2.
すずねによれば、彼女は、要と別れてベッドに入り、そして朝目覚めるまで、特段変わったことを経験したわけではなかった。しかし、夜明け頃、まるで母親に揺り起こされたかのような感じがして目が醒めたのだという。もちろんのこと、そこにはだれもおらず、一瞬途方にくれたが、頭がはっきりするにしたがって、一つの考えが沁みとおるように伝わってきたのだ。まるで親友からの大事な頼まれごとのように。女の子同士の内緒話、打ち明け話のような、やさしくてくすぐったい感覚をともなって。ただ、あまりに揺り起こす手の感触がリアルで、いつまでもその感じが残っているので、彼女はやむにやまれず要に電話したのだという。
「まず、生田目さんの話をするわね」 |