「弾丸んねー」と書いて「たまんねー」と読ませるキャッチ・コピーには、まるで一昔前の暴走族の落書きによくあった「夜露死苦!(よろしく!)」の如きバカバカしさと愛らしさに満ちている。と、ここで更に「銃弾2万5千発のエクスタシー!」と、トドメが刺されるのだ。ここで少しでもアンテナを刺激されたなら、あなたは本作を御覧になった方が良い。バカバカしさと愛らしさが絶妙なスパイスとなった、この超ド級のガン・アクション・ムービーに血湧き肉躍ること間違いなしだ!
【ホームレスのアンちゃんが、偶然、見知らぬ妊婦がマフィアに追い詰められている現場に出くわす】というごく短い導入部の後、いきなりの大銃撃戦が展開する。その後、妊婦が出産&ほどなく死亡。かくして、 <ハリウッド版『子連れ狼』> がサクッと誕生。
もうそこからはひたすらに見せ場のオンパレード。もったいをつけることなど一切せず、エンジン全開でラストまで怒涛の勢いで突っ走るのみ! ツカミの部分で観客の視線をグッと惹き付けるという演出は、決して珍しいものではないが、このテンションが緩むことはほとんどなく、以降、全篇に渡って手を変え品を変え、およそ考えつく限りのガン・アクションが繰り広げられるのだから恐れ入った。この過剰なまでのサービス精神が、悪ノリの一歩手前で踏み止まっているのは、監督・脚本を兼任しただけでなく、企画を売り込むために、半年で17,000枚の画を描き、15分のアニメーション作品を制作したという、マイケル・デイヴィスのこだわりと才能が本物だからであろう。
「<イイ奴> と <悪い奴> と <美しい奴> が居れば、あとは見せ方で勝負するのみ!」という、シンプルかつわかりやすい設定も潔い。寡黙な凄腕ガンマンをクライヴ・オーウェンがクールに演じてクールに決めれば、エキセントリックな悪玉をポール・ジアマッティがジャック・ニコルソンばりのオーバー・アクティングで嬉々としており、実に楽しそう。更に、肉感的な肢体の持ち主である娼婦をモニカ・ベルッチが演じて花を添える。この、きっちりとツボを抑えたオーソドックスな土台があるからこそ、安心して楽しめるのだ。 <最低限の骨組み×テンコ盛りのアイデア×溢れる才能>、これで面白くないはずがない!
シューテム・アップ http://www.shootemup.jp/
5/31〜