p r o f i l e

 

 70年代後半から80年代前半はリアルタイムで聴いていたから、遠近感がある。例えばどのバンドが出てきてから次のバンドが出てきてというようなことが分かる。しかし実際にリアルタイムで聴いていないで、後追いで聴いている90年代の音楽はそうした遠近感がないので困っている。

 例えば、DAF がどんな状況下で日本に紹介されたのか、それは分かるのである。しかし Orbitalがどんな音楽状況の中で日本に紹介されたのかは全く分からない、そういうことだ。これを後から、他の人の書いたものを参考にして理解しようとしているが、かなり苦労している。わたしがこのプレイリスト解説でもやたらリリース年を明記しているのもそれが理由なのだ。やれやれ。

 さて、次のリストは、2006年6月6日にアストロラウンジでやったDJのプレイリスト。


01
Source / Ultramarine
ウルトラマリンは、何度もかけているので、説明省略。United Kingdom(1993年)というアルバムから。

02
Eireann / Afro Celt Sound System
前回からかけ始めたアフロケルトサウンドシステム。セカンドアルバムVolume 2: Release(1999年)から。彼らは全く素人くさくない。非常に玄人くさいバンドである。以前にも書いたことがあるが、パンクの精神は素人くささにあったわけだから、そういう意味ではパンクの系譜に連なるバンドではない。
むしろスケールが大きい感じ。

03
The Sign / Ken Ishii
ケン・イシイをかけるのは今回が初めて。石野卓球と並び、世界に名の通る日本のテクノミュージシャンである。しかし実はわたしはケン・イシイが苦手である。たまたま家の近くの中古CD屋で見かけたCDを買った。それは、Jelly Tone(1995年)というアルバム。そのアルバムからの1曲。フルアルバムとしてはファーストにあたる。それ以前には数枚シングルがあるはずだ。
シングルでのデビューは1993年。多くのレビューが鮮烈なデビューだったと書いている。この年には、The Garden of the Palmという2枚組シングルを出している。 これをデビューアルバムと数える人もいる。 すると、Jelly Tone はセカンドアルバムという数え方になる、プロモーションビデオは、アニメーション『AKIRA』のクリエーター森本晃司によるもので、ジャケットには大友克洋の絵が使われている。ライナーノーツには森本晃司、大友克洋もコメントを寄せている。

この曲は、ケン・イシイには珍しく叙情的なメロディラインがあり、それが硬質のビートの上で舞うという感じ。

04
balance / Sunahara Yoshinori
何度かかけている砂原良徳。LOVEBEAT(2001年)から。彼のアルバムの中ではこれが一番好き。

05
Session Plate / Twilight Circus Dub Sound System
4月に1回かけたTwilight Circus Dub Sound System。前回同様、The Essential Collection(2002年)というベスト盤から。

06
Religion I / PIL
この間、The Doors のボーカリスト Jim Morrison の朗読を使った。しかしつなぎを失敗したのでもう一度チャレンジした。

これは、Public Image Limitedのファーストアルバム、Public Image Limited(1979年)から。この曲はアルバムに2曲(?)あり、Religion IとReligion II となっているが、I は、ボーカルのジョン・ライドンが曲なしで詩を朗読している。II はそれに曲がついて歌っている。ここでは I の方、つまり朗読編を使った。内容は教会をおちょくる激しい内容だが、朗読スタイルは古典的なもので、朗々としている。

07
Last Words / 23 Skidoo
わたしはこのバンドに関する知識がほとんどない。インダストリアルに分類されているらしいが。ラフトレードが編集した Rough Trade Shops : Post Punk 01(2003年)という2枚組のコンピレーションアルバムからかけている。

イギリスのバンドである。この曲のプロデュースは Cabaret Voltaire がやっているようだ。最初は7インチシングルでリリースされたようだ。リリースはたぶん1980年。

ラフトレードのコンピレーションは何種類も出ているが、貴重な音源が収録されており、買えるうちに買っておいた方がいいと思う。わたしは少しずつ買いためている。

08
Twist / Underworld
何度もかけている Underworld 。この曲は A Hundred Days Off (2002年)から。このアルバムは、いまのところ彼らの最高傑作だと思う。

09
The Lacemaker / This Mortal Coil
4AD レーベルの社長、アイヴォ・ワッツ・ラッセルの発案になる、所属アーティストによる、セッションプロジェクトが This Mortal Coil 。3枚のアルバムがある。It'll End In Tears (1984年)、Filigree & Shadow (1986年)、Blood (1991年)。中心メンバーは Cocteau Twins である。

この曲は、3枚目の Blood から。耽美的。

1994年頃だろうか、初めてアメリカに行った時CDショップで店員に This Mortal Coilが欲しいンだけどと言ったら、そのプロジェクト名を知らなかった。4ADはイギリスだからかなあ。でも、今はアメリカ人でも This Mortal Coil を知る人は多いように思う。少なくとも日本人よりは。

10
Vicious Steak / New Order
ニューオーダーのアルバム、Get Ready (2001年)から。
彼らのDVD、Finsbury Park 9th June 02 New Oder 511 のタイトル画面にこの曲のイントロが繰り返し流れる。

11
Arp / Moby
モービーをかけるのは3回目か。Bodyrock(1999年)というシングルから。

わたしは「モービー臭さ」というものが存在すると思っている。そしてあまりそれがわたしは好きではない。この曲は前半と後半で雰囲気が変わる。後半になるとやたらモービー臭さが全面に出てしまうのだ。だからDJの時は前半だけしかかけなかった。

12
Papa Semplitita Ending Theme / Takkyu Ishino
石野卓球が、シティボーイズのサントラとして作った Papa Semplitita(2003年)のエンディング。メインテーマとエンディングテーマはさすがという出来合い。メインの方がテンポが早く、エンディングテーマの方はスロー。

 

2006年10月30日号掲載

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