カンフー・パンダ（銀ナビ）- 文芸マガジン【ウエブ電藝】

自分を信じて努力しよう！　

Kung Fu Panda ™ & © 2008 DreamWorks Animation LLC. カンフー・パンダ

　北京オリンピック開催の年に放たれるドリームワークス製作の長編アニメーション映画最新作は、中華的世界観の中で、ドジだけれど憎めないメタボ体型のパンダ：ポーを主人公としたカンフー・アクション。いかにもタイムリーな作品なわけだが、この公開時期を目指して448人に及ぶスタッフを動員し、実に４年半もの年月をかけて製作したというのだから驚く。そんな大掛かりな製作体制によって作り出された本作は、老若男女を問わず楽しめる単純明快な超一級の面白さ。徹底的にムダを省きつつ、ありとあらゆるアイデアを盛り込んだ凝縮の85分があっという間に過ぎていった。その後に残る充実感がたまらなく心地良い。その面白さは、すぐさまもう一度観たくなってしまうほどで、これはもう <アメリカ・ショウビズ界の結晶> だと断言してしまおう。

　思いがけないカンフー修行に悪戦苦闘するポーの姿が微笑ましい。彼は決して生まれながらのスーパー・ヒーローではなく、自身の運命に戸惑いつつもそこから逃げることなく、やがて運命を受け入れ、次第に成長していく。当初、ポーを嘲笑っていた者も、その頑張りを目の当たりにして心打たれ、彼をサポートするようになる。その様が、グッと胸に迫り、感動させられた。

　ローマは一日にして成らずという格言があるように、成果というものは一朝一夕で得られるものではない。夢があるならば、その目標に向かって <努力> し、それを <継続> することが肝要だ。そうしていれば、自分の力ではどうしようもない壁にぶち当たった時、誰かが手を差し伸べてくれる。運というものも重要だろうが、他力本願に終始してはいけないのだ。ドジでノロマなポーだが、努力することで、徐々に変っていく。不可能を可能にしていく。本作は、その姿を通して自分を信じて努力しよう！というメッセージを送っているのだ。しかも、これがまったく押し付けがましくない。手に汗握るアクションと、思わず吹き出してしまうようなユーモアを全編に散りばめた超一級のエンタテインメント作品に仕上がっているのが嬉しい。字幕版・吹替版ともに出来栄えは上々なので、それぞれの面白さを味わうという手もある。

この夏、家族揃って楽しめる最高のファミリー・ムービー！

カンフー・パンダ　 http://www.kf-panda.jp/

原題『KUNG FU PANDA』
2008年　アメリカ　92分　配給：アスミック・エース＝角川エンタテインメント
監督：ジョン・スティーヴンソン＆マーク・オズボーン
声の出演（字幕版）：ジャック・ブラック、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、ジャッキー・チェン、ルーシ・リュー、イアン・マクシェーン、ほか
声の出演（吹替版）：山口達也、笹野高史、木村佳乃、中尾彬、MEGUMI、ほか

【上映スケジュール】
7/26（土）～
東京：丸の内ピカデリー１、新宿ピカデリー、渋谷ピカデリー、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、ほか
大阪：梅田ピカデリー、梅田ブルク７、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズなんば、ほか
京都：MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、ほか
兵庫：神戸国際松竹、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸、MOVIX六甲ほか
そのほか、全国一斉超拡大ロードショー

2008年7月21日号掲載

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