“堂々たる風格を備えたヨーロピアン・コスチューム史劇が久々にスクリーンを彩る”
© 2008 Columbia Pictures Industries, Inc. and Universal City Studios Productions LLLP and GH Three LLC. All Rights Reserved |
タイトルにある“ブーリン家の姉妹”とは、16世紀イングランドの新興貴族トーマス・ブーリンの娘たちを指す。姉:アン・ブーリン、妹:メアリー・ブーリン。この姉妹が、本作の主人公だ(史実では、アンとメアリーのどちらが姉であるか定かではないのだが、本作ではアンが姉という設定)。勝気で上昇志向のアンと心優しいメアリーが、権謀術数渦巻く宮廷内の権力争いの中で、歴史の波に翻弄されていく姿が描かれる。
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アンを演じるのは、現在公開中の『宮廷画家ゴヤは見た』(2006)でも熱演を見せているナタリー・ポートマン。本作では、どこかデミ・ムーアを思わせるしたたかな美女を演じて新境地を開拓している。メアリーを演じるのは、目下、若手演技派のトップを独走しているスカーレット・ヨハンソン。コスチューム劇から現代劇、悪女に乙女までなんでもござれの上手さは本作でも健在で、ほとんどノーメイクで心優しいメアリー役にすっかり成り切っている。
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最初の王妃であるキャサリン・オブ・アラゴン(なんと『ミツバチのささやき』のアナ・トレント!!)を宮廷から追い出したまでは良かったものの、アンは男子を産むことができず、やがて、猜疑心から姉のメアリーすら疎んじるようになる。ここで見られる自業自得の愚かさが、日本の江戸時代にあった大奥を思わせる風で空恐ろしい。
姉妹の確執劇として見るも良し、宮廷を舞台とした政治サスペンスとして見るも良し、歴史に秘められた悲劇として見るも良し、様々な角度から味わえる娯楽性に富んだ作劇が見事。衣装・美術・撮影も素晴らしい。
日本では当たらないとされる西洋コスチューム劇だが、この面白さは太鼓判。まずは御覧を!
ブーリン家の姉妹 http://www.boleyn.jp/
原題:『THE OTHER BOLEYN GIRL』
・第21回東京国際映画祭特別招待作品
2008年 アメリカ/イギリス 115分 配給:ブロードメディア・スタジオ
監督:ジャスティン・チャドウィック
出演:ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソン、エリック・バナ、デヴィッド・モリッシー、クリスティン・スコット・トーマス、マーク・ライランス、ジム・スタージェス、ほか
【上映スケジュール】
10/25(土)〜
東京:シャンテシネ、新宿バルト9、Bunkamuraル・シネマ、ほか
大阪:TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、ほか
京都:TOHOシネマズ二条、イオンシネマ久御山
兵庫:OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ伊丹、109シネマズHAT神戸
奈良:TOHOシネマズ橿原
和歌山:ジストシネマ和