LED ZEPPELIN PART 1
比較検証 レッド・ツェッペリン PART1

I/II/III/IV/PAGETOP

ledzeppelin II
 
次はセカンド・アルバム10種。うわ〜もうわけわからん。
LPはすべてGatefold Cover。写真左から
US 69/10/22発売
 1.米初版 Atlantic SD8236(1969,1st,1841Broadway  Green/Red label,Textured cover)
 2.米2nd  Atlantic SD8236(73〜75?,2nd,75ROCKEFELLER PLAZA  Green/Red label,Glossy cover)
 3.米3rd  Atlantic SD8236(75〜80?,3rd?,+Warner credit Green/Red label)
	   (写真にはないが米再発は  SD19127(75〜80?,4th?, +Warner credit label))
UK 69/10/31発売
 4.英初版 Atlantic/Polydor 588 198(1969,1st,"Lemon Song" credit,Red/Maroon Label,Light Brown cover)
 5.英3rd  Atlantic/Polydor 588 198(1972?,3rd,"Killing Floor" credit,Red/Maroon Label,Dark Brown cover)
 6.英再発 Atlantic K40037(1973?,5th?,Final credit,+Warner Green/Orange label,Dark Brown cover)
	   (写真にはないが英2ndは英3rdと同様でcoverの色がLight Brownのもの、英4thは K40037で"Killing Floor" creditのもの)
JP 69/12発売
 7.日初版 Atlantic/Nippon Grammophon MT1091(69,1st,Green/Light Blue Label)
 8.日3rd  Atlantic/Warner P-10101A(76,3rd,Geen/Red Label,with Poster)
	   (写真にはないが日2ndは Atlantic/Warner P-8042A,価格以外は3rdといっしょ)
手前左からCDで、
 9.旧CD   JP Atlantic/Warner 20P2-2024(80年代後半?,リマスター前のCD)
 10.紙ジャケ JP Atlantic/EASTWEST AMCY2432(97/11,Papersleeve CD,90 J.Page Remaster)

ツェッペリンの初期の4枚は私にとっても聖典と化しているのだが、あえて優劣をつけるとすれば個人的
には3→1→4→2となる(みなさんはいかがですか?)。中坊の頃にコピーした時のトラウマからか気恥
ずかしさからか「II」はなんか聴く回数は少ない。まぁ他のバンドに比べればやはり別格なのだが...。
でも今回改めてズーッと聴いていたら、やっぱりいいアルバムである(当たり前だ!)。特に"Thank you"
なんて2〜3日マイブームと化した(10種とっかえひっかえ聴いてんだからブームにもなるわな)。
で、だな、もう面倒だから結論いっちゃうと、4.英初版がダントツにいい。10.紙ジャケもこのアルバムに
関してはいい出来だと思う。後の8種ははっきりいっていりません。

<レーベル>
レーベルカラーの流れは「I」といっしょ。ただし米盤はATCOカラーはすでに使用されず、初版から
Grenn/Red(Orange)である。
この「II」をサンプルに米盤のレーベルの流れを追うと大体以下のようなものだそうだ。

1.米初版のレーベル
Atlantic社の住所が1841BROADWAY,NEWYORKになっていて、カラーがグリーン/レッド(オレンジ)のレーベル。
これは1968年から使われ始めたSTEREO版用のレーベルで、ツェッペリンに関しては「II」から「聖なる館」
までこれが初版となる。盤質は分厚く、しっかりしている。溝も深く見える。

2.米2ndのレーベル
73〜75年まで使われた住所が75ROCKEFELLER PLAZA,N.Y.C.のレーベル。ツェッペリンに関しては2ndレーベル。

3.米3rdのレーベル
75〜80年代に使われたワーナーロゴが入っているレーベル。3rdレーベルである。
これと同時期に製造されたSD191xxの品番が再発盤で、廉価盤というかSUPER SAVER PRICE。総じて印刷
はずさんで盤質も安っぽいが、製造品としては安定しているようだ(盤ごとの差異が少ない)。

英盤のレーベルに関しては有名な"LEMON SONG"のクレジットの違いで版を分けることができる。
<レモンソング・クレジット>
 
4.英初版のレーベルに記載されたクレジット。最初は"THE LEMON SONG"というタイトルでメンバー全員の著
作としてクレジットされていたが、まぁ誰がどう聴いてもチェスター・バーネット(ハウリン・ウルフの本名)
の"KILLING FLOOR"。だっておまえらライブで"KILLING FLOOR"つって演ってたじゃん。
ということで当然チェスター・バーネットの出版社さんから訴えられちゃうわけです(裁判になったんだっ
けかな)。

で、これが裁判中(だろうな、たぶん)の5.英3rdクレジット。"KILLING FLOOR/Burnett"になっている。
このクレジットの盤は3種あって、ポリドール・ナンバー、レッド/マルーンレーベルでジャケの色が明る
い茶色のもの(英2ndプレス)、
この5.英3rd、それからワーナーに吸収されてから再発された K40037(1973?)の最初の版(4th)もまだ
決着がついていなかったようで、このクレジットで販売されていた。

んでこれがFINAL CREDITの6.英再発。"THE LEMON SONG/Burnett"で手打ち。
まぁ和解、ってことでしょうか。確かに"KILLING FLOOR"だけじゃなくてロバート・ジョンソンの
"Travelin' Riverside Blues"もMIXされてるしー、この組み合わせは創作っちゃ創作だしぃ、
"THE LEMON SONG"って名前でいいでしょ?という決着のようです。
ただし、これは英国のみ(英国で訴えられた英国の裁判だからね)。
米/日ではずーっと今でもメンバー4人のクレジットのまま(当然10.紙ジャケも)。うーん著作権て不思議。
これでいいんでしょうかねぇ。
それじゃ見開き内側のSONG LISTの所はどうなったかというと、米/日はもちろんメンバー4人のクレジットの
まま。問題の英国盤は、以下の通り。

今回比較した英盤3種の見開き右側。中央5.英3rdは"588198"のポリドールナンバーの上から"K40037"の
シールが貼ってある。まぁ過渡期の産物。でも他にシールは貼っていない。
見えないかもしれませんが、なんと英盤のみ曲の著作者のクレジットは最初からのっていなかったので、
問題なし。
関係者にとっては不幸中の幸いだったのでは?刷り直したらえらい枚数ですからね。
それとも最初から訴えられるかもしれないと思って、クレジットを載せなかったのか?
だとしたら凄いぞ、ジミー・ペイジ!
(そうそう曲名は"THE LEMON SONG"のままです。曲名だけならいいのかな)。

<ジャケット>

各国初版と紙ジャケ。左から1.米初版/4.英初版/7.日初版/8.日3rd(日本ワーナー盤)。
手前の10.紙ジャケは明るいブラウンで、人物の顔なども非常に淡い。これは1.米初版4.英初版に
ほぼ近い色。ジャケの紙質のザラっとっした手ざわりや厚さは1.米初版のTextured coverに近いものだ。
なかなかいいぞ。でも紙ジャケは1.米初版をもとにしたのだろうか。
写真の1.米初版に貼ってあるシールはRIAA認定GoldDiscのシール。予約だけで50万枚近くいっちゃった
ので発売即GoldDiscだったようだ。
2.米2ndはジャケに光沢があるためGlossy coverといわれている(コーティングではない)。

なお英盤は5.英3rdからダーク・ブラウン(てゆか、もう黒に近い)。これはこれでかっこいいのだが
当初のコンセプトはやっぱり昔っぽい写真のセピア調を意識したんだろうなぁ。
「II」のジャケの色はけっこう色味に差があって、ひどかったのは80年代に売られていた日本の廉価盤
(16P1-2024)。ほとんど灰色に近かった。

また中央下のアトランティックロゴの上の品番は10.紙ジャケにはない。品番がないのは英盤と7.日
初版のみで後は品番がついている。うーんまたしても10.紙ジャケは折衷的だ(9.旧CDはアトラン
ティック・ロゴそのものがない)。


見開き内側。10.紙ジャケは日本版の流れでゴールドが強調された色味。この中で最も近いのは8.日3rd。
上記にも書いたが英盤には曲ごとに著作者のクレジットはない。


7.日初版は日本語でクレジットされ、"レッド・ツェッペリン(歌と演奏)"と書いてある(赤線を引い
た部分)。そうだよなぁ、"歌と演奏"だったんだよなぁ、とあまりの違和感に逆に感慨に耽ってしまった。

<背表紙>

緑の線を引いた米盤は上部に緑色のタグがついている。タイトルは「LED ZEPPELIN」のみで「II」ともなん
とも書いていない。
赤の線が英盤でデザインは紙ジャケと同じ。タイトルは「LED ZEPPELIN 2」。「II」ではなくて「2」である。
また4.英初版の色味が薄緑になっているのはおそらくLIGHT BROWNが退色したもの。
青の線が日本版。7.日初版は英盤と同じデザイン。一番下の8.日3rdはワーナー盤共通のデザイン(日本
2ndもいっしょ)で、上下に白赤のタグが入っている。
タイトル表記はどちらも「LED ZEPPELIN II」。


で、10.紙ジャケ(上から二つ目)。タグのないデザインでタイトルが「LED ZEPPELIN II」。
んん?これと同じものは7.日初版しかないぞ。紙ジャケの背表紙はグラモホン盤をもとにしたのか?
(まさかね。きっと何か再発ものでそんなのがあったのかも)。
それにしても「I」は日本ワーナー盤のタグ付きデザインに準じていながら、なんで?って感じだ。
統一してくれよぉ。

あっそうだ。日本ワーナー盤についてたポスターについてはまた後ほど。

<音質とお値段>
「II」のチーフ・エンジニアは今やジミヘンの遺産管財人と化した感のあるエディ・クレイマー(失礼)。
殺人的なスケジュールの合間をぬって、さまざまなスタジオで録音されたため、仕上がりが荒いという
意見は多い。でも最後はペイジとクレイマーがキッチリMIXしたとの話も...ハテサテ。

1.米初版は初版らしいブ厚い盤。でも何故かボソボソの音。ドラムは奥まっていて物足りない。
なんかカッティングに失敗したのかと思うような音だ。うーんでも時たま鮮度のいい音が鳴るのが気になる。
シンバルやヴォーカルの高音は素直にのびているぞ。しかしやはりボソボソの音だ。
ということであまり聴かなかったのだが、今回それではとドンドンとヴォリュームをあげてみた。
実はこの盤、ものすげえでかい音で聴くとあるポイントから急によくなる。特に「胸いっぱいの愛を」の
中間部はけっこう広大なトリップ空間。それなりにいいじゃん。
再生システムにもよるが11時くらいのヴォリューム位置から音像が変わる(ちなみに私のヘッドフォンでは
あまり効果なし、というかうるさくなるだけ)。
でも始終ばかでかい音で鳴らせるアメリカン・キッズならまだしも、これじゃ日本人には実用にならない。
これは私見だが、きっとオリジナルマスターの音ってこれに近いんじゃないだろうか。
マスターからストレートにカッティングするとこんな感じの音になると思うので、ほとんどいじっていない
のでは、と思われる(だめよちゃんとサウンドメイキングしてくんないと)。

2.米2ndも基本的に同じだが、鮮度は落ちている。
3.米3rdは多少いじったようでリズムが普通に前に出てきているが、音は逆に平面的になり、イコライジン
グ加工した後がありあり。
うーん「II」の米盤はダメじゃ。全部1,000円以下で買えるが、いらないだろう。(初版のみ状態がいいと
2000円くらいする)。

7.日初版1.米初版に張りを与えるべくいじったが、いじり方が不自然さを強調。ポイントポイントで無
理に突出しており、ほとんど壊れているのではといった部分/音域もある。音は全体に前に出てきている
が、とっても平面的な音だ。帯なしで2〜3千円。帯付きはン万もするが買っても聴く意味はない。
8.日3rd3.米3rdに近いがさらに少し加工した感じ。迫力はじゃっかんあがっている。だが平面的な感じ
はぬぐえない(日本2ndも含めて帯/ポスター突きで1800円前後。なお海外ではポスターがついてるから
かオリジナルと称してバカ高い値で売っていたりする(勘違いか、それとももしかして確信犯?)。
だまされそうな友人がいたら注意してあげましょう。

6.英再発のワーナー/アトランティック盤も3.米3rdの中音域がちょっと充実したくらいの印象。
5.英3rdはややまともな音。自然で重量感があるが、それほどいいわけではない。
で、4.英初版はま〜ったく違う。な〜んでこんなに違うんだ!
音のバランスは最高で、中低域が充実しており、ドラム/ヴォーカルも立体的。ギターも厚みがあり、する
どい。ベースもズンズンとうなる。特にドラムはこれ以外の盤で聴いてもしょうがないほど違う。
こりゃだまされてました、私は。日本人もこの音で育ち、この音でコピーしていれば全然違っていたかも。
もちろん日本盤でもフレーズなどはコピーできるが、雰囲気やフィーリングまで体に染み込ませることは出
来なかったのではないか。少なくとも私はできなかった。しかも一つ一つの楽器の音像がしっかりしている
から、なーんて聴き取りやすいことか。これでコピーすりゃラクだったろうな〜。あーだまされた。
米盤とは違って「I」における英初版と同等の音質を保っている。ちゃんと英国用にサウンドを作りあげたっ
て感じだ。大英帝国のカッティングエンジニア、侮りがたし。
しかし5.英3rdでここまでガクンと落ちるのか。わずか3度目のプレスなのに。アナログ盤ってそういうもの
って意見もありますが(JAZZなんてそうとう違うらしいし)。

今回英2ndは確認できなかったが、まぁこの4.英初版を買えば間違いないでしょう。日本では5〜8千円、探
せば4800円位で買える。英現地価格は12〜18ポンド。インターネットで買う気があるなら2000円くらい
なんだもんね。下手な新譜買うより新鮮だと思います。
その他の英盤はポリドールナンバーはさすがに3〜4千円するが、それ以外は2〜3千円。現地価格は10ポン
ド以下です。
ちなみに「III」「IV」の各国盤の値段もほぼこの「II」と同じ。

9.旧CDはやはり問題外。で、10.紙ジャケ(90Remaster)はいいと思う。4.英初版の次にいいかもしれない。
リズムも前に出ているし、相変わらず空気感には注意が払われている。
このセカンドの紙ジャケはけっこう売れ残っているが、4枚目まででは一番いい出来だと思う。まだの方は是非。

 念のため米初版をもう1枚比較してみました。上記が
  マトリックスナンバーST-A-691671PR(RUN-OFF部分ST-A-691671-j)に対して、
  マトリックスナンバーST-A-691671CP(RUN-OFF部分ST-A-691671-1B)のもの。
 レーベルのカラーも本来のグリーン/オレンジになっていて、赤味が少ない。
 だがやはり音はほとんど変わりません。違いも盤の状態の範囲内といった程度。英初版との差は歴然でした。
またモービル盤は別世界にいる。鮮度とブリティッシュ・ブルース臭さでは4.英初版にゆずるとしても
解像度の高さ、粘り強い低音域、内周の曲のクリアさなどは特筆もの。

<日本盤の品番>
オマケで日本盤の品番について書いておこうと思う。海外の方からもようわからんから教えてくれといわれます
が、実は日本人でありながら私もようわかりまへん(笑)。
英米は大体2つくらいしかナンバーはないのに、日本盤はいっぱいあるし、ちゃんとしたガイド本ないしね。
(レコードコレクター誌さん、早くプライスリスト出してくんないかなぁ)。
とりあえず記憶をたよりにわかっている分だけ書きます。もれなどあったら是非教えてください。

---LED ZEPPELIN JAPANESE NUMBER LIST---
SMT-1067 (1969「I」のみ)
MT-X0XX  (1969〜70「III」まで)
---ここまでが日本グラモホンの緑/水色レーベルでこの後日本ワーナーに変わり、緑/赤レーベルになる。

P-8XXXA  (1971〜75 「聖なる館」まで)
---この間、同じ品番ながら2000円、2300円シール貼り、2300円など価格が違うものがあるが、ここでは特に分けない。また「IV」など帯による違いもある。

P-101XXA (1976 「プレゼンス」まで)
P-6XXXA  (1979 10周年記念限定盤)
---ここまでマトリックスナンバーは8XXXAでワーナー初版から変わっていない。以下は未確認)

16P1-2XXX (1600円の廉価版。青いフォーエバーヤング帯)
AMJY-2XXX (1992 オリジナルマスターを本国から取り寄せ、日本でプレス/印刷したもの。飛行船の飛び出す「天国への階段」のCD(米20周年PROMOといっしょ?)が特典)。

以下CD
20P2-20XX (1988? リマスター前のCD)
AMCY-40XX (1996 リマスターCDの分売)
AMCY-24XX (1997 紙ジャケ。音はリマスター) 

(2枚組の「フィジカル〜」と「永遠の詩」は品番体系が違う。また「インスルー〜」以降の初版ナンバーも異なる
このへんはPART2で。)

変わり種として日本ソニー盤の「II」のLPがある。品番は
FCPA-1040 (ソニー・ファミリークラブ用にわざわざプレスされたようでマスターも異なる。品番以外のジャケなどはいっしょ)。


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