アカデミー賞女優:グウィネス・パルトロウの実弟:ジェイク・パルトロウが監督・脚本を担当した恋愛悲喜劇。これまで短編映画やTVドラマの監督経験はあるが、劇場用長編映画の監督は本作が初となる。ちなみに、グウィネス&ジェイクの父:ブルース・パルトロウ(故人)は映画監督であり、母:ブライス・ダナーはベテラン女優。いわば2人はアメリカ・ショウビズ界のサラブレッドというわけ。グウィネスは父の監督作『デュエット』(2000)に主演し、孝行娘振りを発揮していたが、本作でもヒロイン役で出演し、弟の監督デビューに花を添えている。
【90年代には一世を風靡した人気バンドのメンバーだったが、今はCMの作曲家として細々と活動しているゲリー。彼にキャリア・ウーマンの恋人ドーラいる。しかし、情熱的に愛し合った既に始めた同棲生活も、今や倦怠期。すれ違いの毎日が続いている。思い切って結婚するべきか、それとも別れるべきか…… そんなある日、悩むゲリーの夢の中に理想の女性アンナが現れる。夢の中にしか現れないアンナに恋焦がれるゲリーだったが、ほどなく、現実世界でアンナと瓜二つの女性メロディアが現れ……】
というストーリー。
主人公のゲリーにマーティン・フリーマン、ドーラにグウィネス・パルトロウ、アンナとメロディアの二役にペネロペ・クルスというキャスティング。その他、『ホット・ファズ‐俺たちスーパーポリスメン!‐』の主演でブレイクしたサイモン・ペグの他、ベテランのダニー・デヴィートやマイケル・ガンボンが脇を支えている。この顔ぶれに思わずワクワクしてしまう映画ファンは少なくないだろう。
しかし、肝心の演出がもたつき気味でメリハリに欠けるため、せっかくの豪華キャストが活かしきれていないのがつらい。夢と現実という使い古された対比構造ながら、しっかりと表現したいものを定め、地に足のついた物語作りを目指しているのは評価したいが、もう少しテンポ良く進めて欲しいものだ。どこか豪華出演陣に寄りかかってしまっているように思えるのが残念。
とは言え、夢を導入部として、安易にファンタジーの世界に流れることなく、現実を見据えて語られる物語そのものは身につまされる箇所も多く、才気を感じさせる。
終盤、このままありがちなラストに落ち着くのかと思いきや、思わず飛び上がりそうになる急展開が用意されていて、その意外性には大いに興味を惹き付けられたものだ。純正なアメリカ映画だが、どこかイギリス映画を思わせるシニカルさには唸った。これで、全体にリズム感をつけることができれば。次回作が勝負となろう。
グウィネスとペネロペというタイプの異なる美人女優揃い踏みにはウキウキさせられた。
恋愛上手になるために http://www.finefilms.co.jp/renai/
2007年 アメリカ 90分 配給:ファインフィルムズ
監督・脚本:ジェイク・パルトロウ
出演:ペネロペ・クルス、グウィネス・パルトロウ、マーティン・フリーマン、ダニー・デヴィート、サイモン・ペグ、マイケル・ガンボン、ほか
【上映スケジュール】
11/1(土)〜 東京:渋谷シアターTSUTAYA
11/8(土)〜 大阪:シネ・リーブル梅田
11/15(土)〜 兵庫:シネ・リーブル神戸
そのほか、全国順次公開