TVシリーズ『グレイズ・アナトミー』と、映画『魔法にかけられて』の大ヒットによって、40代にしてブレイクを果たしたパトリック・デンプシーと、『M:I:III』のヒロインに抜擢され、一躍その名が世界中に広まったミシェル・モナハンという、まさしく <今が旬> の男・女優を主演に迎えたロマンティック・ラブストーリー。
【プレイボーイのトム(パトリック・デンプシー)とロマンチストのハンナ(ミシェル・モナハン)は、10年来の大親友。毎週日曜日には共に出かけ、食事や買い物を楽しみ、大いに語り合うという関係を絶やすことなく続けている。男女の仲になったことは一度もない。断じてない。考えられない。なぜなら、ハンナにとってトムは
<夫にするには最低の男> としか思えないし、トムにとってハンナは <友達としては最高の女>
としか思えないからだ。しかし、ハンナが6週間のスコットランド出張に旅立ってから、トムは初めて自身がハンナに恋をしていたことに気付く。
「帰ってきたら告白しよう!」
しかし、帰国したハンナの口から思いがけない一言が……
「出張先で運命の出逢いをしたの。彼と結婚するわ! あなたは一番の親友だから、私の筆頭花嫁付添人をお願いしたいの」
トムはハンナの結婚準備を手伝いながら、なんとかハンナを振り向かせようと奔走する!】というストーリー。
原題にもなっている <MADE OF HONOR メイド・オブ・オナー> とは、筆頭花嫁付添人のこと。花嫁付添人(プライズメイド)は複数いるが、そのリーダー格には花嫁と最も親しい未婚の女性が選ばれるとか。これを、未婚とはいえ、男性が担うというところが本作のミソ。このことは事前に知っておいた方が良いだろう。
恋愛喜劇としては、ストーリーそのものの洗練が足りず、ギャグがいささか下品で露骨。そのため、少々泥臭く感じてしまったのだが、お国柄によって異なる結婚文化は興味深いものがあった。中世ヨーロッパに起源を持つ花嫁付添人だけでなく、スコットランドの結婚を巡る風習には驚くやら笑えるやら。そういった文化の違い、日本人の筆者にはどちらも面白いものに映ったのだ。
この手の作品の常として、ファッションや小物が目を引く。サントラも良い。しかし、特に強く印象に残ったのは撮影の素晴らしさ。ニューヨークとスコットランドの魅力を、見事に切り取って目を見張るものがあった。「撮影監督、誰だ?」と思って調べてみると、これが納得の人選。トニー=ピアース・ロバーツ。『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』『日の名残り』といったジェームズ・アイヴォリー監督作品の撮影を担当し、全世界に英国ブームをもたらしたカメラマンだ。実に良い仕事をしていて、さすがは大ベテランと唸った。
尚、主人公の父親役で、ハリウッドの名監督・名プロデューサー:シドニー・ポラックが出演。本作が遺作となった。
近距離恋愛 http://www.sonypictures.jp/movies/madeofhonor//
原題『MADE OF HONOR』
2008年 アメリカ/イギリス 101分
配給:ソニー・ピクチャーズ
監督:ポール・ウェイランド
出演:パトリック・デンプシー、ミシェル・モナハン、ケヴィン・マクキッド、キャスリーン・クインラン、シドニー・ポラック
【上映スケジュール】
7/12(土)〜
東京:みゆき座、新宿武蔵野館 ほか
大阪:TOHOシネマズ梅田、敷島シネポップ 他
京都:TOHOシネマズ二条 他
兵庫:三宮シネフェニックス
そのほか、全国一斉ロードショー