銀幕ナビゲーション-喜多匡希

インディ・ジョーンズ
クリスタル・スカルの王国

【お帰り、インディ!!】 あとで読む

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
TM & © 2008 Lucasfilm Ltd.. All Rights Reserved.

 19年振りに <あの男> がスクリーンに帰って来た!

 27の言語に通じ、考古学者として大学教授の職にありながら、世界中の財宝を求めて大冒険を繰り広げるトレジャー・ハンターであるインディアナ・ジョーンズは、『レイダース 失われた聖櫃(アーク)』(1981)で初登場。世界中で大ヒットした結果、当然のごとくシリーズ化され、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝ジョーンズ/最後の聖戦』(1989)と続いた。1980年代に発表されたこの3作で、シリーズは一旦の完結とされたが、続編を望む声は大きく、1990年代には『ヤング・インディ・ジョーンズ』としてTVシリーズ化。若きインディアナ・ジョーンズの大冒険が、22本のエピソードとして描かれた。1980年代の3作品はエピソード23〜25に当たる。そして、2000年代に突入した現在、エピソード26である本作は、最新作としてスクリーンに凱旋を果たした。

 このシリーズは、連続活劇と呼ばれた往年のアクション映画を現代のスクリーンに蘇らせようと企画された。単純明快な冒険活劇は、全世代が手に汗を握って楽しめるもの。映画が娯楽の中心であった時代が背景にあり、TVシリーズ最終話では、なんとハリウッドが舞台であった。そういった事実を踏まえると、インディアナ・ジョーンズはスクリーンの申し子と言って良い存在なのだ。

 そんなスーパーヒーローの銀幕への帰還のため、監督:スティーブン・スピルバーグ、製作総指揮・原案:ジョージ・ルーカス、主演:ハリソン・フォードという黄金トリオが再結集しているのが何より嬉しい。もちろん、製作のフランク・マーシャル、音楽のジョン・ウイリアムス、編集のマイケル・カーン、音響効果のベン・バートも参加している。彼らを中心に、新旧の映画人が集まり、『クリスタル・スカルの王国』は生まれた。

 スピルバーグの真骨頂と言えるジェットコースター・アクションは本作でも健在で、これでもかとばかりに畳み掛ける演出には舌を巻かされた。オスカー女優ケイト・ブランシェットが、敵役であるソ連の女性エージェント:イリーナ・スパルコを演じているのも見所の1つで、ロシア訛りの英語をマスターして挑んでいるところなど、さすがは当代随一の演技派女優と呼ばれるだけのことはある。その上、大アクションにも果敢に挑戦し、新境地を開拓しているのも見逃せないところだ。加えて、シリーズ1作目のヒロインであったカレン・アレンが登場するのも、シリーズのファンにとってはたまらなく嬉しい。この他にも、全編に渡って作り手のサービスが随所に見られ、ボリュームも満点。

 反面、その過剰なサービス精神が整理されきっておらず、とっ散らかってしまった部分があるのは残念なところだが、それも全て観客に楽しんでもらおうという純粋な想いによるもの。「あらら……」と感じつつも、全体として楽しむことができた。何より、お馴染みのメインテーマが流れる中、トレードマークであるフェドーラ(ソフト帽)を被ったハリソン・フォードが登場した瞬間の感動は大きい。

 インディアナ・ジョーンズは、映画が生み出したオリジナルのスーパーヒーローだ。バットマンやスパイダーマンと違って原作が存在したわけではない。となれば、当然、インディアナ・ジョーンズの冒険は映画館の大スクリーンが一番良く似合う。「お帰り、インディ!」「よっ、待ってました!」という心の声が客席を満たして生まれる一体感! その一体感を全身に感じながらスクリーンを見つめる歓び!! 是非、この感動を多くの方に <体験> していただきたい。

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 http://www.indianajones.jp/

アメリカ 122分 配給:パラマウント ピクチャーズ
監督:スティーブン・スピルバーグ
製作総指揮:ジョージ・ルーカス
出演:ハリソン・フォード、ケイト・ブランシェット、シャイア・ラブーフ、カレン・アレン、レイ・ウィンストン、ジョン・ハート、ジム・ブロードベント、ほか

【上映スケジュール】
6/21〜
東京:日劇1、ほか
大阪:TOHOシネマズ梅田、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズなんば、ほか
全国一斉超拡大ロードショー
※6/14(土)・15(日)、先行公開決定!!
※字幕スーパー版・日本語吹替え版、同時公開!!

2008年6月9日号掲載 このエントリーをはてなブックマーク

ご感想をどうぞ ▲comment top

 < 奇跡のシンフォニー | 花はどこへいった>

▲このページの先頭へ


w r i t e r  p r o f i l e
turn back to home | 電藝って? | サイトマップ | ビビエス