ギャンブル映画は名作や隠れた秀作の宝庫だ。ルーレットなら『賭博師ボブ』。ビリヤードなら『ハスラー』。そして、何と言っても花形はカード。『スティング』『シンシナティ・キッド』は紛れも無い名作として語り継がれている。
しかし、ギャンブル映画の栄光も今は昔。1980年代に入ると、途端に元気がなくなってしまった感がある。『ゴッド・ギャンブラー』『マーヴェリック』、『ギャンブル・プレイ』(『賭博師ボブ』のリメイク)のように、満足のいく作品は10年に1・2本あるかどうかといった状態。今でもポツポツと製作・公開されてはいるギャンブル映画だが、その未来は決して明るくない。そのため、アメリカ本国でスマッシュ・ヒットを飛ばしたと聞く本作にも、それほどの期待を抱くことはなかった。
しかし、これが実に嬉しい誤算。本作こそ、その【10年に1本の作品】だったのだ!!
スリルあり、サスペンスありと、緊迫した見せ場で手に汗を握らせつつ、視線をスクリーンに釘付けにする様は、まさにギャンブル映画の真骨頂。若手俳優を中心に据えた本作は、青春映画としても実に良く出来ており、笑いと苦さのバランスも絶妙だ。そこに絡んでくるのが実力派ベテラン俳優のケヴィン・スペイシーとローレンス・フィッシュバーンで、この2人が作品に深みを与えており秀逸!
映画の神髄と言って良い <目で見せる演出> が、グイグイと観る者を惹き付けて止まない。122分と決して短くはない作品だが、その職人技とも言える緩急自在の語り口に、心の底から酔いしれた。観たら得する。観なきゃ損する。騙し騙されの快感に満ちた極上の逸品として、声を大にしておすすめしたい。
ラスベガスをぶっつぶせ http://www.sonypictures.jp/movies/21/
5/31〜