p r o f i l e

 

 この連休の5月4日にも土浦のクラブr-foxに Xpress 2 というDJがイギリスからやって来てイベントがあった。大きなイベントの時には2階のダンスフロアだけでなく、1階のラウンジもあけて、そこにもDJブースをセットする。私は今回はそちらで回した。

 ラウンジと聞いていたので、比較的静かな曲を持っていったのだが、9時にスタートしてから出てくるDJがみんな自由にかけている。つまり結構ダンサブルな曲もかけているのだ。そこで、これではいかんと思い、急遽プレイリストを変更してこちらもダンサブルな曲をかけた。このようにDJはその場の雰囲気やオーディエンスの反応を見ながらかける曲を決めていく。たいていのDJはかけながら次の曲を選んでいったりもする。私はそんなに慣れていないので、ある程度はあらかじめ選曲をしてからスタートする。

 さて次のリストは、2006年1月24日にアストロラウンジでかけたもの。

01
From The Air / Laurie Anderson
ニューヨークのパフォーマンスアーティスト、Laurie Anderson がレコードデビューしたのは1982年。 この曲はそのメジャーデビューアルバム Big Science の第1曲目。テクノと詩の朗読。当時このアルバムは結構売れたはず。

02
Piano Klang / Takkyu Ishino
石野卓球の2001年のソロアルバム Karaoke Jack から。ノリがよくて好き。

03
Cloud City / Ellen Allien
Ellen Allien の2005年のアルバム Thrillから。彼女は素晴らしい。実はこの連休に彼女は日本に来ていて5月5日に東京のクラブでDJをしていた。私は用事があって行けなかったが。ああ、くやしい。

04
Ab1013 / Hajime Tachibana
立花ハジメの Plastics 解散後のソロワーク。初出は何のアルバムだろう。私は1985年のベスト盤「逢うは別れのハジメなり」で持っている。ゆったりとしていて、懐かしい響き。ちょっとロック反対派みたいな感じ。

05
Jynweythek Ylow / Aphex Twin
2001年の2枚組アルバム Drukqs から。アンビエント系。

06
Even White Horizons / Akufen
カナダのアーティストAkufen。私はイチオシです。ラジオからサンプリングした音を切り刻んで再構成するテクノ。 これは2001年のアルバム My Way から。私は友人のクリス・ヘイルから借りた。それはフランス盤だったが、いま見かける盤のジャケットは Akufen が肉屋の格好をして、血みどろの白衣で包丁を持って立っている。つまり「切り刻むぞお」というメッセージ。 ちなみにこのアルバム、アマゾンでは現在7700円のプレミアがついている!

私は最近彼のカナダのレーベルから出たシングルレコードを買った。(CDではなくレコード)これもよかった。しかし何と、ジャケットのどこを見てもアーティストのクレジットがない。レコード屋ではつけてくれていたから分かったのだが。

07
Forbidden Colour / Mark Stewart
何度かかけている Mark Stewart。これは1987年のアルバム Mark Stewart から。前の週にかけたアルバムと同じ。この曲には坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」がサンプリングされている。手法はダブ。

08
The Window / The Flying Lizards
David Cunninghamのプロジェクト The Flying Lizards の同名のデビューアルバムから。以前本誌編集長の吉田氏が、この曲をかつて愛していたといくらか恥ずかしげに告白していたのを覚えているだろうか。

「2トラックと4トラックのテープレコーダー、ミキサー、テープ代金の6ポンド、それに地下鉄乗車賃があれば誰でもレコードが作れる」これは当時有名になったデビッド・カニンガムの言葉である。何というパンク精神だろう。これがパンク精神なんだと思う。

このアルバムは1979年だろうか、それとも1980年だろうか。私はレコードで持っているが、どこにも書いていないのである。1978年にシングルSummer-time Blues、1979年に Moneyをヒットさせてからアルバムを作ったはずだからだ。

いま聴き直すと、シングルヒットしたその2曲よりも、The Window とHer Storyの2曲が素晴らしいと思う。

なお、David Cunnigham は、This Heat やドイツの Palais Shaumburg のプロデューサーとしても活躍した。

09
The Burtons I'm Carthur Park / Hybrid Kids
奇才 Morgan Fisherのプロジェクト Hybrid Kids。1979年の同名のアルバムから。a collection of classic mutants と副題っぽく書いてある。レーベルは、Cherry Red Records。レコードを見てもよく分からない。どれが曲名なのかも。誰か知っている人がいたら教えてください。

この曲はノリがいいスカ。

なお、Morgan Fisher はその後ヒーリングミュージックをやったりしているはず。私はInside Satie (1985) というエリック・サティの曲を真面目に弾いているCDもなぜか持っている。

10
Par Hasard / Mikado
ベルギーの Les Disques Des Crepuscule のバンドMikado。2001年のコンピレーションCD Crepuscule for Cafe Apre-Midi から。かわいい。

11
Hunger (The Ocean Roars It Bites) / Rip Rig & Panic
Rip Rig & Panicのセカンドアルバム I Am Cold から。ジャケットにはなぜかアルチュール・ランボーの絵が。最近、CD復刻がなされた。

フリージャズを基本にした音楽。ピアノと打楽器とバイオリンと声(歌ではない)。次第に速くなるリズムが刺激的。ネネ・チェリーのボーカルはこの曲には入っていない。

12
24 Track Loop / This Heat
これがディス・ヒートだ。1979年の同名のデビューアルバムから。このアルバムを初めて聴いた時の衝撃は忘れられない。特に私がこの曲が好き。

鋼のようなリズム。最近、CD再発された。しかも紙ジャケ。長らく待たれていた再発であった。ディスクユニオン周辺では結構話題になっていた。

ディス・ヒートをカフェでかけるのはどうかとも思ったが、やはりここら辺かけないとオレがやっている意味ねえだろうと思って再発記念にかけた。カフェでディス・ヒートかけるDJは他にいねえだろうな。だからこそ私が年くってDJやっている意味があると思うんだけど。

と、自分に言い訳して無理矢理かけた。

また来週もかけようっと。

2006年5月8日号掲載

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