投石のちから
誰かがとぼとぼ歩いていたら
石を投げてみるといい
彼らはねているし
すこしばかり疲れている
石があたらなければ
気付かないかもしれない
年月を経るとやがて
良いとか悪いとか
そんなことばかり言うようになる
石にあたった誰かが
もしも顔をあげたら
その人をちゃんとみて
いちばん美しく光るところを
黙ってみつめていよう
そうしているうちに
石は透明になり 人は生まれ変わる
そう、例えば花のよう
ひとは雨をうけ、熱に乾き
静かに 咲くことができる
咲くことができる
2010年5月26日号掲載
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