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★★★第24回 2021年紙ジャケグランプリ★★★


東京五輪が 2020 のまま開催、
レット・イット・ビーが51年目に発売、
2021は緩慢に延伸された2020であり、
消化試合のような年となった。

秋以降はゲットバックで少し盛り返したが、
盛り上がったのはむしろ物価の方だった。
清水寺の貫主が今年の漢字として「金」と揮毫したが、
紙ジャケおやじの多くは、
ああ、そうねー、ガソリン高騰したし、
給付金クーポン案で、また利権かと、
妙に納得したものだった。

しかーし、これは懐かしい過去ではなく、
今後待ち受ける値上げラッシュの先触れでしかないことも
紙ジャケおやじたちは吉野家やゆで太郎でひりひりと感じており、
立ち食いそばから立ち上る湯気で眼鏡を曇らせながら、
かき揚げをとるか、紙ジャケをとるか、
孤独な自問を続けている。

そんな悲哀に満ちたおやじたちに向け
探検隊が怒りの告発として選んだのは
このグループのリイシューである。

GRAND PRIX 2021



ディスクユニオン
「フランピー - 2021デジタル・リマスター」


総評

フランピーがなぜ怒りの告発の対象なのか?ユニオンさんのアルカンジェロの担当者さんは、いぶかしく思うだろう。頼むから告発はNetflixさんにまかせて勘弁してくださいよ探検隊さん、とおっしゃるかもしれない。 しかーし、ビニールカバー付きダブルジャケット、円型12面ジャケットを完全再現しました〜、ここまではいい、だが税込4,840円は、もはやおやじたちの財布を無視した価格帯に突入していることは明白だ。原油の高騰でビニールやCD盤も高騰しておりまして〜、それは分かるが、アルカンジェロの担当者ともあろうものがジニ係数を知らないわけがない、立ち食いそばのかき揚げを削減し4,840円を捻り出しているおやじと、それ以外のおやじの格差がこれではますます拡大する一方である。いやーあ、そもそも円の力が弱まっておりまして、海外のアナログ盤でのリイシューとの兼ね合いもあって、リイシュー紙ジャケもそこそこの値段にしないと〜、なとど言い訳をしている場合ではない。このままでは、紙ジャケは、高等遊民(懐かしいな〜)の暇つぶしグッズに堕してしまう危険性を指摘しているのだ。繰り返すが、紙ジャケは文化である。文化には相応の金が掛かるのは分かるが、大衆消費財という暗黙のルールの中での高度な営みであってほしい、というのが探検隊の願いであり、メーカーさんに対する陳情でもある。今回のフランピーの受賞は、暗雲立ちこめる22年、23年に対して、お願いだからやさしい値段でね、という控え目な希望と脅しと怒りがない交ぜとなった選定であったわけだ。

ふへー、怒りにまかせて一気に書いてしまったが、実際、2021年は状況が不透明だったことから、大物アーティストのまとまった紙ジャケ・リイシューはポリスくらいしかなかった。ポリスは、MQA/UHQCD規格であったが、ファーストの「アウトランドス・ダムール」と「ゴースト・イン・ザ・マシーン」が2021年リマスターだったがそれ以外は古いリマスター音源のハイレゾ化だったのが惜しい。まあ、探検隊のフランピーへの怒りさえなかったら、グランプリ候補はポリスだったであろう。かわいそうなことをした。また、ソニーのプログレ紙ジャケシリーズのアメリカンロック編も、それなりによかったがそれなりだった。坂本龍一「ビューティ」はハイレゾではなかったものの丁寧なリマスターで音もよく、内容的にも今のこの時代に再度聴くべき音楽として個人的に推しておきたいが、いかんせん1枚単独リイシューではグランプリに推挙するわけにはいくまい。(もちろん「レット・イット・ビー」の50周年盤が、箱ジャケで写真集付きの紙ジャケであったなら、1枚単独でも当然グランプリだったのは言うまでもない。次回ハイレゾ化される時に期待したい。)また、余談ではあるが、眞子様関連の話題盤としてあぶらだこが一部で盛り上がったことにも触れておきたい。

というわけで、緩慢に延伸された年であったわけだが、紙ジャケのリリース数は実のところそれなりに多かった。2021年は米国でアナログ盤のリリースがCDを上回るという逆転が起きたが、時代は廻る、アナログ盤に抜かれたもののCDも17年ぶりに増えたそうな。日はまた昇り、本物はなくなることはない。アナログ盤が復活したように、ハイレゾ&お値段以上のバリュー感で紙ジャケも攻めのリリースをしてもらいたいものだ。

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そんなこんなで、今年はディスクユニオンさんにトロフィーを贈呈させていただきます。

ディスクユニオンさん、トロフィーは近日中に発送致しますので、
是非お受け取り願います!



今年も値上がり、そしてリボンが紅白からゴールド単色に〜(泣)

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ROCK/POPS

部門賞
ディスクユニオン(アルカンジェロ)
「フランピー - 2021デジタル・リマスター」
(フランピー)

2021年7月21日 2W、8月11日 1W
次点
ソニー・ミュージックレーベルズ
「プログレッシヴロック紙ジャケット コレクション第3弾
〜アメリカンロック編」
(ザ・フロック、スタードライヴ、パブロフス・ドッグ、
デイヴィッド・サンシャス、アメリカン・ティアーズほか)
2021年9月22日 8W
3位
ディスクユニオン(アルカンジェロ)
「ポポル・ヴー」「キチェ族のマヤ」「オーロラよりの使者」
「カーリー・サウンズ」
(ポポル・ヴー)
2021年6月2日 4W
<お詫びと訂正 2022.02.01>
2022年1月31日公開時の発売元表記に誤りがありました。
関係者の皆様にお詫び申し上げるとともに、訂正させていただきます。
  誤)マーキー/ベル・アンティーク・レーベル

正)ディスクユニオン(アルカンジェロ)
4位
マーキー/ベル・アンティーク・レーベル
「エアゾール・グレイ・マシーン」
(ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター)
2021年4月25日 1W
5位
ディスクユニオン(アルカンジェロ)
「アリア」
(アラン・ソレンティ)
2021年11月3日 1W
6位
ディスクユニオン(アルカンジェロ)
「メイド・イン・スウェーデン 2021リマスター」ほか
(メイド・イン・スウェーデン)
2021年3月24日 4W
7位
ユニバーサルミュージック
「ハイレゾCD/紙ジャケット シリーズ ポリス」
(ポリス)

2021年8月25日 7W
8位
Pヴァイン
「ジャック・マグネット【スペシャル・エディション】」
(ヤコブ・マグヌッソン)
2021年2月17日 1W
9位
WASABI RECORDS
「トリビュート・トゥ・ディープ・パープル」
(ファンキー・ジャンクション)
2021年4月21日 1W
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JAZZ

部門賞
ミューザック
「Freedom Paper Sleeve Collection vol.6
コレクターズ・アイテム編」
(アンドリュー・ヒル、ドゥドゥ・プクワナ、ジム・ヤング、
アンソニー・ブラクストン)
2021年7月21日 4W
次点
ミューザック
「Freedom Paper Sleeve Collection vol.3
マルテ・レーリング・カヴァー・アート編」
(デューイ・レッドマン、ダラー・ブランド・トリオ、
テッド・カーソン・カルテット、ポール・ブレイ・トリオ)
2021年5月1日 4W
3位

ミューザック
「Freedom Paper Sleeve Collection vol.4
UK Polydor原盤編」
(チャールズ・トリヴァー、ジョン・チカイ、
スタンリー・カウエル)
2021年5月26日 3W
4位
MARQUEE/BELLE ANTIQUE
「サンバード」「ザ・シングス・ユー・シー」
「ウィズ・ア・ハート・イン・マイ・ソング」
(アラン・ホールズワース、ゴードン・ベック)
2021年8月25日 3W
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SOUL & RARE GROOVE(旧 BLACK MUSIC部門、旧 SOUL/R&B部門)

部門賞
Pヴァイン
「レア・グルーヴ最高峰TSGリイシュー企画」
(リカルド・マレーロ・アンド・ザ・グループ、ザ・トピックス、
ザ・アルティメッツ、エリック・ダンバー、スパイス、
リアリティ)
2021年8月25日 3W、2021年9月2日 1W、2021年11月1日 1W、2021年12月2日 1W
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CLASSIC

部門賞
※対象作なし
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J-ROCK/POPS

部門賞
ユニバーサル ミュージック
「ビューティ」
(坂本龍一)
2021年12月22日 1W
次点
Bridge
「フラワー・コンサート」「また逢う日まで」ほか
(アグネス・チャン)
2021年5月21日 3W、2021年6月30日 3W、2021年8月11日 3W、2021年9月15日 1W、2021年10月20日 4W、2021年11月17日 1W、2021年12月15日 2W
3位
SS RECORDINGS
「あぶらだこ (木盤)」「あぶらだこ(青盤)」
「あぶらだこ(亀盤)」
(あぶらだこ)
2021年08月20日 3W
4位
Pヴァイン
「symbol」
(Susumu Yokota)
2021年6月2日 1W
5位
ユーキャン
「昨日達」「親展」
(さだまさし)
2021年10月13日 2W
6位
プロダクション・デシネ
「ファイブ・デイズ・シティ」
(Yamamoto)
2021年7月21日 1W
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ワールド/その他

部門賞
THINK! RECORDS
「プラ・ケン・サービ・ダス・コイザス」
(カウ・ピメンテルほか)
2021年9月8日 1W
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海外紙ジャケ賞

部門賞
国内盤:ビートインク(Dominoレーベル)
「Colossal Youth 40周年記念盤」
(ヤング・マーブル・ジャイアンツ)
2021年11月26日 1W
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幻ジャケ賞

部門賞
マーキー/ベル・アンティーク・レーベル
「エアゾール・グレイ・マシーン」
(ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター)
2021年4月25日 1W
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7インチだったで賞

ソニー・ミュージックレーベルズ
「原始心母 箱根アフロディーテ50周年記念盤」
(ピンク・フロイド)
2021年8月4日 1W
ソニー・ミュージックレーベルズ
「火の鳥 ─SA-CDマルチ・ハイブリッド・エディション─」
(マハヴィシュヌ・オーケストラ)
2021年10月27日 1W
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特典賞

※対象作なし
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選考を終えて

ご意見はこちらへおよせください。
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