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スティーヴン・セガールの芸能生活20周年記念作品という触れ込みである。『刑事ニコ/法の死角』(1988)で、いきなりの主演デビューを果たして以来、『死の標的』『ハード・トゥ・キル』(共に1990)、『アウト・フォー・ジャスティス』(1991)と着実にキャリアを積み、そして『沈黙の戦艦』(1992)でトップ・アクション・ヒーローとしての地位を確立した。1970・80年代にシルベスタ・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウイリスが花開いたように、1990年代にスティーヴン・セガールもスターダムに上り詰めたわけだが、先に挙げた3人が、アクション映画だけではなく、コメディやドラマ作品などにも進出し、成功と失敗の試行錯誤を経たのとは対照的に、セガールは一貫してアクション作品にこだわり続けている。特別出演的な『マイ・ジャイアント』(1998)を唯一の例外として、セガールが出演した劇映画は全てアクション作品なのである。この一貫性こそがセガールの信念であり、同時に持ち味でもあるのだ。
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本作でも、やはりセガール独特のマンネリ振りが炸裂している。
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【ギャンブルの借金で首が回らなり、刑事の職や家庭まで失った男が、マフィアに雇われる。彼に与えられた仕事は人殺しであった……】というストーリーは、「いや、それ、アンタが悪いんやん……」というモラルのかけらもないものだが、その主人公を演じるのがセガールであるからこそ受け入れられるのである。許してしまえるのである。そして笑えるのである。この導入部を受け入れることが出来れば、後は安心・安定のセガール世界を満喫するのみ! 決して斬新ではないが、適度にハラハラさせてくれるカー・チェイスやクライマックスの大銃撃戦など、それぞれの見せ場はそれなりにツボを押さえていてやはり安定感がある。無理矢理挿入される大阪弁会話や、銃撃戦で頭を隠していながら実は尻が隠れていない様など、セガールならではの爆笑ポイントもあり、筋金入りのセガール・ファンが望んでいる天然ボケ的な笑いもしっかり炸裂しているのが嬉しい。一方でクセモノ俳優の重鎮ランス・ヘンリクセンの出演といった、映画ファンにはたまらないサービスもあり。
出色の出来というわけではもちろんなく、そもそもそのような欲目を見せてもいない。その一種の潔さが <いつものセガール作品> を作り上げた。これは褒め言葉である。セガール・ファンなら絶対に外せない1本である。
20周年おめでとう!&これからもこの路線を突き進んで下さい!
弾突 DANTOTSU http://www.sonypictures.jp/homevideo/dantotsu/
原題『PISTOL WHIPPED』
2008年 アメリカ 96分 配給:ソニー・ピクチャーズ
監督:ロエル・レーヌ
出演:スティーヴン・セガール、ランス・ヘンリクセン、ブランチャード・ライアン、ポール・カルデロンほか
【上映スケジュール】
9/13(土)〜 東京:銀座シネパトス
9/20(土)〜 大阪:天六ユウラク座
にてロードショー