか? 配属は? 運も半分かと思う。大学生の数、企業も増加しつつある現代、社会人としての一歩を気持ちよく踏み出せればいいなと、最後の学祭を迎えている4年生を思って祈りたい気持ちだ。
卒業してすぐに仕事をバリバリできるわけがない。だからこそ、しっかり研修を受けられる体制があり、(もちろん企業である以上は資本主義の利益追求は絶対だろうが)その努力を惜しまず、学生たちを長い目で見てくれる企業を歓迎したい。女性待遇面でもいろいろ言われる昨今、娘には健康で成長できるような仕事を得てほしいと願いたい。健康を気遣った長い半年だった。
54歳の母が20代、30代の未来に思いを馳せる契機となる、娘の長い就職活動だった。春から健康で元気に働けることを祈り、母から見たシュウカツ観察記を締めることにしよう。
(了)
2007年2月4日号掲載
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