p r o f i l e

「赤くなって腫れてオデキみたいになってますね。これじゃあ汁が出るでしょ。夜寝るときも痛むでしょ。」

「ええ」

「綿棒でぐりぐりやりすぎてませんか?」

「はぁ、多少……」

「水は勝手に蒸発するから、気にしてほじくりすぎないように」

と、薬を塗られ、綿を詰め込まれた。

「片側だけにしときますね。両方だと何も聞こえなくなっちゃうから」

 頭がぼうっとする。

「まあよくはないんだけど……」

とは言われたけれども、海もプールもとりあえず許可が出て、5日分の飲み薬をもらった。それからバイト先のプールに行く。

サーファーズ
イヤー
 外耳炎になった。塗り薬でたいていおさまるのだけれども、今回は、なかなか治らず、悪化すると面倒なので、とうとう医者に行った。

 脈拍に合わせていやな痛みがする。待合室の張り紙やポスターを眺めて気を紛らわせながら、背もたれの直角な堅い椅子に座っていると、診察室のドアがあいて、

「『たしぎ』ちゃーん、どぉーぞ」

 自分が呼ばれたのだとは、思わなかったが、再び呼ばれて顔を上げる。看護師と目が合って、向こうはちょっとだけばつの悪そうな顔をする。

「あ、お名前がかわいいから小さいお子さんなのかと思いました」

「はぁ……すいません」

 なぜかわたしは謝ってしまう。

 そして診察。医者が言う。

 室内プールは、ただでさえ音がこもり、子供たちの声でうるさい。綿を片耳に詰め込まれただけで、人の声はよく聞こえないし、自分の声も音量がまったくわからないので、頭が馬鹿になってしまって、言ってることが支離滅裂ぎみ。平衡感覚もちょっとおかしい。

 終わるころには、綿が濡れてふくれて、痛みもうっとうしさも最高潮に達する。仕事を終えて、スポンと綿を抜くと、うっとうしさは取れたけれども、かゆみがどっと起こる。


いたた! いたがゆい! かゆい! でも綿棒禁止!


むずむず。むずむず。むずむず。


 こんなことを繰り返しているうちに、サーファーズイヤーというものになるのだろうか。

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2007年7月2日号掲載