p r o f i l e

 

 私事に拘泥して申し訳ないが、ここのところ何回か書いているように友人のクリス・ヘイルがニューヨークに去った。偶然、わたしがこの日DJをしている間、客がほとんどいなかった。先週まではいつもクリスがいたのにという思いを抱かずにはいられない。まあ、いままでが恵まれていたんだ。これも修行だと思い直した。

 季節は夏である。今回は、ちょっと趣向を変えて、レゲエっぽい、あるいはダブっぽいヤツをかけようと思って選曲した。2006年8月16日、つくばのカフェレストラン「アストロラウンジ」にて。

 

01
Phat Planet / Leftfield
Leftfield をかけるのは初めてか。重低音のビート。このビートはかっこいい。

Leftfieldには多くのアルバムはない。デビューのLeftism(1995年)、Rhythm and Stealth (1999年)の2枚。それ以外では、Stealth Remixies (2000年)
というリミックスCDがある。

彼らは、Paul Daley と Neil Barnes の2人組。1989年ロンドンで結成。時にラップを入れたりしているが、それはあまり気にならない。わたしにはその重低音ビートの方がずっと耳に入る。車で彼らのCDを聴いていたら、高校生の娘が「お父さん、何、ラップなんて聴いてんの?」と言うから、「ああ、そうか、確かにこの曲、ラップだなあ」と改めて気がついたくらいだ。
この曲はダブっぽい。この曲は、Rhythm and Stealth から。

02
Skin and Stone / The Flying Lizards
前にもかけたことのあるthe secret dub life of the flying lizards(1995年)というアルバムから。The Flying Lizards については何度も言及しているので、ここでは割愛する。

03
sun beats down / Sunahara Yoshinori
砂原良徳についても何度も扱っている。LOVEBEAT (2001年)から。かっこいいテクノである。

04
Genius / Quando Quango 
ニューオーダーのバーナード・サムナーなどファクトリーレコーズ系のアーティストが参加したプロジェクト。1985年のアルバム Pig & Battleship から。なお、このアルバムのタイトルは日本の映画作家、今村昌平の映画『豚と軍艦』から取られている。

05
Saturn / A Certain Ratio
ファクトリーレコーズ系のアーティスト。彼らの2002年の2枚組の初期ベスト盤 Early から。ファンクである。

06
Wareika / Twilight Circus Dub Sound System
彼らのことは何度かかけている。これも同じく The Essantial Collection(2002年)から。もちろんダブである。

07
Whirl-Y-Reel 2 / Afro Celt Sound System
夏らしく彼らの曲を。
彼らのファーストアルバム Sound Magic vol.1 (1996年)から。

08
Dub in the Fog / Mute Beat
やはり日本のダブといえば彼ら。Lover's Rock (1988年)から。

09
Chunga's Revenge / Gotan Project
以前にもかけたこともあるアルバム、La Revancha Del Tango(2001年)から。

パリをベースにしたグループ。1999年結成。バンド名から分かるようにタンゴなのであるが、現代的な解釈が施されている。ラテンの香り。

10
Faraway / Melon
いつかかけたかったこのグループ。あれは1979年の春だっただろうか。翌日の大学受験のために泊めてもらった友人のアパートで深夜番組で Plastics の Top Secret Man のプロモーションビデオを偶然見たことをわたしはいまでも良く覚えている。衝撃だった。当時日本ではがすでにテクノポップというジャンルを確立しつつあったが、後続のバンドとして幾つかの若いバンドが取り上げられていた。シーナ&ロケッツ、Pモデル、ヒカシューなどがそれらのバンドと目されていたが、わたしにはプラスチックスこそがそう目される資格のあるバンドだと思っていた。Top Secret Man のチープな感じは、新しかった。もちろん現在の感覚でこれをテクノと呼ぶのはちょっと無理があるだろうが、当時はこれがテクノと呼ばれていた。アルバムは、Welcome Plastics(1980年)、Origato Plastico(1980年)、Welcome Back(1981年)の3枚。その後、立花ハジメはソロとなり、中西俊夫と佐藤チカらはヤン冨田、屋敷豪太らと Melon というバンドを結成する。

この曲は、DEEP CUT という1987年のアルバムから。彼らはこの Melon の他に Watermelon というバンドもやっていて、こちらはトロピカルな音楽をやっていた。もちろんその傾向は Melonにも反映されていて、ゆったりとした癒し系。作曲には屋敷豪太が参加しているからこういう傾向は彼の影響ではないかと思える。以前一枚彼のソロアルバムを買って聴いたらこういう曲が並んでいた。こういう曲ばかりだと飽きてしまうが。

11
Stranger Than Love Dub / Mark Stewart
以前にもこの曲の別バージョンをかけたことがある。元Pop Group のリーダー格 Mark Stewart の Mark Stewart というアルバム(1987年)から。エリック・サティのジムノペディがリミックスされている。手法はダブ。プロデューサーは、奇才Adrian Sherwood。

12
Observe Life / New Age Steppers
というわけで最後をしめるのは、New Age Steppers。これは、Adrian Sherwood が仕掛けたプロジェクトである。アルバムは3枚。New Age Steppers(1981年)、Action Battlefield(1982年)、Foundation Steppers(1983年)。この曲は2枚目のアルバムから。

イギリスのブリティッシュレゲエ界の奇才。ボーカルは、元Slits の Ali Up。Adrian Sherwood と Mark Stewart は盟友である。

 

2007年1月1日号掲載

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