銀幕ナビゲーション-喜多匡希

バイオハザード ディジェネレーション

【最先端のCGアニメーション!】 あとで読む

バイオハザード ディジェネレーション
©2008 カプコン/バイオハザードCG製作委員会
バイオハザード ディジェネレーション
 日本発のTVゲーム『バイオハザード』の映画化第4弾。これまでに公開された3作品は、ミラ・ジョヴォビッチ扮するヒロイン:アリスを主人公としたハリウッド製実写作品だったが、本作は全編フルCGによるアニメーション作品となっている。

 フルCG長篇アニメーション映画の歴史は、ディズニー作品『トイ・ストーリー』(1995)で幕を開けた。僅か10年ちょっと前の話だ。歴史は浅い。しかし、以降の流れをずっと見詰めてきた者として、その進歩の速さには驚きを禁じ得ない。1990年代後半は、その目新しさもあり、興味本位で劇場に足を運んだものだ。その際は「これが最先端の技術かぁ〜」と、新鮮に思いながらも、同時にどこか違和感を抱いたものである。しかし、2000年代に入るや、すっかり目が慣れてしまったのであろう。すんなりと受け入れられるようになり、全く奇異に感じることもなくなった。目覚しい映像技術の発展速度についていけない筆者でもすっかり順応できるようになったということだ。

バイオハザード ディジェネレーション

バイオハザード ディジェネレーション
©2008 カプコン/バイオハザードCG製作委員会
 そんな中で見た本作は、驚きに満ちていた。これまでなら、「実写に追いつけ!」とばかりに見えていたCG映像だが、今や完全に“CGアニメーションならではの映像世界”を身に付けているではないか。実写映画やセル画アニメーションとは全く異なるオリジナリティに溢れた表現がここにある。この10数年の間に、フルCGアニメーションは独自の手法として確立された感がある。まず、その驚きを、本作を鑑賞する大いなる楽しみの一つとして記しておこう。

バイオハザード ディジェネレーション
©2008 カプコン/バイオハザードCG製作委員会
バイオハザード ディジェネレーション
 かのジョージ・A・ロメロ監督が築き上げたゾンビ像から生まれ、世界的に大ヒットしたTVゲーム『バイオハザード』は、現在も続く大人気シリーズとなっている(余談だが、『バイオハザード』ゲーム版第1作のTVCMは御大ロメロが監督した)。生い立ちからして映画の影響が色濃いゲーム作品であるから、映画化に向いていることは間違いのないところ。その点、本作は、実にオーソドックスな作りで、新味こそないものの、手堅い作りで飽きさせることがない。ゲーム版の登場人物であるレオンとクレアを主人公としているが、だからといって、ゲーム版を知らなくても全く大丈夫! ゲーム版のファンを意識していながら、同時に映画ファンへの目配せも利いているので、ゲーム版をプレイしたことがある人も、そうでない人も楽しめる作品に仕上がっている。ゲーム版を未体験の筆者が言うのだから、その点はまず御安心いただきたい。

バイオハザード ディジェネレーション

バイオハザード ディジェネレーション
©2008 カプコン/バイオハザードCG製作委員会
 緻密な背景や、大迫力のアクション・シーン、手に汗握るスペクタクルに驚きつつ、随所で作り手の映画愛が炸裂しているのが嬉しい。ロメロ・ゾンビへのリスペクトはもちろんのこと、様々な映画へのオマージュに満ちた作りに思わずニコニコしてしまう映画ファンも多いはずだ。中でもスティーヴン・スピルバーグ監督のアカデミー賞受賞作品『シンドラーのリスト』の影響が色濃く、同世代の映画ファンとしてとても嬉しい。70〜90年代の映画で育ったクリエイターたちが、新世紀に、愛着のある映画への愛を存分に盛り込んで新作を放っているのだ。本作は、先達たちへの恩返しの意を孕んだ最先端の一作というわけだ。また、デジタル上映によるクリアな映像は、劇場で見てこそであることもアピールしておきたい。

バイオハザード ディジェネレーション  http://www.biohazardcg.com/

英題『RESIDENT EVIL: DEGENERATION』
2008年 日本 97分 配給:ソニー・ピクチャーズ
監督:神谷誠
声の出演:ポール・メルスイエ、アリソン・コート、ローラ・ベイリー、スティーヴ・ブラム、ミッシェル・ラフ、ほか

【上映スケジュール】
10/18(土)〜 
東京:新宿ピカデリー
愛知:名古屋ミッドランドスクエアシネマ
大阪:梅田ブルク7
にて、2週間限定デジタル上映!
※10/17(金)、各上映劇場にて前夜祭上映決定! 詳しくは公式HP参照のこと。
※本編上映後に、ゲーム『バイオハザード5』の特報映像を上映。

2008年10月13日号掲載 このエントリーをはてなブックマーク
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