p r o f i l e

 

 いつもやっているDJをCDにしている話は以前にも書いたと思うが、アストロラウンジに何枚か置く以外に友人にあげたりしている。本誌編集長の吉田氏と、本誌に「音溝の快楽」を連載していた青木重雄氏にも時々送っている。その青木氏からお礼のメールが来て、「よくもこれだけの統一感が出せるなといつも感心しています」と言われた。私はその返信に、「その統一感を作り出しているのはオレの耳だ」などと傲慢なことを書いてしまった。
(ゴメンナサイ、青木さん。誉められるとすぐテングになるのは昔から悪い癖なのです)

 それにしても、自分でミックスしたCDを聴いていつも不思議に思うのは、人間の耳についてだ。DAF の後に坂本龍一をかけるような、かなり無茶なつなぎをしても人間の耳は対応できる。次の曲がかかると前の曲を忘れてしまう。これは、人間の感覚器官は新しい環境にただちに順応する、ということなのだろうかと思う。

 さて次のリストは2006年3月7日にアストロラウンジでやったもの。

01
Preface / The Flying Lizards
1995年のアルバム the secret dub life of the flying lizardsの冒頭の1曲。タイトルにもあるように手法はダブ。レゲエっぽい曲が多い。さすが才人 David Cunningham という秀作がそろう。もともとはカニンガムのレーベル Piano Recordsから出ているが、2003年に他のレーベルから再発されている。

02
Six of One / Pig Bag
1983年のシングルから。他の収録曲は、Hit the 'O'Deck の2ヴァージョン。アルバム収録と同じヴァージョンとそのインスツルメンタルヴァージョン。レーベルは、彼らの Y Records。

03
Now There's That Fear Again / Mum
すでに何度かかけている2002年のアルバム finally we are no one から。

04
Colour In The Home / In Camera
これも何度かかけている1992年のCD "13 (Lucky for Some)" から。

ディスコグラフィーを書くと、1980年、 Die Laughing/ Final Achievement、1982年、 IV Songs 、1982年、 Fine、といずれもマキシシングルである。アルバムはない。

05
Crystal (Digweed & Muir 'Bedrock' Mix Edit) / New Order
2001年のアルバム Get Ready の1曲目 Crystal のリミックスマキシシングル Crystal から。Digweedとは John Digweed のこと。有名なDJ。この曲が最もかっこいい。

06
Hot On The Heels Of Love / Throbbing Gristle
スロッビングリッスルは1970年代末から1980年初頭を代表するインダストリアルバンド。中でもこの曲は彼らの代表曲のようになっている。

ここで彼らの不完全なディスコグラフィーをあげておこう。

1977年 2nd Annual Report
1978年 D.o.A The Third And Final Report of Throbbing Gristle
1979年 20 Jazz Funk Greats
1979年 We Hate You (Little Girls) /
    Five Knockle Shuffle (single)
1980年 Heathen Earth
1981年 Discipline (single)

その他に、サウンドトラックやベスト盤が様々に出ているようだが、よく分からない。

この曲は、20 Jazz Funk Greats のB面1曲目。テクノとしても聴ける。

1980年頃、坂本龍一がロンドンに行ってロンドンの最新音楽をレポートしたものを当時雑誌で読んだことがあって、彼は「ロンドンはやっぱりスロッビングリッスルだ」と書いていた。

彼らが解散したのは1982年頃だったろうか。私は原宿のラフォーレで彼らのヴィデオコンサートがあったので見に行った記憶がある。その席上で、誰だったかはっきりと覚えていないのだが、音楽評論家が彼らが最近解散したことを告げたのだ。TG自体は、通常解散するという意味で使う単語ではなく、独特の言い回しをしていたと、彼は言った。その単語が何だったのか私はもう覚えていない。

07
Velvet Realm / Clock DVA
インダストリアル系のバンド、Clock DVA。 この曲は、彼らの1989年のアルバム Buried Dream から。

08
Mo Move / Underworld
2002年のアルバム A Hundred Days Off の冒頭の曲。

09
State of Grace (W/ Kirsty Hawkshaw) / Swayzak
2001年の Ellen Allien のミックスアルバム Flieg Mit Ellen Allien から。

10
Expo2000 Kling Klang Mix 2002 / Kraftwerk
2000年のシングル Expo 2000から。2000年にドイツで開かれた万博のテーマソング。1986年の Electric Cafe以来の新曲と話題になった。4つのヴァージョンが収録されている。Expo 2000 (Radio Mix)、 Kling Klang Mix 2000、Kling Klang Mix 2002、Kling Klang Mix 2001。中でもこの3曲目が一番ノリがよくてかっこいい。

11
Wax And Wane / Cocteau Twins
1982年のアルバム Garlands から。

12
Music Is Math / Boards Of Canada
2002年のアルバム geogaddi から。短い曲がたくさん並んでいる。何と23曲も。彼らがこれまでに出したアルバムは3枚。シングルが数枚。寡作と言えよう。

また来週。

2006年5月22日号掲載

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