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13.
「ほら、
蒲の穂。」
「うわあ。なんか、ソーセージみたいだね。」
タカオは手に、何本も蒲の穂を持っていた。
「ああ、これで足を拭いてやる。」
「なんで?」
「お前知らないのか? 因幡の白兎だよ。」
「あっ、分かった。ウサギが怪我する話。」
「まあ、そんなとこだ。」
タカオはしゃがみ込むと、茶色い穂で優しく傷口を撫でてくれた。何度も撫でると、新しい穂でまた撫でてくれた。本当は撫でられると痛かった。しかし、傷を癒そうとやっていることなので、僕は我慢した。
タカオは気が済んだのか、今度は血で汚れていた辺りも、擦ってくれた。その肌触りはすべすべとしていて、心地よかった。しかし、
擽ったくもあった。次第に我慢できなくなり、身を捩って笑った。タカオもつられて笑いながら、今度は擽ろうとして触り始めたので、堪らなくなり僕は仰向けに倒れた。倒れても、まだ笑いを引き摺っていた。
しかし、擽る手は止まってしまった。
僕は、頭だけ起こして、タカオを見た。タカオが真剣な顔で、僕の身体を見ていた。見つめている辺りが何処だか分かってしまい、タカオは今、下卑た嗤いなどしていないのに、僕はぞくぞくとした。今日は、白地に赤い大き目の水玉模様が散った、つるつるとした生地のノースリーブのワンピースを着ていた。もちろん、母の手作りだった。去年作ってくれたそれは、背が伸びた所為で、丈がパンツすれすれになっていた。きっと、寝転んだ弾みに、フリルの付いた、淡いピンク色をした薄いナイロンのパンツが丸見えになっているはずだ。母の作るもの、買うもの全てが、僕の意思とは無関係に装飾過多で女の子好みのものだった。僕は、どうすればよいのか分からないまま、タカオを見つめていた。
タカオは、蒲の穂を僕のパンツの股の部分に、押し当てた。
太腿に、柔らかな蒲の穂が当たり気持ちよかったが、それ以上にタカオがする行為に淫靡な雰囲気を感じて、気持ちが昂った。僕はタカオが次にどうするか、待ち構えた。
「おい、また立ちションしようぜ。」
僕は怯んだ。僕はもう、立ちションが出来ないことを知っていた。何度も失敗する度、内腿を伝う尿の感覚に、すっかりやる気は失せていたし、それ以上に、構造の違いが分かってしまっていた。
「ほら、先やっちゃうぞ。」
そう言って、タカオはちんちんを引っ張りだそうとした。しかし、それは出て来なかった。
不思議に思っていたら、タカオは無言のまま、ズボンのボタンを外し始めた。慌しくファスナーを下ろすと、パンツまで下げてちんちんを握り出した。そこには、蒲の穂のように腫れたものがあった。以前のものとは、明らかに違っていた。少し茶色っぽく色づいたそれは、タカオの五本の指で握り締められていた。二年前に聞いた、こうすると気持ちいいんだぜ、と言うタカオの言葉が蘇った。きっと、気持ちよくて擦っているうちに、だんだん大きくなって来たんだと思った。
「前みたいに、パンツ脱げ。」
僕は、仰向けのまま、タカオに従った。
タカオの言葉と、目の前の蒲の穂のようなタカオの突起に、興奮していた。
タカオが、五本の指で突起を扱いている。僕も、何時も自慰をするときのように、少しだけ股を開いて自分の突起を擦った。あのときは、立っていたのと、尿が滲みて痛かったのとで、絶頂は来なかった。今なら、それは来るだろうと思った。タカオが扱く様子をじっと見ながら、自分も擦った。ふと、タカオの顔を見ると、僕の股間を穴が開くほど見つめているのが分かり、僕は余計に興奮した。興奮して、脚をいつものようにぱくぱくと開いたり閉じたりした。そしてすぐに、絶頂が訪れた。はあはあと息を弾ませ、指を一層強く押し付けた。目を開けていられなくなり、タカオが見えなくなるのがとても残念だった。
うっと呻く声に、はっと目を開けた。肩を上下させながら突起を握り締めたまま、タカオもやはり目を閉じていた。以前は見えなかった薄桃色の先端は、なにかの汁を垂らして濡れていた。
> 15.
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