銀幕ナビゲーション-喜多匡希

あの空をおぼえてる

クライマックスに涙ダダ漏れ!  あとで読む

あの空をおぼえてる

 竹之内豊の7年振りとなる本格映画出演が話題となっている作品だが、実質的に彼は助演。主人公は妹を交通事故で亡くし、同じ事故から奇跡の生還を果たした男の子だ。竹之内豊と水野美紀はその両親を演じている。

 ちっちゃな男の子が、死んでしまった妹のことや、自分のこと、両親のことなど、色んなことを考える。無理して明るく振舞ってみせたり、自分の存在を責めたり。その様が、見る者の胸を締め付ける。そればかりか、父親は父親で自分を責め続け、殻に閉じこもり、母親はそんな父親を責めたりする。子どもにとってはとてもつらい状況。その果てに、どんどん自分を追い込んでいく。大人の世界がわからない。大人の考えていることがわからない。けれど、なんとかそこに寄り添おうとする。両親に立ち直って欲しいと願う。同時に、自分もこの状況から抜け出したい!! その切実な願いが、ひたすらに胸に迫る。

『非・バランス』『ごめん』で少年・少女の心の機微を描いて天下一品だった冨樫森監督が、久方ぶりにその持ち味を発揮しているのが嬉しい。ラストが少しとってつけたような過剰感を覚えるが、クライマックスでは涙ダダ漏れ。心に残る佳品。

あの空をおぼえてる http://www.anosora.jp/

4/26〜 東京:新宿バルト9ほか
4/26〜 大阪:梅田ブルク7ほか
その他全国一斉ロードショー中

2008年5月5日号掲載 このエントリーをはてなブックマーク

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