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 前回、カール・バルトスが来日し、土浦のクラブでのDJをやることになり、私がその前座のひとりを務めることになった話を書いた。

 今回はカール・バルトスとクラフトワークについて書きたい。

 まずはクラフトワークのディスコグラフィーから。


1970 Kraftwerk ラルフ・ヒュッター、フローリアン・シュナイダー、クラウス・ディンガー、アンドレアス・ホーマン
1971 Kraftwerk 2 ヒュッター、シュナイダー
1973 Ralf & Florian ヒュッター、シュナイダー
1974 Autobahn ヒュッター、シュナイダー
1976 Radio Activity ヒュッター、シュナイダー、クラウス・レーダー、ウォルフガング・フルール
1977 Trans Europe Express ヒュッター、シュナイダー、カール・バルトス、フルール
1978 Man Machine ヒュッター、シュナイダー、バルトス、フルール
1981 Computer World ヒュッター、シュナイダー、バルトス、フルール
1986 Electric Cafe ヒュッター、シュナイダー、バルトス、フルール
1991 The Mix ヒュッター、シュナイダー、バルトス、フルール彼ら自身が新アレンジで採録したベスト盤
2000 Expo 2000 シングル
2003 Tour De France ヒュッター、シュナイダー、フリッツ・ヒルバート、ヘニング・シュミッツ
2005 Minimum Maximum 初の公式ライブ盤

 このディスコグラフィーを見れば分かるように、彼らは何度かメンバーチェンジを繰り返しながらも、中心となるラルフ・ヒュッターとフローリアン・シュナイダーは一貫して中心メンバーとなっている。3枚目まではテクノというより実験音楽色が強い。私はアナログ盤で持っているが現在は入手困難らしい。1974年頃から1981年あたりまでが絶頂期と考えてよいが、最近は再び精力的に活動している。

 依然として評価は高く、サンプリング素材の宝庫とも言われている。

 カール・バルトスは彼らの最盛期のメンバーであった。1975年から1991年まで在籍。

 脱退後は、エレクトリックミュージックというソロプロジェクトでアルバム、シングルを出したり、リミックスワークやプロデュースもおこなっている。ソロ名義としては2003年にアルバム「Communication」がある。

 ニュー・オーダーのバーナード・サムナーと元スミスのジョニー・マーのプロジェクト、Electronic のセカンドアルバムに全面参加したりもしている。

 4月にニュー・オーダーのピーター・フックも来日し東京でDJをやるらしいが、これは同じプロモーションだろうか。

 Kraftwerk Official Site
 Karl Bartos Official Site

 

 さて次のプレイリストは2005年12月27日にやったもの。

01
The Scene / Wim Mertens
すでに何度もかけているウィム・メルテン。これは、Crepuscule for Cafe Apres-midi 2に入っている。小品だが、美しい。ウィム・メルテンの口笛が響く。

02
Theme X ( main version) / Kazufumi Kodama
こだま和文も何度もかけている。これは鈴木清順の映画『ピストルオペラ』のサウンドトラック。かっこいい。

03
Jumbo / Underworld
これも何度かかけているUnderworld。

04
in and out / Sunahara Yoshinori
一度前にかけた砂原良徳。同じアルバム「Lovebeat」から。

05
Radioactivity / Kraftwerk
クラフトワークの名曲!

06
Les Chants Magnetiques Part 4 / Jane Michel Jarre
ジャン・ミッシェル・ジャールも何度かかけた。

07
Ai no Kuraine Melody / Denki Groove
今回初めてかけるのは電気グルーヴ。私は実は電気グルーヴの大ファンである。ファーストアルバム「フラッシュパパ」から全てのアルバムを聞いている。当時彼らはバカテクノラップだった。しかし、はまると抜けられなくなる。気持ちいいのだ。

石野卓球は次第にテクノ色を強め、今やDJとしても日本を代表する存在。東京の Womb というクラブをフランチャイズとしている。

余談だが、先日アストロラウンジでDJテンに会った。Womb でDJをやっている人。住まいがつくばなのだ。石野卓球のファンなんだという話をしたら、今度 Womb に来て下さいよ、卓球さん紹介しますから、と言う。

だけどクラブは夜が遅いからなあ、おじさんにはちょっときついんだけどなあ。

08
Another Orangutango / Pigbag
ピッグバッグのデビュー盤CDにボーナストラックとして入っている曲。Orangutango という曲の別バージョン。

09
Colour Blind / The Pop Group
今回の目玉の第2弾はこれ。何度かポップグループについて言及しながらも今までかけていなかったのはやはり場所がカフェだからだ。しかしこの曲なら、まあかけてもいいかなと思った。ギターがかっこいい。しびれる。

ポップグループは最近CD再発が続いている。3枚のアルバムが全てCD化されている。

このバンドを聞くと、いつもパンクとは何だったのかと考える。私はパンクとは Sex Pistols だったと言い切ってもいいと思っている。 当時、The Stranglers や Clash や、場合によってはニューヨークの Television でさえパンクと言われた馬鹿げた状況があったが、いま聴き直してみると、いったい何がパンクだよと思う。Clash でさえ笑ってしまうほど凡庸なポップバンドだ。Televisionは確かにいいバンドだと思うが、いくら何でもあれをパンクという感性はどうかしている。 The Stranglers なんて、 当時でさえ、Rough Tradeのオヤジに Childish!とこき下ろされたという風評が東京まで伝わってきていた。パンクムーブメントは確かに音楽の世界に衝撃を与え、みな影響を受けたが、いまになっても聴けるだけのものはセックスピストルズしかないと思う。その Sex Pistols だって、実際はストレートなロックンロールだ。だからジョン・ライドンはPILを始めたのだ。

そんな中で正直にパンクを引継いたのは The Pop Group だったと思う。

いま聴いてもこのバンドの良さは変わらない。だからこそいまでもCDが再発されるのだ。そしてリーダー格の Mark Stewart はいまに至るまでその姿勢を変えていない。実に驚くべきことだ。

10
Flight / A Certain Ratio
A Certain Ratio も何度もかけている。

11
Blue Bell Knoll / Cocteau Twins
このバンドも何度もかけている。

12
Bonds of Love / Anna Domino
アンナ・ドミノをかけるのも3回目。全て同じアルバムMysteries of America から。

2006年3月27日号掲載

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