「ところで、今日は、呪いの依頼も兼ねてきたんだけど。どういうこと?」
「愛徳園の、スタッフを呪って欲しいんだ。」
「どれくらい?」
「半身不随になるくらい。」
「なにか、依り代はあるの。」
「なにもない。」
「高くつくわよ。」
「いいさ。ツェザーレ氏のコレクションをあと三枚ばかり追加する。」
「ふん、いいわ。電話番号くらいはわかるんでしょうね。」
「住所もわかってる。」
スーは紙片を受け取った。
「二週間以内に、愛徳園のスタッフは、全員、半身不随よ。」
「そんなことができるの。」
ブランカが尋ねた。
「あたしは、黒魔術を研究しているの。二週間後に、愛徳園に電話してみなさい。」
コフィが、あと三枚ばかり絵を梱包するあいだに、カイエはスーにココアを淹れてやった。
「あら、この味、コフィの味だわ。きみ、相当に気に入られているのね。」
「そうなの?」
「コフィは自分の気に入った人間にしか親切にしないのよ。だから、適応力不足で、フロックコートに出会う前は、ただブラブラしていたわ。」
「フロックコートって、どんな人。」
「画商よ。」
「どうして直接ぢゃなくて、スーを通すの?」
「あたしが、フロックコートにコフィを紹介したからよ。フロックコートとコフィに、面識はないの。電話ではやり取りするらしいけど。」
「メェ。なんだか奇妙な人間関係だね。」
「きみと、そのマスコットたちに比べたら、単純よ。」
「僕たちは、三人いるだけさ。」
ブラウンが云った。
「七歳のときに、このボディを与えられた。」
「その割りには、くたびれていないのね。」
2009年2月1日号掲載
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