「北欧って、なんだかヘンテコな文化圏なのね」というのが、本作鑑賞後の第一印象。『かもめ食堂』の舞台となったフィンランドもどこかヘンテコだったけれど、あれはやはり日本人女性監督ならではの感性が迸っていた。
そういう意味で、スウェーデンのロイ・アンダーソン監督による本作は混じりっ気なしの北欧印。そして、ヘンテコ北欧映画の中でもぶっちぎりのオンリーワン! アキ・カウリスマキもベント・ハーメルも、本作のシュールさには太刀打ちできない。でも、だからといって「ついていけない」なんて言わないで。確かに、語られるエピソード同士に明確な繋がりはないし、その一つ一つのエピソードのどれをとってもぶっ飛んでいるけれど、でもやっぱり繋がっている。この監督はちゃんと繋げている。
その接着剤は <人間という存在に対する愛情>。人間が好きなんだね、この監督は。心の底から人間が好きでたまらないというのが、この作品にはよく表れている。こんなヘンテコな映画もそうそうないけれど、こんなに愛に溢れた映画もそうそうない。そういうところ、僕は好きだなあ。
尚、本作の公開を記念して、ロイ・アンダーソン監督のデビュー作『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』(1970)も公開決定! これ、1971年に『小さな恋のメロディ』の併映作として『純愛日記』のタイトルで日本公開されたそうだけれども、当時、なぜか20分もカットされての上映となったそう。今回が初の完全版公開!! 『ベニスに死す』で一世を風靡した美少年ビョルン・アンドレセンが脇役でスクリーン・デビューした作品でもあり。これ、必見!!
愛おしき隣人 http://kittoshiawase.jp/
4/26〜 東京:恵比寿ガーデンシネマ
5/10〜 大阪:梅田ガーデンシネマ
6/上〜 兵庫:神戸アートビレッジセンター
6/下〜 京都:京都みなみ会館
ほか、全国順次公開予定