ある日のこと
丘をよじのぼると 少し悲しくなった
からす、おなが、せきれい、つぐみ
わたしは鳥と仲がいい
ありとも少しは仲がいい
でもありは忙しいし
鳥が夜、どこで眠るか知らない
ピンポンと宅急便の人がくる
たぶんいつもと同じ人
でもその人の名前を知らない
花の名をたくさん知っても
花が咲かない日もある
自らを投げ捨てるかのよう
虹を探しているひともいる
わたしは丘のうえで
右手に赤い花を持ち
ふんわりとした 陽のなかで
頭上のひかりと考えていた
せまい あわい
この世界のすみで
2010年4月19日号掲載
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