今回で22回目となった紙ジャケグランプリだが、この結果には、探検隊も驚いた。
紙ジャケグランプリでは、時折、下馬評を一瞬にして卓袱台返しする"降臨系"のグランプリ受賞がある。
例えば、2008年の岡林信康だったりするが、岡林の場合は、リーマンショックによる派遣村という時代背景もあり、後から考えると必然とも言えるものであった。
ところが、今回は、探検隊どころか、かのピーター・バラカンさんさえ初めて聴いたというシロモノである。事前予測も下馬評もあったものではない。
デヴィッド・ギルモアの紙ジャケコレクションが延期未定となったもの、後半はイタリア・プログレ、キーフの英国プログレでスパートをかけたソニー、ポールのライブ盤、ストーンズのレアジャケ＆ベスト盤など、持ちネタの豊富なユニバーサル、レア・グルーブ系では他の追随を許さないPヴァイン、金子マリ＆バックスバニーもいいねぇ〜などと、選考会の前まで隊員たちも思っていた。

人間は、時折、当人も思いもよらない選択をしてしまうことがあるという。前評判のよいもの、大手のプロダクツは、選ばれて当然という気持ちがあり、それに抗いたいという心理が働くものだ。決め手となったのは、第2弾で発売されたfreedom-BAGシリーズの「アンダー・ザ・サン」だった。
第１弾のマリオン・ブラウン、ポール・ブレイなどは、オリジナルジャケットでの復刻といっても、まあ、紙ジャケの復刻では当たり前のことで、特にぐっとくるものでもなかった。久々にマリオン・ブラウン聴いたけど、なんか新鮮だよねー、そだねーって程度のプチ感動レベルだったが、それは、ミューザックさんの罠だった。
第2弾のアンダー・ザ・サンのジャケをひっくり返し、ジャケ裏に封入されたピンクのレターを見た瞬間、探検隊のドーパミンが爆発的に放出された。マリオン・ブラウンを先に出し、後からバラカンさんもびっくりの激レアかつ紙ジャケ化の価値の高いアンダー・ザ・サンをさらりと出す、いや、ミューザックさんはサラリではなかったもしれないが、バラカンさんも初めてという激レア盤なだけに、情報皆無の探検隊は一撃にされたわけだ。

情報戦とは恐ろしいものだ。キーフの十字架ジャケ（ヘヴンね）は、紙ジャケ復刻としてはかなりの出来栄えのプロダクツだった。実際、ネット上で、パッケージ開封からはじまって、ジャケを次々に開き、十字架が完成するまでの様子を動画配信したため、探検隊も、おーっ、ソニーさん、リキはいっとるやんけーと期待したものだったが、実際に手にしたときの驚きはやや薄れてしまったのもかもしれない。そんな奴は、放っとけ！って話だが、実際のところは、ヘヴンの音楽がチープ過ぎて、選考会では、いやーあ、ジャケはいいんだけど、2度、3度と聴くのはつらいなーヘヴンちゃん、ということで、すんでのところでグランプリを逃してしまった。音楽とジャケのバランスはやはり重要というわけだ。スポンティニアス・オーヴァースロウも、本来は、真っ白なプレーン・ジャケットだったのに、わざわざ、再発盤のジャケで出したのはもったいなかった。プレーン・ジャケならグランプリだったかもしれないからだ。
今回のfreedomは、こんな取捨選択と空気感の中、満場一致で決定されたのだ。

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