銀幕ナビゲーション-喜多匡希

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【ジョディ・フォスターのコメディ・センスが光る
ハートフル・アドベンチャー】 あとで読む

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【地図にも載っていない南海の火山島に、海洋学者の父ジャックとその娘ニムが2人きりで暮らしている。研究のため度々船旅に出掛けるジャック。しかし、留守番のニムは寂しくない。トドのセルキーやトカゲのフレッドといった親友たちが常に周りにいるからだ。
そんな中、アレックス・ローバーという送信者からジャック宛のメールが届く。ベストセラー冒険小説アレックス・ローバー・シリーズの主人公だ。新しい小説のネタ探しのため、ジャックにアドバイスを求めたいという。不可能を可能にするスーパーヒーロー・アレックスの大ファンであるニムは大喜び。不在のジャックに代わって返信をする。
ところが、そんなある日、ジャックが大海原のど真ん中で大嵐に見舞われてしまう。予定日になってもジャックが帰らないため、不安になったニムは、アレックスに助けを求める。ところ変わってサンフランシスコ。そこには、ニムからのSOSを受けて困惑する女性作家アレクサンドラ・ローバーの姿があった。スーパーヒーロー・アレックスは、彼女が創り出した架空の人物だったのだ。おまけに彼女は、対人恐怖症&外出恐怖症&潔癖症の引きこもりだった…… 
ニムを助けようと、警察に電話をするが相手にしてもらえなかったアレクサンドラは、遂に意を決して自ら島に向かうことを決意する! 
一方、島では、アレックスの到着を待ちわびるニムの姿があった……】

というストーリー。
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ハンコック

<童心に帰る> のが本作を楽しむ秘訣だ。「ニムは学校に行かなくてもいいの?」とか、「地図にない島なんて本当にあるの?」とか、そういった疑問は全て捨て去ってしまおう。大人の尺度を持ち込んでしまうと、本作を楽しむことはできない。子どもたちならきっと、ニムの危機に手に汗を握り、動物たちの愛らしさに頬を緩ませ、アレクサンドラの慌て振りに爆笑することだろう。たまにはそんな子どもたちと同じ目線で映画と向かい合うのも一興だ。

ハンコック

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 主人公のニムには『リトル・ミス・サンシャイン』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた天才少女アビゲイル・ブレスリン、引きこもり作家アレクサンドラには『告発の行方』と『羊たちの沈黙』で2度のアカデミー賞主演女優賞に輝く名女優ジョディ・フォスターがそれぞれ扮している。ジョディ・フォスターも1970年代に天才少女としてキャリアをスタートさせているから、本作は新旧天才子役スターの共演作品ということになる。映画ファンとしては注目のポイントだ。

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 また、ジャックと架空のスーパーヒーロー・アレックスを、『オペラ座の怪人』でブレイクしたジェラルド・バトラーが一人二役で演じているのも見どころの一つ。この一人二役が本作の肝だ。アレックスは架空の人物という設定だから、アレクサンドラの前に現れるアレックスは、彼女だけが見ることの出来る幻影である。自身が思い描くアレックスは、アレクサンドラにとっての理想の男性像なのだ。対して、ジャックは、ニムにとって現実のヒーロー像である。アレクサンドラの理想とニムの現実が一つになる時に何が生まれるか? それはやはり <家族> だろう。そんな幸せの予感を存分に感じさせる、まさに <幸せの1ページ> と呼べるエンディングが温かく、また、そこに至るまでの小さな天使ニムの奮闘振りが実に健気で面白い。

 それにしてもジョディ・フォスターはやはり抜群に上手い! 彼女の強みは、どんなジャンルの作品でもこなせるところだ。本作では、『マーヴェリック』(1994)以来、約15年振りとなるコメディ演技で存分に楽しませてくれる。

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原題『NIM'S ISLAND』
2008年 アメリカ 96分 配給:角川映画
監督:ジェニファー・フラケット&マーク・レヴィン
出演:ジョディ・フォスター、アビゲイル・ブレスリン、ジェラルド・バトラー、ほか
【上映スケジュール】
9/6(土)〜
東京:丸の内ピカデリー2、シネマメディアージュ、渋谷シネパレス、新宿ピカデリーほか
大阪:梅田ピカデリー、なんばパークスシネマ、アポロシネマ8、ほか
京都:MOVIX京都、イオンシネマ久御山、ワーナー・マイカル高の原
兵庫:神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸、MOVIX六甲、ワーナー・マイカル加古川
奈良:MOVIX橿原、TOHOシネマズ橿原
滋賀:ユナイテッド・シネマ大津、ワーナー・マイカル近江八幡
そのほか、全国一斉ロードショー

2008年9月1日号掲載 このエントリーをはてなブックマーク
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