銀幕ナビゲーション-喜多匡希

スターシップ・
トゥルーパーズ3

【パワード・スーツ <マローダー>、
銀幕に現る!】 あとで読む

スターシップ・トゥルーパーズ3
© 2008 Star Troopers (Pty) Limited and ApolloMovie Beteiligungs GmbH. All Rights Reserved.

 ロバート・A・ハインラインによるSF小説の金字塔『宇宙の戦士』。地球連邦軍と“バグズ”と呼ばれる昆虫型エイリアンが繰り広げる壮絶な宇宙戦争を描いたこの小説は、熱狂的なファンを世界中に生み出したが、長らく映画化不可能と言われていた。

スターシップ・トゥルーパーズ3
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スターシップ・トゥルーパーズ3

 その不可能を可能としたのが、『ロボコップ』『氷の微笑』『インビジブル』などのヒット作を生み出したオランダ出身の映画監督、ポール・バーホーベン。1980年代から『宇宙の戦士』の映画化に取り組んできた彼は、遂に1997年、『スターシップ・トゥルーパーズ』として夢を実現。日本では1998年のGW大作として大々的に公開された。怒涛のSFX映像によって生み出された大迫力の異種戦争に度肝を抜かれた読者も少なくないはずだ。

スターシップ・トゥルーパーズ3
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 しかし、この作品で繰り広げられた凄惨な肉体破壊描写は大いに物議を醸し、戦争賛美映画だという誤解を多く生んだ。真相は違う。惑星間戦争という一大娯楽としての世界観の中で、バーホーベンは戦争の惨たらしさを真正面から描いたのだ。そこには、母をアウシュビッツ収容所で亡くし、自らもナチスからの逃亡生活を余儀なくされたという戦争の実体験が色濃く反映されている。その証拠に、『スターシップ・トゥルーパーズ』で、彼は連邦軍による兵士募集目的のTVCMなる映像を幾度も本編に挿入している。これも誤解を生む原因の一つになったのであろうが、この「みんなで戦争に行きましょう! 兵士になりましょう!」という国策的CM映像には、戦争に対するバーホーベンの皮肉が込められていた。つまり、戦争の惨たらしさを徹底的に見せつけることで、逆説的にその愚かしさを描いていた意欲作だったのだ。

 しかし、大いなる誤解にめげず、バーホーベンはこの原作に執着を見せる。TV用アニメシリーズと、特殊効果マン:フィル・ティペットの監督デビュー作となった実写版2作目、そして実写版3作目となる本作である。

スターシップ・トゥルーパーズ3
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スターシップ・トゥルーパーズ3

 実写版2作目は、1作目とは比べ物にならない低予算作品であり、苦肉の策として、設定だけを借りた別物を志向してしまった結果、その魂を手放してしまった感があったが、今回は2作目の3倍の予算を用意し、原点回帰。1作目にあった連邦軍TVCMが復活し、1作目の主人公であったジョニー・リコが再登場するなど、ファンにとってはたまらなく嬉しい。新種の“バグズ”登場にも胸が高鳴る。

 中でも、最も嬉しいのは、1作目で叶わなかった“パワード・スーツ”=“マローダー”の登場。これが今回一番のウリであろう。『機動戦士ガンダム』『エイリアン2』『アイアンマン』などに大きな影響を与えたことで知られるパワード・スーツが初めて映像化されたのだ。SFファンなら必見!!

 本作は日本が世界最速公開となる。いちはやく“パワード・スーツ”の勇姿を見届けよう!!

スターシップ・トゥルーパーズ3 
http://www.so-net.ne.jp/movie/sonypictures/omevideo/starship3/


原題『STARSHIP TROOPERS 3: MARAUDER』
2008年 アメリカ 105分 R-15指定作品 
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督・脚本:エド・ニューマイヤー 製作総指揮:ポール・バーホーベン
出演:キャスパー・ヴァン・ディーン、ジョリーン・ブラロック、ボリス・コドジョー、スティーヴン・ホーガン、ほか

【上映スケジュール】
7/19(土)〜
東京:新宿ジョイシネマ、銀座シネパトス、池袋シネマロサほか
大阪:敷島シネポップ、MOVIX堺、高槻コ9プラスシネマ

8/30(土)〜
奈良:橿原シネマアーク
そのほか、全国順次公開予定

2008年7月14日号掲載 このエントリーをはてなブックマーク
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