銀幕ナビゲーション-喜多匡希

ハムナプトラ3 
呪われた皇帝の秘宝

【中国×愛がスパイスの大人気シリーズ最新作】 あとで読む

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝
© 2008 Universal Studios. All Rights Reserved

『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(1999)、『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』(2001)と、そのスピンオフ作品(外伝)である『スコ―ピオン・キング』(2002)はいずれも世界中で大ヒットを記録した大人気のアクション・アドベンチャー・シリーズだ。最早、新時代のインディ・ジョーンズと言えば本シリーズの主人公リック・オコーネルと言って良い。

『スコーピオン・キング』から、実に6年振りとなる本作では、本年度映画界のトレンドと言える中国を舞台に、やはり目を見張るようなCG映像と一大アクションのつるべ打ちが繰り広げられ、飽きることがない。

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝
© 2008 Universal Studios. All Rights Reserved
ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝

 本作最大の敵は2000年の眠りから目覚めた <皇帝> だ。このモデルが、万里の長城を築いた <秦の始皇帝> であることは言うまでもない。カンフーの達人であるだけでなく、口から炎を発したり、念動力を用いたりと、妖術にも長けた皇帝を演じているのがジェット・リー。中国全国武術大会5回連続優勝という輝かしい経歴を持つ彼が演じる皇帝は、目に見える強さはもちろんのこと、目に見えないカリスマ性=オーラも申し分なく、これ以上ない絶妙な配役だ。チャン・イーモウ監督の『英雄〜HERO〜』(2002)で、始皇帝暗殺計画最強の刺客・無名ウーミンを演じていたジェット・リーが、皇帝を演じているというのも、映画ファンとしては大変興味深い。彼の嬉々とした悪役振りは必見と言える。

  物語の軸は2つある。

 1つはリックとその妻エブリン、その息子アレックスを軸とした西洋家族の姿、もう1つは皇帝に呪いをかけ、その復活を2000年に渡って阻止してきた呪術師ツイ・ユアンと、彼女と恋に落ちたため皇帝に処刑された将軍ミン・グオ、その娘リンを軸とした東洋家族の姿だ。この2家族が、悪の権化たる皇帝と対決することになるのだが、ここで必然的に、親子というテーマが浮かび上がる。今年公開された『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)でも、父子の関係がクローズ・アップされていた。本作では、西洋・東洋の家族が交差し、その息子と娘の間に恋愛ドラマも展開される。家族愛に次世代を担う若者同士の恋愛劇が入り込み、世の東西や2000年に及ぶ時空までをも越えた大きな愛が作品を包み込むというわけだ。ここで見られる <愛> の大きさも、本作の大きな見所の1つと言えよう。

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝
© 2008 Universal Studios. All Rights Reserved

 もちろん、これまでのシリーズ同様、アクション・シーンも満載だ。ツイ・ユアンを演じるのは、元ミス・マレーシアにして、アジア映画界随一のアクション女優ミシェル・ヨー(旧芸名ミシェル・キング)。筋金入りの香港映画ファンならば、ジェット・リーとミシェル・ヨーの激突に狂喜乱舞すること間違いなしだ。

 監督は、これまでのスティーヴン・ソマーズに代わり、『トリプルX』『ワイルド・スピード』のロブ・コーエンが登板。彼が持つ良い意味でのB級魂が炸裂したS級アクション大作に仕上げている。

 皇帝が復活させた悪の大軍勢と、ツイが復活させた善の大軍勢の大激突は圧巻の一語!! これだけでも手に汗握ってしまうのだが、本作にはそれ以上にサービス精神が盛り込まれているからたまらない。チベットの山奥に生息する伝説の雪男=イエティや、皇帝が変身する2パターンのモンスターの迫力! えっ? 「どんなモンスターに変身するのか」って? それは三つ首……、おっとそれをここで明かすわけにはいかない。そこは是非御自身の目で確かめていただこう。ヒントはロブ・コーエンがこれまで手掛けた監督作品に隠されているとだけほのめかしておくとしよう。

 エジプトの砂漠から中国の砂漠へ舞台を移した一大スペクタクルを御堪能あれ!

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝  http://www.hamunaptra3.com/

原題:『THE MUMMY: TOMB OF THE DRAGON EMPEROR』
2008年 アメリカ 112分 配給:東宝東和
監督:ロブ・コーエン
出演:ブレンダン・フレイザー、ジェット・リー、マリア・ベロ、ミシェル・ヨー、ジョン・ハナー、ラッセル・ウォン、リーアム・カニンガム、ルーク・フォード、アンソニー・ウォンほか

【上映スケジュール】
8/16(土)〜  
東京:日劇1、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、シネマメディアージュ、渋東シネタワー、新宿バルト9ほか
大阪:TOHOシネマズ梅田、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマほか
京都:TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、イオンシネマ久御山、ワーナー・マイカル・シネマズ高の原ほか
兵庫:OSシネマズミント神戸、MOVIX六甲、109シネマズHAT神戸、TOHOシネマズ伊丹、ほか

2008年8月11日号掲載 このエントリーをはてなブックマーク
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