かぐや
拝啓
月をみあげたとき
もう彼女はいないけど
あれは優しさで
曇った雷雲のように
弱い人が背中から
けらけら笑っていたけど
あれも人の子 ひかるいのち
彼女が消えたからといって
自転は繰り返し 雲は流れる
地上にあまりに物が多く
いのちが白くたちのぼってゆく
白く青いあの月へ
おそらく遠近法にしたがって
なにか違うものを許すために
2010年3月1日号掲載
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