© 2008 TEA FIGHT FILM ASSOCIATION
タイトルになっている <闘茶> とは、【中国は福建省で生まれたお茶の競技で、風味や様式美・精神性を競うもの】であるそうだ。日本でも、南北朝時代に伝来し、<闘茶式> と呼ばれて独自の発展・変容を遂げ、庶民の間で賭博として大いに広まったという記録がある。現在では、<茶かぶき> <お茶講> という名で、一部地域や流派などに受け継がれているほか、日本闘茶協会という組織もある。
本作は、そんな歴史ある闘茶を中心に末、古代中国から現代の京都を繋げ、更に台北に舞台を移しながら繰り広げられるという、時代も国境も越えたお茶を巡る三都物語だ。
【古代中国を起源に、京都の老舗茶屋・八木茶舗に伝わる <黒金茶の呪い>。主人の八木圭は、究極の茶作りに没頭する中、最愛の妻を亡くしてしまったが、それを代々伝わる呪いのせいだとして、以来店を閉めてしまう。一人娘の大学生・美希子は、茶を学ぶために台湾への留学を考えているが、圭は頑なに反対する。そんな中、八木家の庭に幻の茶と言われる <雌黒金茶> の茶木を発見。闘茶によって <雄黒金茶> を持つ者に勝利すれば呪いが解けると知った美希子は、その茶木を持つというチャット・メイトに会うため、台湾に飛ぶ。それを知った圭も娘を追って台湾に飛びノノ】というストーリー。
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台湾で舞台演出家・俳優として活躍し、本作が映画監督デビュー作となるワン・イェミンの下に、日本・香港・台湾を中心とするワールド・ワイドなスタッフ・キャストが結集している。脚本を大ヒットTVドラマ『やっぱり猫が好き』『時効警察』の山田あかね、音楽をジョン・レノンとオノ・ヨーコの息子であるショーン・レノンが担当。キャスト陣の多彩さも合作映画ならではのアンサンブルで思わずニヤリとさせられる。
また、冒頭で、本作で示される呪いの根源である古代中国でのある闘茶の模様が描かれるのだが、これがなんとアニメーション。手掛けたのは『鉄コン筋クリート』や『MIND GAME マインド・ゲーム』が世界中で絶賛されたアニメーション制作集団・STUDIO4℃だというあたり、アニメーション・ファンにも必見の作品と言える。
後半、物語が台湾へ飛ぶあたりから、少々迷走してしまった感があり、クライマックスでは、『ミスター味っ子』を思わせる食対決物に無理矢理落とし込んでしまったように感じられるところが、なんとも惜しい気がするが、先述した冒頭の意表を突いたアニメーション演出や、京都の静かで趣のある下町情緒を魅力的に捉えた撮影は秀逸。
しかし、それにも増して必見と言えるのは、ヒロインの父親・圭を演じる香川照之の素晴らしい演技だ。いつも鳥肌が立つほどの演技力を披露し続ける彼だが、本作でもその凄まじいまでの上手さは健在。彼の演技が、本作を一段の高みに持ち上げたことは間違いのないところ。その脇で、香港映画界の重鎮であるエリック・ツァンが、思わずニヤリとさせられてしまう役どころを嬉々として演じているのも楽しい。
闘茶 tea fight http://www.tea-fight.com/
2008年 日本/台湾 102分 配給:ムービーアイ
監督・原案:ワン・イェミン
出演:出演:香川照之、戸田恵梨香、ヴィック・チョウ、細田よしひこ、ほんこん、藤田陽子、エリック・ツァン
【上映スケジュール】
7/12(土)? 東京:渋谷シネマライズ
8/2 (土)? 大阪:シネ・リーブル梅田
8/2 (土)? 京都:新京極シネラリーベ
8/2 (土)? 神戸:シネ・リーブル神戸