監督が及川中(おいかわあたる)である。一般的には、Jホラーのヒット作『富江』の監督として知られているだろう。個人的には、『日本製少年』『ラヴァーズ・キス』という忘れ得ぬ2作品を放った監督として注目している人だ。ただ、作品の出来にムラがある。そのため、過剰な期待を抱かずに鑑賞した。ところが、これがなかなかイイ。
昭和58年初夏の雛見沢という架空の小村を舞台にした血みどろのホラー映画。 <因習的な一寒村> というのは、『八つ墓村』『悪魔の手毬唄』などの横溝正史作品を思わせる。実際、原作者は『八つ墓村』をイメージしていたそうだが、横溝ワールド好きにはたまらなく嬉しい。雰囲気作りも上手く、抵抗なく不気味な作品世界に誘われていくのは快感であった。
舞台が昭和なのは、携帯電話によるコミュニケーションを封じようという意図。これもアイデアとして良い。ただ、俳優陣が漂わせる現代臭がぬぐい切れなかったのは残念。とは言え、全体的には充分楽しめる出来栄えであった。主演の前田公輝が驚くほどの上手さ! 演技が導き寄せるリアリティ。彼は逸材だと思う。美少女が大勢登場するのも目の保養に。現在、続編の製作が既に始まっているそう。この出来ならば続編も見ようと思う。
ひぐらしのなく頃に http://www.higurashi-movie.com/
5/10〜
東京:池袋シネマサンシャイン、渋谷Q‐AXシネマ、MOVIX昭島
大阪:シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ
京都:MOVIX京都
兵庫:シネ・リーブル神戸ほかにて全国公開