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「嘘つき。」
「本当だぜ。やってみろよ。」
「やだ。」
「だって、痒いんだろ。」
「……うん。」
「なら、一緒に立ちションしようぜ。」
「でも。」
 僕は俯いた。そんなの嘘に決まってる。それに、前に、僕のはやっぱりまんこだって、言ったじゃない。
「笑わないから、やろうぜ。」
 そうじゃないよ。僕のは、ちんちんじゃなくて、まんこだって言ったじゃない。
「本当に笑わないから。」
 でも、と言おうと思いながら見たタカオの顔が、真剣だった。
「……本当に笑わない?」
「ああ、笑わない。」
 久し振りに立ち小便をすることは魅力的だったが、それでもまだ迷っていた。ぐずぐずと煮え切らなかった。しかし、今日はヒデキが一緒に居ない。あの後も、ヒデキは何度も、まんこ、まんこと連呼して揶揄からかった。僕は、タカオよりヒデキが嫌いだった。何もかもタカオの真似をして、年下の癖に偉そうに喋るヒデキが憎たらしかったが、タカオだけなら大丈夫かも知れないと、思い始めた。タカオだけなら、僕を苛めないかもしれないと、理由は分からないが何となくそう感じていた。
 
 タカオがファスナーを下げ、ちんちんを引っ張り出して待っていた。長い間見ていなかったちんちんは、以前と少し違う気がしたけど、何処がどう違うのかは分からなかった。
「早くしろよ。先、やっちゃうぞ。」
「あ、待って。」
 僕は急いでパンツを脱ぐと、大きく股を張ってスカートの裾を持ち上げた。
「いいか、昨日の穴を狙うんだぞ。尺取虫が水浸しになるように、引っ掛けろ。」
「うん。」
 ひりひりとする辺りが外気に触れて、少しだけ気持ちが良かったが、うずうずと疼くような感じは相変わらずだった。タカオのちんちんの先から、ちょろっと小便が出たと思ったら、勢いよく迸り始めた。最初、穴から少し外れたが、すぐに方向を調整して穴の中にじょぼじょぼと注がれていった。注いでも尺取虫の上で跳ねて、砂の中に滲み込んで行く小便を見送りながら、僕は少し考えて、タカオの向かい側から立ちションすることにした。意識を集中して、小便が真っ直ぐ飛ぶようにと念じた。タカオと同じように、最初ちょろっと出たが、今日は上手くいきそうな気がして、腰を前に突き出した。しょうっという音と共に勢いよく小便が溢れ、内股を伝いそうになったので、慌ててもっと股を開いた。しかし、あらぬ方に飛び散り、内股も伝っていった。慌てて中腰になると、そのまま用を足した。屈辱だった。足元に、小便で掘れた小さな穴が出来ていて、靴先で砂を掛けたら、小便に濡れた女性器が脈打つように痛んだ。
 
 不安げにタカオの方を見ると、ちんちんの根元を握ったまま、タカオも僕を見ていた。約束どおり、笑ってはいなかった。ほっとして、ちんちんに視線を落とすと、タカオは腰を突き出して見せつけた。そして、中指と親指でしごき始めた。すると、先端ですぼまりだぶついていた包皮がだんだんと伸び始め、ちんちんが膨らんで大きくなって来た。不思議なものを目の当りにして、目が放せなくなっていた。
「こうすると、気持ちいいんだぜ。」
 タカオの声に、ふと見上げると、以前見た下卑た嗤いを浮かべていた。僕はまた、ぞくぞくとしていた。
「お前のも、見せてみろよ。」
 僕は憑かれたように立ち上がると、スカートの裾を持ち上げ、股を開いてタカオに見せつけた。
「俺みたいに、やってみろ。」
 僕は、中指で扱いた。ひりひりと痛くて痒い場所は、小さいながらも膨らんでいた。

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2009年11月2日号掲載

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