『9.11-8.15 日本心中』
大阪プレミア上映

WEB電藝読者の皆様、あけましておめでとうございます。本年も、「劇場で映画を見る」ということに拘った新作映画紹介を通して、映画とスクリーンの魅力をお伝えして参りたいと考えております。

 さて、お正月作品も全て出揃い、新春第二弾作品の公開まで一段落といった感のある映画興行界。そんなホッと一息といった時節ながら、私は <とある計画> を実現すべく、初冬から現在まであれこれと動き回っておりました。その <とある計画> とは、 <私の住む大阪で未だ上映されたことのない劇場用映画の上映会を自らの手で行おう!> というものです。

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 一年の間に、日本の映画館で一般公開される作品は、思った以上に膨大な数に上ります。何せ、日本は世界中で最も一年に公開される映画の本数が多い国であるのです。世界広しと言えども、日本ほど多種多様な映画が公開されている国は他にありません。

 そんな中にあって、問題が一つ。

 【東京集中】

であります。

 東京には実に多くの映画館や上映施設が存在します。そのため、ほとんどの作品が公開されるという状況にあるわけですが、それに比べると、東京以外の地域との格差は年々拡大の一途を辿っていると言ってよいでしょう。東京に続いて上映環境が整っていると言えるのは大阪・名古屋・福岡などの大都市ですが、東京と比べると、その状況にはかなりの隔たりがあります。地方ともなればその状況は更に深刻で、ごくごく限られた作品(メジャーの拡大公開作品や、単館系の大ヒット作品)以外はそうそう劇場に掛かる事がありません。最早、東京は映画を取り巻く環境において特権的と言うべき実に恵まれた環境にあるわけです。

 そんな状況の中で【東京では劇場公開が行われたけれども、その他の地域では全く公開されない】といった作品も意外なほど多く存在します。更に、そういった作品の中には【ソフトリリースの予定もない】といった物も多く、されたとしてもセルのみであったり、ソフト化まで何年もの期間を要したりとい不遇な状況があるのです。

 私はこういった状況に対して、かねがねこう思ってきました。

【「見る・見ない」の選択は観客の判断に委ねられるべきである。しかし、「見たい!」と思う作品がそれを見る事のない状態にあるということは、観客にとっても作品にとっても不幸なことである】

 東京以外の地域に暮らす人間がこういった作品を見ようと思うならば、東京に出向かなくてはいけない。しかし、実際問題として、1本の映画を鑑賞するためにそこまで出来るかというとなかなかそうはいきません。となると、方法は一つ。

【自らが暮らす地域で上映会を挙行する(もしくは「見たい!」という声を上げる)】

これしかありません。

 と言いながら、私はこれまで行動に移すことなく、ただただ「東京が羨ましい……」と羨望するだけといった日々を送ってきたのです。

 そんな中、『9.11-8.15 日本心中』という作品の存在を知りました。「9.11」(アメリカ同時多発テロ発生日)と「8.15」(終戦記念日)という、2つの歴史的にも重要な日を結び合わせて、現代日本と世界の自由を希求するというドキュメンタリー作品とのこと。この作品に、私は観賞意欲を大いに刺激されました。この作品は、昨年11月に東京で劇場公開され、連日大入りの大ヒットを記録。今年3月にはアンコール上映も決定するなど、大きな反響を呼んでいる作品なのですが、残念な事に、現在のところ地方上映の予定が立っていないとのことです。

 私は、またしても「見たいのになあ……東京はいいなあ……」と羨んでいました。そんな中、ネット上で「ならば、君が声を上げてみればいい」というアドバイスを頂き、一念発起。ダメ元で、配給会社様にお話を伺ってみたところ「作品は観客の目に触れなければ意味がない」という部分で大いなる賛同を頂き、あれよあれよという間に、映画配給に関してはズブの素人である私のプロデュースという形で上映会を行うことになりました。

 上映会場は、以前に本コラムでご紹介したこともある大阪心斎橋アメリカ村のイベントスペース&カフェ:URACIOに決定。【CO2ドキュメンタリー特集】と銘打った特集上映プログラムに組み込んで頂き、【『9.11-8.15 日本心中』 大阪プレミア上映】の開催が決定した次第です。

 それに際して私が代表を務める【M−LINE−CINEMA】というプロデュース・レーベルを発足することにもなりました。「LINE」という言葉から連想する「線」「つなぐ」という言葉を理念とするレーベルです。上映会実現に至るまでには、 様々な人々の助言や協力がありました。 この「つながり」が無くてはこの上映会は存在しないのです。そして、今度は上映会の開催を通して、<作品と観客> <発信者(作り手や上映会企画者・関係者)と受信者(観客)> との間にも「つながり」が生まれて欲しいという意を込めました。来る初の上映会が成功を収めれば、第2回・第3回と続けていきたいという野望(笑)も抱いております。

「作品を作品として提供する」という重要性を噛み締めつつ、上映会当日まで粉骨砕身して参る所存。

 ご興味の御座います方は、是非ご来場下さいませ。

 以下、告知となります。

2月3・4の2日間、大阪心斎橋アメリカ村のカフェ&上映スペース:URACIOにて、ドキュメンタリー映画の特集上映を行います。

日程 2007年2月3日(土) & 4日(日)
上映会場 大阪心斎橋アメリカ村:URACIO=CO2支援センター&カフェ&上映スペース
【CO2】http://www.co2ex.org/
【URACIO】http://uracio.com/
イベント名 CO2=シネアスト・オーガニゼーション大阪エキシビジョン ドキュメンタリー特集
イベント内容 CO2プロデューサー:康浩朗作品アーカイヴ上映&日本最先端のドキュメンタリー作品『9.11-8.15 日本心中』大阪プレミア上映による刺激的な2日間
上映スケジュール

3日(土)19:00〜 3プログラム
【康浩朗作品アーカイヴ上映】
『むちうたれる者-ドキュメント輪禍』('69)
『オープンスペースを求めて』('70? '71?)
『阿呆船 さかしまの巡礼』('92)

4日(日)19:00〜 2プログラム
【『9.11-8.15 日本心中』大阪プレミア上映』】
<第1回 M-Line CINEMA上映会>
『9.11-8.15 日本心中』('06)

【康浩朗作品アーカイヴ上映】
『1968大阪の夏 反戦の貌』

料金 1日券……1,500円 2日券……2,500円
9.11-8.15 日本心中 http://www.nihonshinju.com/

 この【CO2ドキュメンタリー特集】に関しましては、現在、事前予約も受け付けさせて頂いております。URACIOは定員40名:立ち見を含めても50名という小規模の上映スペースです。満員の場合、誠に勝手ながら、ご入場をお断りすることになってしまいますので、今から「絶対に見たい!」とお考えになられている方には、事前にご予約されることをおすすめ致します。現在、3・4日共に予約可能です。

予約申し込みは……

●お名前●観賞希望日(3日or4日、もしくは両日)●ご予約人数

を明記の上、M−Line CINEMA代表:喜多匡希までメールをお寄せ下さい。責任を持ってお席を確保させて頂きます。

 この度は、告知・宣伝を兼ねて、映画を取り巻く環境についてお話させて頂きました。

 また、劇場でお逢いしましょう!!

2007年1月8日号掲載

< 不都合な真実(2007/1/29) | 紀子の食卓(2006/12/25)>

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