LED ZEPPELIN PART 1
比較検証 レッド・ツェッペリン PART1

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名前のないアルバム8種。この辺からこんなもんで。
LPはすべてGatefold Cover。写真左から
US 71/11/8発売
 1.米初版 Atlantic SD7208(1971,1st,1841Broadway  Green/Red label)
 2.米3rd  Atlantic SD19129(75〜80?,3rd?,+Warner credit Green/Red label)
UK 71/11/12発売
 3.英初版 Atlantic/Polydor DELUXE 2401012(1971,1st,Red/Maroon Label)
 4.英再発 Atlantic  K50008(Late70's?,4th?,+Warner Green/Orange label,Laminated cover)
	   (3.英初版は「III」同様レーベルによって2つに分ける場合がある。英再発の K50008もレーベルによって細かくわける場合がある)
JP 71/11発売
 5.日初版 Atlantic/Warner P-8166A(71,1st,Geen/Red Label)
 6.日2nd  Atlantic/Warner P-10125A(76?,2ndor3rd,Geen/Red Label)
	   (帯によって P-8166Aを1st(ロックエイジ帯)、2nd(赤白帯)に分ける場合もある。さらに価格によって細かく分ける場合もある。)
手前左からCDで、
 7.旧CD US Atlantic 19129-2(80年代後半?,リマスター前のCD)
 8.紙ジャケJP Atlantic/EASTWEST AMCY2434(97/11,Papersleeve CD,90 J.Page Remaster)

「天国への階段」を初めて聴いたのは友だちの家だった。友だちのお兄さんがレコード
をかけてくれたのだ。最初はフンフン、「III」みたいなアコ路線かと思って軽く聴いて
いたのを覚えている。もちろん終わった時は完全にKOされていた。しかもそのままA
面が終わってしまったのも何故かショックだった。
たぶん多くの人が初めて聴いた時のことを覚えているような曲だと思う。そしてギター
のイントロをつまびいてみるのである。私もご多分にもれずあのイントロはコピーし
た。さすがに楽器店で試奏することはなかったが....。こんなにみんながコピーしたの
も、この曲が幸いにもレギュラーチューニングであったためだろう。もしかしてペイジ
さん、そこまで計算づくで......。

<ジャケット>
な〜んにも書いてないジャケットで有名なこのアルバム。アメリカでは「レコード販売
上の自殺行為」とまでいわれたそうだが、結局ツェッペリン最大のヒットアルバムと
なった。
ペイジはクレジットを排除するのはものすごく大変だったといっているし、メンバーた
ちは「レッド・ツェッペリンIV」だけにはしたくなかったそうだが、日本ではさも当然
のように「IV」として発売された。ペイジの苦労も水の泡。
その日本盤はこのアルバムからワーナー盤が初版となる。ジャケが厚く、固い紙質で
ガッシリしている。
5.日初版の帯は発売当初"ロック・エイジ・サウンドサウンド7"帯という赤くてでっか
い星がついた帯だったが、その後6.日2ndと同じ赤白帯に変わる(写真下)。この時点
でようやく帯に4シンボルが登場する。

今回比較したものの中では4.英再発だけがコーティング。また同じ K50008でもコー
ティングじゃないジャケもある。色味がこれまたそれぞれバラバラで、8.紙ジャケは
青っぽい。これに似たのは写真にはないが米再発 SD19129である。うーんまたしても
こんな米再発をもとにしたのだろうか。

裏ジャケは都市の風景。右上の赤みがさしている範囲が各盤によって違う。2.米3rdな
ど夕日が射しているようだ。この裏ジャケの左下にあるポスターにこのジャケットで唯
一の文字が書いてある。

ロバート・プラントがレディングのがらくた屋(市?)で買ってきたものだというポスター。
ちなみにレディングのがらくた屋で買ってきたのは、表紙の薪を背負った人の絵だとい
う話もあり、どっちがそうなのか、それともどっちもそうなのかは判然としない。
いずれにしろこのポスターは意図的なもののようで、プラントはこれの文字だけをジャ
ケにのせたかったようなのだが、写真の問題か印刷の問題かよく知らんが、手違いでう
まくいかなかったという。8.紙ジャケでは全くよめないし、どのLPでも判読は不可
能。プラント、いい加減でよろしい。

ポスターはオックスファム(オックスフォードにある貧窮者救済機関)のもので、担架
で死者を運んでいく様子が描かれており、書いてある言葉は(よくおぼえてないのだ
が)、"世界が飢える者を云々"といった内容のことだったと思う。確かにこの言葉が読
めれば、ジャケ全体の意義というか意味が見えてくるような気もする。
だけど"読めなくなっちゃって、よくわかんなくなったけど、まぁいいや"という方が
ツェッペリンらしいな。

またプラントによると、表紙の薪を背負った人はタロット・カードでいう"The Hermit
(隠者)"だそうだ。
これも本によっては内ジャケのランプをもっている絵がタロット・カードの"The Hermit
(隠者)"の絵としているものがあり、判然としない。両方の説をくっつけるとどっち
も"隠者"をあらわしていることになるが....、

さてその内ジャケ、隠者というか、後にペイジが映画で扮することになる"時を支配す
る仙人(ファーザータイム)" というか、まぁ色んな解釈があるわけだが、とにかくこ
れまた色味が違う。

紙ジャケのランプは光っていない?

内ジャケを並べたところ。うわぁなんか怖いですね。夜見たくないですね。
絵の意味としては、このおっさんがもってるランプの六ぼう星は光ってなければいけな
いのである。なにしろ"真実と啓示の光"だそうで、絵の下の方で騒いでいる若者を導か
ねばならないようだ。ところがこれが光っていないジャケも多い。


左の1.米初版はモノトーンの陰影の深い絵に光はオレンジっぽい色。光のあたっている
部分のみほのかに黄色っぽくなっている。
右の2.米3rdは絵は完全にモノクロになってしまって、陰影はなく、光だけすごく黄
色。アメリカンというか、やることが極端。雰囲気はなくなってしまっている。

左の3.英初版はモノトーンの陰影の深い絵にちょっとweb上では表せないビミョーな色
合いの赤茶っぽい光。これも光のあたっている部分のみほのかに茶色ぽくなっている。
実にヨーロッパ中世。うーんこわい。
右の4.英再発は黄色のダブルトーンの絵で光は茶色に近いが、光の色だけ変わっている
感じはしない。

左の5.日初版はモノクロっぽい絵に茶色と灰色の間くらいの光。ちゃんと光ってないぞ。
右の6.日2ndは黄色みはちょっと残っているがもはやモノトーンの世界。光は色がまわ
りより濃い程度。

左の7.旧CDは光が赤い。光ってはいるが雰囲気もなにもあったもんじゃない。
右の8.紙ジャケは薄い黄色のダブルトーンのようになっている。光はちょっと色が濃い
くらいで、光っていない。これでは困るのだ(どうでもいいことかもしんないけど)。
全体の色味などはこの中では4.英再発に近い。
やはりここは1.米初版3.英初版のように幽玄に光っていて欲しいところであった。

内袋の色味
「天国への階段」の歌詞やクレジットがのっている内袋。文字も古風な感じで、全体の
雰囲気の統一に一役買っている。しかしこれもバラバラだ。

左から1.米初版/2.米3rd/3.英初版/5.日初版/6.日2nd。右端が4.英再発で上にある小
さいのが8.紙ジャケ。
各国とも初版は特殊な紙質だが、真ん中にある3.英初版がやはりいい。グレーに近いの
古紙のような風合いの紙で、インクの色も絶妙だ。対照的なのは左から2つめの2.米3rdで、
ただの白い紙に黒の印刷。これはないよな。
その他も再発ものはすべて普通の紙である。
8.紙ジャケは色は6.日2nd、ザラついた紙質は5.日初版に近い。日本製の紙だからしょ
うがないと思う。再現度としてはなかなかいいのではないだろうか(甘い?)。

レーベル
このアルバムのレーベルには俗に4symbolsといわれるマークがついている。

みなさん耳タコだろうが、一応説明すると、
左から"ZOSO"ってえのがペイジ。特に意味も、もとにしたものもないと本人はいって
いる。英米ではこのシンボルにちなんでアルバムを"ZOSO"と呼ぶ場合もあるようだ。
これってゾソ?それともズォオソォオって発音かね?
次はジョン・ポールでルーン文字である。自信家で有能な人物をあらわしている。
3つのわっかがボーナム。これもルーン文字で輪は男・女・子供をあらわす。
最後はプラントでこれはオリジナル。羽根はムー文明の神聖なシンボルだと自分でいう
とる。
レーベルにはついてるが、特にこの4symbolsはタイトルってわけではなくてメンバー
4人をあらわしているだけである。だからやっぱりタイトルはないんだが、レーベルに
よって表記の仕方が少し違う。


1.米初版はけっこうでかい。バンド名よりでかい。米盤は以降もいっしょ。


3.英初版はバンド名が真ん中に来ており、これならタイトルというよりメンバーを表し
ている配置っぽい。


4.英再発になると米盤に近くなるが、バンド名は下のオレンジの部分に下がる。
なおこの4.英再発は4symbolsがレーベルにないものもある。
写真左下の黄色く囲んだ所は"manufuctured in UK"だが "MADE IN UK"のものもある。ま
た右上のWarnerロゴは再発当初の盤にはついていなかった。したがってレーベルの違
いだけでこのK50008はかなり細かくプレスのヴァージョンがあることになる。
78年にはこの品番でライラック色の限定カラー・レコードが発売されている。


5.日初版は米盤のスタイルを小さくしたもの。6.日2ndもいっしょ。


8.紙ジャケは日本盤のデザインを上下逆にしてある。また「III」同様CD化に際して、
"Executive Producer:Peter Grant"のクレジットが追加されている。
旧CDのレーベルには4symbolsは記載されていない。表記されてないものがあるって
ことはやっぱりタイトルじゃないのよね。

音質とお値段
発売日も英米日でほぼ同じとなり、音質的な差もほとんどなくなってきたが、やはり各
国盤の特色は依然として存在している。
1.米初版は単独で聴くと悪くなく、ストレートな音だ。シンバルなどもきれいに響くが
アコースティックな曲での雰囲気や、中低域の厚みはややもの足りない。
2.米3rdもほぼ同じ音だが、鮮度は落ちている。このへんは今までの流れといっしょ。
価格はどれも1000円程度。1.米初版でさえ100円で売っていた(ごていねいにオリジ
ナルと書いてあったし)。

5.日初版は米盤の音をイコライジングでハイを強調した音。
音は英米に比べ聴感上ちょっと大きい。中高域が大きくなって迫力はあるように感じら
れるが、その分耳ざわりでもある。一つ一つの楽器の分離は悪く、イコライジング前の
大もとの音がこもっているように感じる。
盤質はいい。6.日2ndも同じ音だ。
5.日初版はロック・エイジ帯がついていれば5千円前後。そうでなければ500円くらい
で売っている(笑)。
私もそうだが、あの頃はみんな帯破って捨ててたからなぁ(だから貴重なんだけど)。
今さら帯付きなんていわれてもねぇ(ただし帯がないとコレクションとしては無価値の
ようですのでみなさんは絶対まねしないでください)。

英盤はこれも1〜3同様、彫りの深い、中低域の厚い音。
「限りなき戦い」のマンドリンの響きが空間をおおう様や、「天国への階段」の牧歌的
な空気。B面全体を流れる神秘的な雰囲気は3.英初版でしか味わえない。
「レヴィー・ブレイク」でのペイジが腰をぬかしたというドラム・サウンドは背後の空
気の振動まで伝わってくる。
あまりにも英盤ばっかりいいと悔しい(?)ので、「ロックン・ロール」はもしかした
ら米盤シングルの方がいいのではと思って聴き比べてみた。曲調からいってアメリカン・
シングル向きだし。

が、やはり3.英初版の方がくるのである。
まずひとつひとつの楽器の音がたっており、彫りが深い。ギターのカッティングやハー
フ・オープンのハイハットの刻みなど実に存在感があるし、ヴォーカルも迫ってくる。
高音もよくのびる。コーダに入る所のベースの上昇フレーズなんかシビれるくらい決
まっている。弦のしなりが見えるようだ。なんでや?
カッティング・エンジニアの差かプレスの差か。とにかくポイントをわかってらっしゃ
るという感じだ。
4.英再発は中低域は英盤らしいが、やや平面的になっており彫りの深さは感じられない。
3.英初版はこれまで同様日本で5〜8千円、イギリス現地価格で12〜18ポンド。
4.英再発は1000円前後で買える。

7.旧CDはペラペラのスカスカの音。8.紙ジャケはリマスターらしいまとまった、バラ
ンスのいい音で、現代風に低域も出ている。アナログの音の太さがないのは特性上しょう
がないが、聴きやすさではこの方が上か(ツェッペリンが聴きやすくてもしょうがないが)。

ファンの人たちがこの4枚目までを英ポリドールナンバーで揃えるのも納得ができる。
特にブリティッシュ・ロックとしてのツェッペリンの姿は英初版で鮮やか。

<オマケ1>
このアルバムは大ヒットしただけあって上記の4.英再発のライラックカラー盤の他にも
いろんな記念版が出ています。

写真左が88年にリリースされた英HMV"Classic Collection" C88 1-4 で、
CD版とLPがあり、各3500部限定。ナンバー入り。ブックレット付き。
品番はCDが25008。LPはK50008でドイツ製造。コーティングジャケ。
開けたところはこちら。

写真右が92年の米アトランティックのPROMO。
"20th Anniversary Commemorative Edition" PRCD 4424-2
長方形の飛び出す絵本で、両側のサイドに「天国への階段」の7インチ盤(両面とも)と
12cmCDを収納。
開けると、表紙のおっさんが薪の上に飛行船まで背負っちゃってるというしんどそうな絵
である。
開けたところはこちら
同年の日本の最後のアナログシリーズのプレゼントにも使われたようだ。

<オマケ2>
今回の検証をやってみて、やはりレコード文化を正確に継承していくには、紙ジャケは
不可欠なフォーマットなのじゃー!っと思いを新たにしました。だって、下を見てくだ
さい...

今回比較対象にしながらほとんど無視していた旧CDの裏(バック・インレイ)です。
トホホ。紙ジャケがあってよかったと思います。
でも、うーん、これが南米あたりのLPだったら、けっこう珍重されたかもしれません
な(だれだ、ちょっと欲しいと思ったヤツは!)。

<Early Days>
今回は4枚目までをPART1として分けましたが、この分け方は99年11月に出たばかり
の新ベスト「Early Days」にあわせたものです。

後ろが2枚組のLPで手前左が日本盤、右がドイツ製造のワールドワイド盤。右端の写
真はそのワールドワイド盤のブックレットのミスプリです。ディスコグラフィでコーダ
の写真がファーストになってしまっています。しかもアタリがずれてる!LP及び日本
盤ではなおっています。
しかしこのデザイン。最初見たときは"おっブートの新モノ入ったか!"なんて思いまし
た。
<音質>
こんなもの3種類も買っちゃったの。一応意地で全部聴いたけど。
音ですか、"Remasters"といっしょです(笑)
ついでにいえば"Remasters2"といっしょで、
"Complete Studio Recordings"といっしょで、
紙ジャケシリーズといっしょでした!
10年間買い続けましたが、ず〜っといっしょです!!
そろそろ24bitかなんかで再リマスター....(いや、やっぱやらないでくれ!)
大体こんなに買ってどうすんだろう...カミさんに見つからないようにしなきゃな。

ま、ジミー・ペイジも自分のことレコードコレクターだっていってたし、いいか(結論)。

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