URACIO

 体調を崩してしまったこともあって、新作映画を殆ど鑑賞できていないという体たらく。新作映画にこだわったコラムを持つ身としては、甚だ恥ずかしい限りです。

 比較的最近観賞した作品だと『ユナイテッド93』『46億年の恋』『機械じかけの小児病棟』『スーパースター★カム・サヨン』あたりを特におすすめしたいところなのですが、残念なことに、ほとんどが上映終了となっているのがまた苦しいところ(これから上映開始となる地方もありますが)。今回、これらの作品はタイトルを列記して軽いご紹介に留めることにしておきますね。どれも私としてはおすすめしたい作品ですので、機会があればご覧下さい。

 今回は、いつもとは少し目線を変えて、自主映画にスポットを当ててみたいと思います。

 皆さんは、自主映画というものをご覧になったことがおありでしょうか?

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 自主映画というのは、普段からアンテナを張っている人意外にはなかなか届きにくいものだと思います。「映画好きだよ♪」という人は世の中に多くいらっしゃいますけれど、自主映画も積極的に鑑賞するという人は、正直、それほど多くはないのではないかと。かく言う僕も、これまで多くの自主映画を鑑賞してきたわけではありません。しかし、いざ見てみるとこれがなかなか興味深い世界なのであります。

 日本の自主映画史というのは、8mmビデオが普及し出した1970年代に大きく拡大したものです。ピンク映画と自主映画は、日本の若手映画監督の登竜門の2本柱だったと言えるでしょう。以後、PFF(ぴあ・フィルム・フェスティバル)など、自主映画にスポットを当てた映画祭や、上映会が全国で催されるようになりました。自主映画から商業用映画に進出した監督としては、大森一樹・石井聰亙・黒沢清・塚本晋也・犬童一心・手塚真・橋口亮輔らがいます。

 そんな中、DV(デジタル・ビデオカメラ)の普及により、自主映画が大きな注目を浴びるようになったのが1990年代。自主映画の可能性というのもまた、年月と共に広がりを見せています。

 既存の商業映画とはまた違う宝捜し感覚が自主映画鑑賞の醍醐味。少ない情報と、玉石混交の中、「これは!!」と思える作品と出会えた時の喜びといったらありません。

 余程の注目を集めない限り、常設映画館でのロードショーが行われることのない自主映画ですが、自主映画を集めた映画祭や上映会には、また特有の熱気があり、面白いものです。

 さて、ここからは告知・ご案内となります。

 そんな中、9月23日から、来年2月末までの半年間に渡り、大阪の若者文化のメッカである心斎橋アメリカ村において、【URACIO】というイベントが開催されることになりました。

 毎年、【CO2(シネアスト・オーガニゼーション・大阪エキシビション)】という自主映画の映画祭があり、次回も来年の2月末に梅田HEPナビオで上映会(コンペティション審査あり)が催されます。

【URACIO】は、その、来年2月末の映画祭本番に向けて盛り上げていこうという、関連イベントとしての側面を持っています。

 9月23日〜2月下旬までの半年間、心斎橋アメリカ村で新たに【CO2上映制作支援センター】:通称【URACIO】というスペースをOPENし、<半年続く映画祭> をスローガンに展開していくとのことです。飲みながら、話しながら、映画を見るという、アート・カフェ状のスペースとなる予定。

【URACIO】では、映画に限らず、音楽・アート・サブカルと、多岐に渡るイベント内容を組み、観客とアーティストの交流も盛んに促していくとのことです。

参考までに公式HPなどをご紹介しておきます。

【CO2】HP http://www.co2ex.org/
【URACIO】HP(今のところまだTOPページのみ。近日完成予定) http://uracio.com/
【URACIO】mixiコミュニティ http://mixi.jp/view_community.pl?id=1301221

 10月以降は、まず7日に <吉浦康裕と語らう会> として、たった一人でCGアニメ:『ペイル・コクーン』を採り上げた吉浦康裕監督のトークショーが催されます。その他【シリーズ:「…と飲む」】として、10月27日には中原昌也氏(三島賞作家・ミュージシャン・映画評論家)、11月3日には高橋洋氏(脚本:『リング』『女優霊』、監督:『ソドムの市』)をそれぞれ招いてのトークショーや映画上映が決定しています。

 これは、なかなか凄い布陣ではないですか! 著名なゲストも多く、低予算の手作り企画としては、大変力が入っているなあと。この後も、豪華ゲストを招聘すべく、交渉を続けておられるようです。平日も、毎日自主映画の上映やライブ・パフォーマンスなどが何かしら行われるとのことで、アート&サブカル好きの方に広くおすすめしたい長期間イベントとなっております。その他、詳細はHPでご確認ください。

 ちなみに、開催場所は大阪市中央区西心斎橋2-18-6 アベニュー心斎橋ビル2F(アメリカ村三角公園西隣 ampmの2F)という絶好のロケーション。

 私の友人であり、自主映画の監督でいらっしゃる西尾孔志さん(代表作:『おちょんちゃんの愛と冒険と革命』『アカシック・レコード』『ループゾンビ』『ナショナル・アンセム』など)が企画・運営に携われており、私も期間中は度々会場に足を運ばせて頂くつもりです。そのため、今回は告知をさせて頂こうと。

 地理的な問題や、時間的な問題のため、【URACIO】に来場されるのが困難という方も多くいらっしゃると思いますが、自主映画のイベントというのは、調べてみるとかなり多く、全国各地で催されています。自主映画がお好きだという方にはもちろんですが、今まで、自主映画にそれほど関心を抱いたことがないという方にこそ、一度その世界に触れてみる事をおすすめしたいなと思うのです。きっと、新鮮な驚きがそこに満ちていることでしょう。貴方がご覧になった作品に関わった監督やスタッフ・俳優が、将来大物になるかもしれませんよ。

 映画には色々な形があるのです。自主映画もその1つ。是非とも、一度目を向けてみて下さい。

 また、劇場でお逢いしましょう!!(会場で、本当にお逢いできるかもしれません)

2006年9月25日号掲載

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